裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

15日

金曜日

あなたはもうウォシュレットかしら

わ〜か〜かったあのころ〜、痔でもこわーくーなか〜った〜。

※『ポケット!』収録 『空想共和国ニッポン』打ち合わせ、『モウラ』原稿

朝7時半起床、入浴。8時半、朝食。ブロッコリスープのドロリとしたやつ、長野のヒコクさんから送られたリンゴ。

昨日インタビュー受けた『トム・ソーヤー』を見たら、さんなみとフラットが載っていた。この二つの宿が繁盛するのはまことに喜ばしい。ただ、繁盛する(売れる)のはいいが、メジャーにはなって欲しくない、と思う。

“売れる”と“メジャーになる”の違いはなにか。売れるのは個性。つまり“差別化”。それに対しメジャーとは“一般化”の謂である。
わかりやすくし、個性を類型に置き換え、対象をひろくとらえる。“売れる”人はファンを熱狂、熱中させるが、“メジャー”になる人はごく普通に人の目に触れる。いわば日常化、だ。さんなみやフラットに行く人は、旅の非・日常性の粋としてあそこの宿を、料理を味わうわけだ。メジャーになってしまうと、その興奮が薄れるのである。

モノカキや芸人などの場合も同じで売れることを目指すのと、メジャーになることを目指すのでは方向性が全く違うし、とる方法も異なる。これをごっちゃにしている人が大部分だが、ここでみな、虻蜂とらずになってしまうんである。

『モウラ』原稿書くが局入りの時間が迫ってしまい、ぎりぎりまでねばるが結局原稿は完成せず、局入りも遅れるというそれこそアブハチ。

収録は楽。今日はもう、完全に中野監督にまかせた感じ。何の話をしたかも、収録終わってまったく忘れた。ただただ、聞き役に回って笑っていた。最後にかけた田村正和の若いころのモッズ歌謡『空いっぱいの涙』のインパクトは強烈すぎ。と、いうか、中野監督も
「持ってはいたが聞いたことなかった」
曲だそうで、聞きながら
「うわ、こんな曲だったのか!」
と驚いていた。

終わって、次が同じTBSの正月番組の打ち合わせ。オノが
「実は風邪かノロウイルスかわかりませんが、このワタシが何も食べたくない、というくらい体調が悪くて」
と言う。それは一大事、と驚く。バーバラも現在ノロウイルスで寝込んでいる。事務所スタッフ全滅である。地図だけ貰って彼女を帰し、一人で打ち合わせに。心細いものである。

その前に通りの讃岐うどん屋で肉うどんすする。吉野家の前を通ったら中野監督が中にいるのが見えたが入っていくわけにもいかないので挨拶はせず。

東邦ビル五階、TBSビジョン。TBSから歩いて五分の東邦ビル5階。正月元旦にTBSのBS-iで放映されるサブカル特番、『空想共和国ニッポン』の打ち合わせ。プロデューサーK氏、制作のM氏、Tさん。M氏、
「とにかく、2時間かけてサブカルオンリーで番組を作ってしまうというのは日本で最初だと思います」
と。ゲストを見ると、特別ゲストが鈴木伸一さん、ゲストが江川達也氏、よゐこの有野晋哉、加藤夏希という“微妙”な線。内容もちょっとストレートにやるとあっちこっちからツッコミが入りそうなので、司会進行をしながら補完、もしくは自らのツッコミも必要だろう。そこらは作っている方もわかっているようで、“ここ、カラサワさんの解説よろしく”的なところもある。まあ、加藤夏希の昔のコスプレ写真が拝めるのはいいか。

司会アシスタントの山田玲奈さんが来る(中川翔子から変更になったらしい)。この娘も帰国子女。オタ知識はゲーム以外ほぼゼロ。鈴木伸一さんのことを説明するのにちょっと苦労するが、
「ラーメン大好き小池さん」
は知っていた。確かに、この程度の方が私の存在意義が際立つか。しょこたんだと私がいらなくなってしまうかも。ノロウイルスの話になるが、玲奈ちゃん、
「私も三年前、ノロウイルスで病院いったんです」
という。
「で、先生が真面目な顔して“誰か他の人の排泄物とかを口にしませんでしたか”って聞くんでビックリしちゃって。“それが一番感染源としてポピュラーです”とか言うんですよー!」
うーん、ちょっと突っ込めませんわな。しかし、わが東文研女性スタッフ二人、誰か他人の排泄物を口にしていないだろうな。

入り時間が11時だったのだが、“司会進行役として、他の出演者より先にビデオを確認したい”と言ったら、“じゃ、9時半に来てください”と言われる。ヤブヘビだったか。別れるとき、玲奈ちゃんに
「唐沢さん、本当にお忙しいですよねえ」
と言われる。山田玲奈にまで忙しい文化人、と認識されているというのは“メジャー”化なのか? これでいいのか?

打ち合わせ終えて、タクシーで事務所。連絡いくつかしながら、『ポケット!』挨拶文。それから『モウラ』原稿書き上げる。コピー、FAXなどいろいろ雑用。9時、はれつさん来て事務所内を見学、好奇心は満足した模様。

『華暦』へ行って、食事しながら雑談。以前、彼から酒の席の誘いあったがスケジュール合わなかったので。K子の新マンションの話、ゲームの仕事の話、ギャラの話、今後の方針の話など。業界に何故か必ずいる、
「あの人、いつも顔を見るけど、いったい何をやっている人?」
的な怪人たちの話。

豚バラ焼き、牡蛎の土手鍋、おでん。話し込んで、ふと気がついたら12時半。この店、営業時間が延びたようだ。タクシー相乗りで帰宅、しゃべるのに一生懸命で腹にたまるものを食べてなかったので、8番ラーメン。一乃谷のハリハリ出汁を使い切ってしまったので、何かコクに欠けるような気がしてしまう。本来ならこれで充分なんだろうが。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa