7日
木曜日
艶句会
朝から蒸し暑く、ドンヨリ。とにかくもう低気圧で体がピクとも動かない。そんな状態で午前中、自分にムチうってフィギュア王原稿11枚イッキ書き。頭の中にモヤがかかっている状態だったが、それほど支離滅裂な内容にならなかったのが不思議。もっとも、正常な状態で読んでみれば支離滅裂なのかもしれない。昼飯を冷や奴でかきこんで、引き続き学陽書房のゲラチェックをやっている最中に、全身が硬直してくるような感じがして、そのまま意識が遠くなり、しばらく“気絶”していた。
30分ほどで正気を取り戻す。なんとかベッドまでは這いずっていったらしい。ゲラを玄関のドア前に貼りつけて、外出。『ダ・ヴィンチ』のインタビュー。いきつけの喫茶店で“異形”をテーマに1時間半ほど語る。案外うまくしゃべれたのは、気絶したおかげで少々アタマがスッキリしていたせいか。手塚作品と水木作品をとりあげて、“欠如性としての異形”でまとめる。
精神をシャッキリさせるため、帰ってまた附子(トリカブト)入りの漢方薬をのむ。死ぬんではないかと思われた体調がやっとスッキリしてくる。『創』11月号届いたのを拾い読み。香山リカの連載で、浅田彰の(多分本人に自覚のない)時代とのズレ具合を指摘していたのは興味深かった。ポスト浅田の東浩紀に対し、おいしいどこどりをされた現状で何が残されているか、ということで「ガイア仮説、バロウズ、ダライ・ラマ、ピナ・パウシュなどなど全部買い占められた上に、彼らはいったいどんな高架を作るつもりなのか、もうそこに期待するしかないのだろうか(『エヴァンゲリオン』とか言わないでね)」
・・・・・・香山リカの論旨はいつも通俗に徹している(徹しすぎる気もするけど)が、その目で見てもすでに浅田彰が提示したキーワード群がすでにポストモダニズムからポストアナクロニズムへと変質していることはよっくわかる。
5時半、官能倶楽部の作家連と、レオ澤鬼、沢登みよじ、村田らむなど官能系イラストレーター諸氏で開催している艶句会に出かける。今回は幹事なので、行く前に某店で、特賞々品のブタの貯金箱の大きいのを買う。6時新宿『鳥源』二階。私の出題で、今回の題は『冷』と『残』。思い付きで出した題だったが案外おもしろい句が出て、盛り上がった。優勝はダントツで
「衣替え 箪笥に残る 古き春本(ほん)」
を投じた初参加のひえだオンまゆらさん。他の投句者がこの会のラフな雰囲気に慣れすぎてダラけた感じが出てきたところで、品格があって堅苦しくない句を詠んだところが勝因とみた。
そのあと12時までカラオケ。私は『神話』『ルパン音頭』、それに冠二郎の『バイキング』(笑)。睦月さんを京王プラザまで送って帰る。ラーメンを食うという誘惑に必死であらがい、そのまま寝たが、夜中に腹が減って困ったぞ。