9日
木曜日
自分の出た映画
朝、カキフライ数粒、リンゴ、コーヒー。週アス1本アゲ。ガロのプロフィール原稿FAX。F書房のを急いで書くが、どうしても小説はエッセイに比べて時間がかかる。来週になりそう。
昼は弁当用に作った豚ヒレの立田揚げ。秋口からこっち出版した各社から、販売状況が三々五々、届く。どれも今年前半に比べていいようで、ひとまず安心。今年のアテはずれは『快楽特許許可局』で、翻訳とはいいながら唐沢風にアンコ入れてかなり面白く“超訳”したつもりだったのだが、初版にとどまった。やはり翻訳と名がつくとダメらしい。編集のFくんには、今度は原書をネタ本にして、私自身がエッセイ書くから、と言っておいた。近々打ち合わせ。
3時、一番町東宝東和試写室で映画『kamome』(中村幻児監督)試写。E社『裏モノの神様』の後ろに日記を載せているが、そのラストでガヤで出演した、と書いてある映画がこれ。整形逃亡の福田和子事件をモデルにした作品で、監督が自分の主宰する映像学校の生徒たちを使って製作した作品。撮影現場の雰囲気がいかにも金がない、という感じでショボかったので、全く期待せず、この試写も配給のシネマアルゴのH氏に“是非来てよ”と電話もらって、義理で出かけたようなものなのだが、完成した作品はそういった貧乏臭さがほとんど感じられず、正直言ってかなり面白く引き込まれてしまった(ちゃんと出演者の中に名前が出た)。一年かけて、実際に福田和子(作品中では福間和江)が逃亡した先をロケして回ったという効果もあるが、なによりもかによりも、主演の清水ひとみの、渾身とも言うべきなりきり演技によるものだろう。よくあそこまでブスのメイクができたものだ。『地獄』にしろこれにしろ、実際の犯罪を元に映画を作ろう、というキワモノ的発想がもとになっているが、映画とはそもそもそういうキワモノであり、その原典に忠実な企画なのである。もちろん、私的にはこの『kamome』など、どうせキワモノならもう少しキワモノに撮ってもいい、と思うものでありますが。和江を十年以上に渡っておいかけ、家庭が崩壊し、しかもついには別人に逮捕されてしまう刑事役に懐かしや『特効仁侠自衛隊』の飯島洋一。彼も実にいい。田口トモロヲはこういうインディーズのもはや顔。最後に和江がつかまる和風バーのママに宮下順子、和服のときはさすが美人だが、昼間、オバサン服で買い物しているあたり、それがピッタリと決まる体型になってしまっているのに、和江の逃亡以上に歳月の無常を感じる。
「時は流れていく。あたかもあの下北沢の質屋に入れたデジカメのようにな」 (昨日の劇団☆新感線、粟根まことのセリフ)
いったん帰ってメールなど確認。それから新宿へ出る。書店で週刊宝石立ち読み。春菊のインタビューが載っていた。第三子が欲しいと言って夫がウンと言わなかったのが家出と別の男作った理由、などと、世間の常識を歯牙にもかけぬ言い訳がまことに彼女らしくナイス。ただし、今の子が出来たのは避妊の失敗で、膣外射精が避妊にならないとは知らなかった、などとブリっ子しているのはいただけない。セックスのご指南役、というのが彼女のキャラなんだから。相手の男も、こういう危険な女性とナマでやるなよ、ナマで。アルハ(在波)、ベータ(紅多)ときて、次の子はやはりガンマ(玩真、願磨、丸妹)か?
マッサージパーラーに行き、肩を揉んでもらう。背中に鉄の板が入ったようで、茶髪のマッサージ師の兄ちゃんが渾身の力をこめて指圧しても、まるで感じない。
9時、寿司屋でK子と待合せ。行く途中で会う。主人が言うのは不景気の極みで、秋口から忙しくなったと思って売上をみたら前年よりダウン。夏があまりにひどかったので、忙しいとはどういう状態か忘れてしまったらしい、とか。
・今日の「みんなのうた」<妊娠のうた>
できた できた
シュンギクのこども
ならんだ ならんだ
アルハ ベータ ガンマ
どのこをみても
父がばか