裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

27日

水曜日

しずかな、しずかな、ほしのあき

ああ母さんとただ二人 グラビア見てますいろりばた

※『ポケット!』打ち合わせ Yくん夫妻と食事会

朝7時半起き。かなりぐっすり眠る。心痛あり、かつ体もバテているが、私の特技はそういう時でも熟睡できるということかもしれない。そうでもないと絶対倒れている。

9時朝食。ブロッコリスープ、リンゴ半顆、イチゴ4粒、ブドー3粒。母の元気、かなり回復。本日はYくん夫妻を招く予定。

最後の雑誌原稿はもう送ったので、単行本ともうひとつ、シナリオの方をやらねばならぬ。とはいえ、ダーリン先生の方にもお詫びにうかがわねばならぬ。時間が読めないのはつらいな、と思っていたのだが
K口さんから電話で、先生、
「忙しいだろうからいいよ、年が明けてから会おう」
と言ってくださっているとのことで、恐縮する。なんべんこの年末はこの言葉を繰り返すかわからぬがまことに申し訳ない。

フォード元大統領死去。93歳。歴代最長寿の大統領だそうである(レーガンより45日長く生きた)。在任期間も短かったし、ほとんど印象にない大統領だったが元フットボール選手で、フットボールのことしか頭にない、という揶揄を『ピンクパンサー3』でそっくりさん俳優(リチャード・クロケット。ピーター・セラーズのスタントマンだったそうな)を使ってされており、ギャグ好きとして記憶に残っている。世界が破滅の危機に瀕しているというときも、寝言は“どっち(のチーム)が勝った?”であり、枕元のライトの傘がフットボールのヘルメット型なのである。

昼はキャベツガーリックライス。それにちょっと、でんたるさんから到来のタラコも。4時、事務所へ。バーバラとオノが大掃除をしている。昔のベータのビデオなどを大量廃棄。
「なにげに賞味期限が10年前のカルミンなどがあったので捨てました」
と言われる。あ、思い出した。伊賀上野に取材旅行(ゴスペルグループのホリー・トリニティ・ヘブンリィ・クワイヤがやってきたのだった)したとき、そこの駅の売店で、今風のものをまったく売っておらず、岩おこしみたいなものばかりだった中で、唯一の“商業製品”だったのがこのカルミンで、発作的に買ってしまったのだった。

その催しは↓こんなものだった。
http://www.jafra.nippon-net.ne.jp/publication/letter/letterbn/lbn_23/letter05.html
あの頃の伊賀上野の街は、昭和の匂いが本当に濃厚で、焚き口の前でずっと暖をとっているので前足の焦げた猫がいるというので(本当にいた。さすがに足が焦げてはいなかったが)“猫の湯”と呼ばれていた銭湯などがあった。レバー押し下げ式のカランも、天井の広告照明も懐かしくて、涙があふれたものだった。あれからもう9年。猫の湯はまだあるんだろうか。だいぶモダンな街になってしまったんだろうなあ(それにしても9年前に買って賞味期限が10年前ってことは賞味期限切れのカルミンだったってことか)。

5時、東武ホテルで『ポケット!』打ち合わせ。と、思ったら東武ホテルがなんと改修中。すでに時間割も年末の閉店。仕方なくカフェ・ミヤマに場所を移す。明後日は2回分収録。最初に1/5日の初放送の件、それから今年最後の生放送(久しぶり!)の件。年末年始の番組ってのはどうしてもお定まりのものになるが、そこをどう、崩してしかも年末年始らしくするか。

途中でY夫妻来るのでしばらく待ってもらう。佳江さんも(Yくんの奥さんのY子さんに会いに)いらっしゃる。Y子さんは以前『猫三味線』DVD収録の際、打ち上げで麻布の大衆居酒屋で飲んだとき、たまたま佳江さんと向かい合わせの席で、お互いハガキマニアということで話が合い盛り上がり、佳江さんが新潟出張のときに、居酒屋で飲んで話がはずみ過ぎて終電(新幹線の)を逃し、カプセルホテルで泊
まったという間柄。

それから、Y夫妻とオノを引き連れタクシーで新中野。母にY子さんを引き合わせるため。マドもやってきて、母のメールの不具合を(しかし、よく不具合になるパソコンである)見てくれる。

イクラ、ブルーチーズのせトーストに始まり、自家製はさみ漬、ウェスティン豚、ブロッコリスープ、頬肉のシチュー、鮭のカス汁、それに正月用のなますと黒豆。さらに、シチューのあまり汁をソースにして即席オムライス。

Y子さんのいちいちの“いやーん!”“いっただきー”“すごーい!”“Tっちゃん(Yくんのこと)とったげるー”という反応にオノ、目を細めて“萌え〜”。萌え、ったってY子さんの方が七つくらい年上なのだが。酒もよく飲むし、いやあ、最近の私どもの趣味です、この人妻においしいもの食べさせるのは。ワイン二本とビール、それから久保田もちょっと。
「明日、仕事があるのですいません、今日は飲めません」
と言っていたマドも誘惑に負けてやはり飲んでいた。

途中でまたトラブル一件、ぎじんさんと電話するが、これは今どうこうしても無理だと思うので改めて時間おいて対処しましょう、と話す。11時半お開き、明日のことメール連絡、佳江さん含めやって寝る。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa