裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

5日

火曜日

いきなり最終回

 朝早く、母から電話。療養中の父のこと。
「今朝4時ころ、お父さんね・・・・・・」
 と言い出すから、死んだか、と一瞬思ったが、
「ノドの呼吸パイプを取り外したのよ」
 という報告。医者はまだつけておけ、と言っていたが、母の判断で取り外してしまったとか。その後の調子は極めてよく、今日も車椅子に乗って、弟(養子)の結婚式に出る訓練をしているそうな。
 午前中、M社『知的D級生活のススメ』ゲラチェックしてFAX。それから2時までかかってナンプレファンのコラム。小説クラブ編集M氏から電話。いつもの、次の〆切の確認かと思ったら、なんと、今回(こないだ渡した原稿)で最終回だ、という。連載が終わるのはまあよくあることでいいのだが、なんで前以てそういうことを話さない、と怒って電話切ったら、あとで恐縮した電話がまたかかり、実は2日前に上の方から、突如“次回からページをひと折り減らせ”と言ってきたという。製作費削減なんだろう。そのため、32ページ減らさざるを得ず、長期連載のコラムをほとんど全部切ったんだそうだ。そのシウチもシウチだが、とにかく伝え方が安直すぎる。こういう編集部が増えたねえ。
 昼に新宿に出る。このところずっと和食だったので、たまには洋食が食いたくなり、スタジオアルタ裏の『アカシア』。名物ロールキャベツシチューとオイル焼き。もうここの定食を初めて食べてから20年以上になるが、変わらぬ“おかったるい”懐かしい味。古川ロッパの日記などに出てくる洋食というのは、こんな味だったのではあるまいか。銀行へ寄るが通帳忘れてきて無駄足。句会の場所予約、買い物して帰る。
 トイレに置いて、行くたび、何ページかづつ読む“トイレ本”、これまでは福田和彦『江戸の性愛学』だったが、これを読了。新しく、D・リーミング『創造神話の事典』を置く。
 ニフティのFMISTY、UFO会議室の“よちよちとげピー”なる書き込み者がまことにオモシロイ。『神との対話』というトンデモ本を読み、その中で筆者が神に“宇宙人はいるか?”と質問し、神がイエスと答えている問答を読んで、
「神がイエスと言っているのだから本当ではないか」
 と言ってみたり、さらに悪霊に悩まされた話をして、
「宇宙人は悪霊に対しどういう処置をとっているのか」
 と疑問を投げかけるなど、最高。あまり面白すぎて、これはわざとツクッているのではないか、とすら思える。
 6時半、再び新宿。睦月影郎氏が“個人写真集”を出す(睦月氏が写すのではなく、モデルになる)というムボウなことを企て、女房がカメラマン、モデル協力にひえだオンまゆらさん、開田あやさんなどが参加している。今日はその撮影最終日だそうで、写真撮影を終えたK子、睦月さん、ひえださん、開田夫妻と待ち合わせ。歌舞伎町の『玄海灘』でミニ打ち上げ。何かやたら眠く、一次会のみで辞去。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa