裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

25日

火曜日

あこがれの回鍋肉(ホイコーロ)

「唐沢さんのダジャレは発音してみないとわからない」
(本日の食事会にて、はれつ氏談)

朝8時起床。目覚めたのは6時ころで、布団の中でじっとしていたらふっと、新書ネタになるか、というような本のタイトルを思いつき、いろいろ考えているうちに、章立てまで出来てしまった。問題は読者にアピールするか、だが。現実をシビアに認めた上で戦略立てていけ、というような内容なので、夢を追いたがる現代人(殊に若者)にはマッチしないかも。

9時母の室で朝食、トマトジュースにシイタケ末入れたもの、ミルクティー、ホウレンソウのスープ、果物。メール、わがコーチングスタッフYさん、私の昨日出したメールに“エクセレント!”の評価。あなうれしよろこばし。

日記つけ、いろいろ原稿を、と思っていたら体、ピクとも動かなくなる。アレ、と思ううち外が夕方、いや宵のように暗くなる。雷音と共に大雨。

弁当(タラコ、根深汁)使っている間も雷雨続く。このままこの調子だったら今日は出社やめようかな、と思った程だったが幸い、1時間ほどで晴れる。タクシーで渋谷へ。打って変わって太陽照りつけ、かなり蒸す。しかし、何か蒸し暑さが嬉しい。夏の到来を予感させるからだろうか。なぜ人間は(日本人は)あんな不快な季節なのに、夏を愛し、夏を待ち受けるのか。それともあれはデパートや清涼飲料水会社が広告で植え付けた幻影なのか?

事務所、久しぶりにスタッフ(オノ、バーバラ)揃っていてにぎやか。オノの旅行土産のあんもち食べながら、いろいろ仕事の話、人物月旦。打ち合せというより井戸端会議。某所の日記の改変の件などで。バーバラの昨日のネイキッドイベント、ピンチヒッターで引き受けたものだったがさいとうさんに感謝され、この企画定期的開催が決定したとか。某所のブログでアカデミズム系悪文体クソミソに叩かれていたのを読んで苦笑していたのだがまずめでたし。彼女の出版観はとにかく“今夜まにあう金玉料理(大阪のホルモン焼き屋の看板)”的なところがあって、私も全面的に肯定はしないし、嫌う人間も多いと思うが、必要とする人間も多いのじゃないか。

2時、時間割に。NHK『シネマの扉』製作、テレコムスタッフ。映画『マイティ・ジョー』を語れというお仕事。リメイク映画、怪獣映画、ファミリー映画などの視点からいろいろ語り、ピーター・ジャクソン版『キング・コング』にも言及、リメイクの姿勢の違いなどを話し、同じ監督の『トレマーズ』のこともしゃべる。この番組、MCが半田健人だそうで、
「仮面ライダー555ですね!」
と言ったら
「よくご存じですね」
と驚かれた。いや、ただオタクなだけです。

一旦帰宅、30分時間をおいてまた時間割。アスペクトK田くん、村崎百郎さんと『社会派くんがゆく!』座談会。今回はとりあげるに足る事件が多くて、二人ともかなりノリノリでしゃべる。

帰宅してまた30分ほど時間おき、時間割。なんだかデジャブ起こしそう。最初のときに頼んだのはハーフ&ハーフ(カフェオレ)、次がぶどうジュース、最後がチョコレートドリンク。

こないだから日記でお騒がせしているプロジェクト撤退の、当の中心人物(女性)と打ち合せ。相手側のグループから彼女には今日の打ち合せに関して何のアプローチもなかった(伝えておいてほしいとメールしたことも含め)模様。仕方なく一から説明。理解はされなかったようだ。あっちはなぜ私が怒っているのかさっぱり理解できず、私はそのことに対しさらに怒り度合いを上げてしまうという悪循環。基本事項に対する認識の違いのスリ合わせが出来ない(スリ合わせることは彼女のアイデンティティに関わるらしい)。この隔靴掻痒感が今回の破綻の原因だとつくづく再確認。次に一緒に仕事する可能性は残すも一応の冷却期間を設定することはしっかり伝える。

つい長くなって次の待ち合わせに遅れる。事務所で待っていたバーバラ拾ってタクシーで代々木上原『老四川 飄香』。“ピャオシャン”と読むらしい。はれつさん、植木さんのメンツ。QPさんが本当はメンバーに入っていたのだが用事でキャンセルとなり、誰かピンチヒッターはいないかとはれつさんから連絡あったので急遽バーバラ連れていったわけ。

四川なので辛いが、それが非常に上品な辛味。唐辛子を見て驚いたが、丸茄子か、というような形状のものだった。ホイコーローにはキャベツでなくニラが使われており、麻婆豆腐も定法通り山椒で味付けされている。卵だか豆腐だかでとろみをつけたスープも美味。紹興酒と汾酒飲んで、出版ばなし、原稿ばなし、編集ばなしいろいろ。植木さんのダジャレ“国家のチンカス”最高。ダジャレは語呂の合い方だけでなく、イメージの落差があって、その度合いが大きいときに初めて傑作足りうる。このイメージの落差づけの最もうまい(私の知る限り)人物は中野貴雄なのだが。

食べている最中に、『トンデモ本 女の世界』でお世話になった、Tくんが店の奥の席から出てきて、挨拶してくる。バーバラ、はれつ両名はそこで帰り、私は植木さんと中華のハシゴでチャイナハウス三号店。自慢からグチまでいろいろスパンの広い話題で蟻酒また飲む。明日のトイレがちと恐い。さまで酔った風には感じなかったがたぶん、他人から見ればベロ酔いだったろう。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa