裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

26日

火曜日

ディープ・蛋白糖

かなり尿に蛋白と糖の度合いが濃いですなあ。

※『フィギュア王』原稿、廣済堂出版打ち合わせ、どどいつ文庫来、『モウラ原稿』。

朝8時半起床。入浴、9時カッキリに朝食。なぜカッキリかというと、母がすぐ病院の検査に行くため。今まではっきり書いていなかったが19日に母、中野の婦人科病院で、“左の乳房に腫瘍がある”と診断されていたのだった。それも、5センチ大のものだという。すぐ東京医大病院(私が骨折で入院したところ)に検査に、と言われたが、暮で予約がつまっており、今日まで順延した。

20日の朝にいろいろ話しあったのだが、温存なら東京で、切除なら見舞要員の揃った札幌で、ということになりそうだった。乳癌は今では絶対に命にかかわる、という病気ではないが、母もかなりショックだったようで、もしものことがあった場合の遺産の分配について、など、細かに打ち合わせた。

すでに父を送っているし、母の年齢もあり、覚悟がないわけではないのだが、やはり現実にそれが迫る、ことにこういう時期に迫る、というのはなかなか重いものがあり、ちょうど女房の仕事場引越とかドタバタもあって、誰にも相談できず、この一週間鬱々となっていた。

やっと今日になって、心の切り替えというか、自分がガンバらなくては、という思いで母を病院に送り出す。それから溜まっていた仕事をガリガリと。『フィギュア王』、催促電話Sくんからあるがそこでもうほぼ書き上げたところ。30分で残り書き上げ(7枚)、メール。

原稿送り終わったあたりで母から電話。
「……“これは何だかよくわからないから、ほうっておいてしばらく様子みましょう”と言われた」
とのことである。と、いうことは良性だったということか。何だかよくわからないというから安心しきることはできないが、投薬もせずほうっておく、ということはそのまんまで大丈夫ということか。最初の医者の誤診ということもあるが、確かに5センチ四方のしこりはあるわけで、全くの誤診断ではないだろう。まだよくわからないが、何はともあれ、ホッと息をつく。
「クスリもくれないで3000円とられた」
と母は文句言っていた。生者必滅、死ぬのはだれしものこととはいえ、今の時期であってはほしくない。

それやこれやで出るのが遅れ、オノに電話して、廣済堂Iくんとの打ち合わせを15分、遅らせてもらう。2月発売の単行本のゲラチェック。あと、細かなこといろいろ。しかし、彼も細かなことをきちんと進める性格の人だなあ。私にはとても出来ず。外の雨、かなり繁し。12月にこれだけの雨は珍しい。

事務所に戻るとすぐ、どどいつ文庫さん来。例により、トンデモ洋書いろいろ。一発ネタのもの多し。翻訳したいもの、2冊ほど。お歳暮のタラコを一パック、年末の贈り物で進呈。オノとスケジュール打ち合わせ。正月7日にラジオで初仕事。それから、今年最後の連載原稿となる『モウラ』。7枚半、書き上げてメール、FAX。札幌のでんたるさんからお歳暮いただく。豪快な紅鮭一尾分の切り身、イクラ、その他。母に電話して、正月用に家に持っていくから、と。お祝いというのでもないが、とにかく話する相手が欲しいだろうと思い。

しかし、原稿仕事、連絡事項等いろいろあり、陽司さんも鯉朝くんもかえってこちらをいたわってくれて申し訳なさすぎ。8時半頃という予定が結局、事務所を出たのが9時過ぎというありさま。雨、豪雨といっていい状態で、タクシーつかまらず惨憺たる心境になりながら、重い荷物手に下げて街を彷徨、30分くらいしてやっと一台つかまえて帰宅する。

母の室の和室の電気が故障したので、修理屋さんを呼んでいたが、彼にも理由(いきなり点かなくなった)がわからないと言う。家捜しして、説明書を見つけ、それを読んで修理屋さんがスイッチを押したら、パッと点いた。どういうことかと思ったら、スイッチを一回押すと全点灯、二回押すと半点灯、三回で豆球、という仕組みなのだが、あまりパチパチ押すと駄目で、15秒間を置け、と説明書にはあるそうだ。しかし、今まで全くそんなこと頓着なく、パチパチ押し続けていたし、押せばそれにまた反応してちゃんと点いたり消えたりしていた。どういうことか、よくわからず。ともあれ、それだけのことで出張費一万円、とられてしまった。やれやれ。

イクラと大阪のAIWからのお歳暮の肉とで簡単な夕食。いろいろと話をする。まずはよかった。自室に帰り、原稿書き続き、のつもりが、連絡の行き違いでダーリン先生が怒っていらっしゃるとのしらせ、オノから。開田さんからも心配した電話あった。あわててノリローさんに電話、事情説明。明日、お詫びにうかがうから、とお伝えする。深夜、ノリローさんから理解していただいたメールもらいややホッと。大変な年末であるなあ。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa