27日
水曜日
車軸を流す
早朝より秋雨霏々として降り、四方陰鬱。午後に至り霹靂殷々、轟いて窓振動す。夕刻、沛然たる猛雨となる(日記らしい記述でしょ)。
雨の日は気力も体力も失せてしまうのだが、明後日オタクアミーゴス公演で九州行き、その三日後に札幌行きとあってはダレてもいられず。朝、週アス一本。昼はチャーリーハウスで定食かき込み、続けて早川書房ゲラを必死でチェック。大幅書き直しの部分は後日渡しとしてもらい、ともかくも二時の打ち合わせまでにナオシ部分を完成、編集A氏に渡して責を果たす。
雑談の最中、偶然、知り合いの某誌編集長のことを話したら、彼の奥さんが今朝、亡くなったことを知り愕然。結婚式に出たのは確かまだ3年前のこと。小柄な可愛らしい人だった。何もしてあげられないが、せめて今月号の原稿は早めにアゲよう。憂鬱な天気の日に憂鬱なこと聞いちゃったな。
もっとも、他にバカバカしいこともかなり話す。G社に移った不倫女性編集者の話など。彼女、かなり早川での実績をフカしてG社に入社したらしく、A氏、何にも関係ないのに、G社の編集者に“なんでおたくはあんなのを飼っといたんですか!”とオコラれたとか。そう言えば彼女とは佐川一政氏を紹介してくれ、と頼まれたのが初対面であったな。用件からしてアヤシゲであった。
帰って今度はメディアワークスゲラチェック。赤が多くてヒイヒイ言う。その間にTV取材申し込みの電話、先日の『SPA!』電話取材のゲラFAX、〆切催促二社など、雑用繁多を極める。文士なんてのは鎌倉の邸宅に和服など着て鷹揚にかまえ、編集者と温泉にでも泊まり込んで原稿を書いて、などと想像してる人もいると思うかも知れないが、全くそんなことなし。
6時半、メディアワークス打ち合わせ。担当Tくん、“あまりの猛雨に神田あたりで歩けなくなった”とかで遅れてくる。原稿不捗の言い訳しばし、あとは来年の書き下ろし予定の件。どうせ鬼が笑うことだというので、ちょいとフカす。来年は旧著の文庫化や連載の単行本化の予定がもう五、六冊決まっているので、少し楽ができそうである。
8時、雨はすでに小やみとなる。K子と待ち合わせのブックファースト。新刊の棚を見る。『B級裏モノ探偵団』、調子よく動いている様子で一安心。新規開拓の和食屋へ行く。ライティングの暗い、渋谷風のスカした店。一品々々はなかなかうまいんだが、出てくるまでにやたら時間がかかる。厨房の中をのぞき見してみたが、客席の数に比して、厨房は狭いし、調理係も少なすぎる。渋谷の一等地で家賃も高いだろうから、利益率をあげるために客席の数を無理して増やしているんだろう。
10時過ぎ、帰ったら『SPA!』から、ゲラチェック早く返送しろとの電話。返送しようにも何にも、返送先のFAX番号が書いてないからしようがない。困ったもんである。
昨日の伊藤くん死亡説はデマとわかる。ヨカッタヨカッタ。