裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

16日

木曜日

ケツマクエン

 朝、7時半起床。朝食、少しダイエット目的に、マンナンスープとリンゴ。右目の充血とイガイガ、まだ治らず。9時半ころ、パルコ3の7階にある眼科に行き、診察してもらう。受付の女の子が私の顔を知っているとみえ、ニヤニヤしていた。開院早々に行ったので一番に診察してもらう。充血した側の耳の下を先生、指でさわって、“痛いですか?”“はい、痛いです”“これ、リンパが腫れてるんだよね。風邪からくる結膜炎です”・・・・・・これには驚いた。そんなことになった経験が生まれてこのかたなかったからである。腹のシクシクもやはり風邪のせいか、とナットク。現金というかなんというか、それまでは“風邪をひいてますか?”“いえ、いまは全然”とか答えていたのが、風邪が原因と聞いたとたん、全身熱っぽく感じはじめる。抗生物質と副腎皮質ホルモンの目薬を出してもらう。まだ今日はかかりはじめで、明日はもっとひどくなる、と言われ、ユーウツになる。しばらくサングラスで外出せねばなるまい。問題は来週末のBOOKTVだが、それまでには治るだろう。

 帰って、日記の整理、それから雑原。目はさいわい、それほどひどくもならず。ただ、鏡をのぞくと白目部分にかぶさっている薄い膜が赤く腫れてゼリーのようになっており、気味が悪い。G書房から電話。先日サイン会したグランデ、店用に50冊ほど置いておいたサイン本がもう無くなったので追加で30冊ほどサインしてくれないかとのこと。とってくれるならいくらでも。

 昼はレトルトのカレーライス。このマンションの全面改築の調査がまた入る。業界紙原稿一本、週刊読書人原稿一本。読書人のマンガ評、逆柱いみりの『ケキャール社顛末記』。ところで、彼の描く女の子の顔が私は好きだ。男の子みたいなところがいい。実用に供せる(たぶん)。

 マンガ評と言えば、先日角川の『TOKYOウォーカー』に書いたサザエさん評の原稿、図版が使用できなくなった。別段内容に問題があるというのでなく、版権所有者の作者の実姉(マー姉ちゃん)が、もう年をとってめんどくさいことはイヤだ、というので許可してくれないのだそうである。こういうのも珍しい。昔、無許可の海賊版に悩まされた作家は、後に自分の版権管理にクソうるさくなる。西のディズニー、東のサザエ。仕方ないので表紙写真のみとする。

 ふくしま政美先生から電話。忘年会のお誘い。年末進行とこの目で、行けるかどうかは微妙と伝える。
「竹熊さんは都合悪くてこれないってからね、大丈夫ですよ、あはは」
 違うって(笑)。

 3時、喫茶時間割でD書房Iくん打ち合わせ。次回の一行知識本の件。4月刊行をねらっているらしい。投稿ものがかなりたまっているので、比較的楽ではあろうが。これも神田のブックマート、『B級裏モノ』××冊入れてすぐ完売とか。やはり私のファンというのは神田まで出てきて本を買う人種に多い。私鉄沿線の駅前の本屋などではいつもサッパリなのである。まあ、これは他のサブカル棚者たちも似たり寄ったりだろうが。とはいえ、女性読者を最近開拓できたのに加え、一行知識では中学生あたりの読者も開拓した(ファンレターにその年代が多い)のは今後に強いかもしれない。

 売れてる話題もうひとつ。『トンデモ本 女の世界』も5000部増刷決定。あれだけの部数刷ったにしては早い々々。と学会のブランドいまだ落ちず、か。岡田斗司夫が“オタクはカッコいいからみんながあこがれる”と言っていたが、私はオタクは別にカッコよくなる必要も愛される必要もないと思う。オタクは“必要不可欠な”存在なのだ、今の時代に。流行りだから受け入れられているのではない。そこをカン違いしてオタクを取り上げているヤカラも多いが。

 7時、買い物に出る。帰りに乗ったタクシーの運転手(50代)、渡した乗車賃に5円玉2枚が入っていたのを、“使えないから”とつっ返す。国が発行した硬貨を使えないとは失敬な奴である。5円を笑う者は5円に泣くぞ。

 9時、夕食。質素にアジ干物、アブラゲと豆腐の煮物、肉鍋(肉少しにモチを入れて増量)。LDでアニ(いちいち「おにいさまへ・・・・・・」と書くのがめんどくさい)11、12話。日常で着ている服が毎度おんなじなのが男性演出の限界か。それから手近の『シャーロック・ホームズ』など見る。マイクロフトの出てくるやつ。日本酒2合とズブロッカ2ハイ。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa