裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

19日

火曜日

糖尿だよおっ母さん

 朝、ゆうべの座談会原稿、一部分抜けていたところが再送されてきたのでチェック入れ、返送。あと、雑用いろいろ。モノマガの額田くんから、中野貴雄が糖尿病になったという報せ。“キンダーサプライを全種そろえるのが先か(そのチョコを食って)自分が糖尿病になるのが先か”などというジョークを以前会ったとき言っていたが、シャレにならん。
 昼はイタリアンレストランでピザランチ。可もなく不可もなし。それから某所某古書店にて某書執筆の某資料買い込む。これは仕事に関係することなので社外秘。それほどのもんじゃないが一応(笑)。帰ってまた仕事。日経ヘルスから催促。インターネットで資料集め。
 なをきと電話。某(今日は某ばかりだね)人気マンガ家の話。都内某超高級住宅街に豪邸を建て、ベンツに乗っているという。なをき、シンソコ軽蔑したように“そうはなりたくないものだ”と吐き捨てる。“そういう価値観を軽蔑するためにモノを書く仕事をやっているんだ、俺は”と言っていたが、これ、普通の人間が言うと絶対ヤッカミに聞こえる。唐沢なをきが言うから重みがある言葉になる。もちろん、その某マンガ家は唐沢なをきのマンガなど認めてもいないだろうけど。
 私は住む場所も情報収集の便宜で決めているで、高級住宅街のようなサクバクたるところには住みたくない。今住んでいる場所はとにかく私の書くもののためにあるようなところで、こないだ、原稿の資料にチャダ(ターバン巻いたインド人の演歌歌手。70年代にいた)のレコードが必要になり、歩いて五分の古レコード屋にいってみたらちゃんとあったときには感動すら覚えた。チャダのレコードが歩いて五分のところに売っているような場所って、やはりスゴいと思う。もちろん、そのためにまっとうな家庭生活とか親子そろっての団らんとか言うものを犠牲にしているわけだが、そもそもそういうものを人生の目的にするならモノカキなどというヤクザな稼業にはならんほうがいいのだ。
 7時、幡ヶ谷チャイナハウス。女房、睦月影郎氏などいつものメンバーに、例のネールモデルの子も交えて総勢8名。みんなまっとうな幸せを犠牲にしている連中ばかり(笑)。今回は常に増して料理もうまく、話もはずんだ。鯉とアスパラの炒めものが絶品だったが、ここの定番はやはりラストのリーメン。おかわりまでした。
 劈頭、中野貴雄の糖尿にカンパイ。自分の価値観への殉教者(死んでないが)。そのあと新宿西口でカラオケ。糖尿しばり(『糖尿砂漠』だとか『糖尿ダイモス』だとか)というのが何だかワケがわからないが、とりあえず盛り上がる。新ネタ“『ああ人生に涙あり(水戸黄門)』で『どうにもとまらない』を歌う”というやつも披露。

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