裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

4日

月曜日

寒い

 長良川ホテル、朝6時半起き。ホテルの一階の大浴場に行く。露天風呂は茶色に濁っていて、いかにも温泉という感じなんだけど、昨日聞いたところではこれ、下呂温泉から汲んできたお湯をわかしなおしているんだとか。
 朝、K子とまずい和定食を食い、タクシーで岐阜駅。名古屋まで通勤電車に立ちん坊で行き、新幹線接続まで待合室で1時間ほど、お茶と御福餅ですごす。淮陰生『完本・一月一話』(岩波書店)読了。和洋の古典から歌舞伎、雑俳まで博学極まりない匿名の著者が生前、岩波新書から出したものの完本。古典からの博引旁証による逸話・雑学を披露するときは名人芸だが、現代政治や風俗に対する批評はことごとく通俗平凡なただの年寄りの小言になってしまうあたりは、いかにも岩波教養人。その落差が面白い。
 新幹線の中では寝て過ごす。12時東京駅着、大丸デパートの上の和食レストランで昼飯。帰宅して留守電の対応。ダ・ヴィンチからインタビュー申し込み、K社から進行状況問い合わせ、G社から12月に出す文庫の原稿について問い合わせ。M社からゲラチェックについての問い合わせ。月曜半日だけでこれだけ用がたまる。
 5時、ホームページのチェックに平塚くん来宅。目次ページにある、「伊藤剛くん関係」の部分を、「伊藤剛氏関係」に直す。かえってわざとくさいと思うが、こっちの弁護士はとにかく、神経にさわることはイケマセンという考えらしい。
 東大新聞社から来たインタビューのテープ起こし記事チェック。東大生とはいえそこはまだ学生、会話の主体をどこに持ってくるかとか、言い回しのニュアンスとかの採録が未熟で、かなりの分量、赤を入れた。
 8時、K子と待ち合わせてNHK前のソバ屋で夕食。タチウオの塩焼き、蓮根の天ぷら、あととろろソバ。今日は三食、和風だった。いきなり晩秋っぽい気候になり、肌寒い。

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