裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

8日

土曜日

ま・ち・ど・お・しいのは初なすび〜

まったく、七十五日寿命がのびるっていうからねえ。朝方の夢。岸体育館から原宿の方へ女の子と歩いていると、表参道の付近のビルが火事になって煙があがっている。それを見て女の子が
「先生、ケビリが上がっています」
という。私が
「ケビリってなんだ、あれはケムリだろ」
と言うと、女の子は
「うちの家じゃ昔からケビリって言ってますよ」
と言い張り、そんな日本語はない、という私と口論になる。意味がないと言えばこれ以上意味がない夢はなかろう。

朝8時半起床。入浴。9時朝食。グリンピースのスープとタンカン、イチゴ。土曜日なのでゆったりと日記つけ、ネット周回。原稿書きながら二村ヒトシ監督のDVD見る。いやあ、妄想が濃い。というか、私自身の中の眼鏡属性を再確認した。

昼はパスタ茹でて、バジルソースで。松の実が欲しかったところ。GBの原稿を書く。最初はアリモノのメモ原稿に手を加えて……と思っていたが、書きはじめたら案外面白く、ほぼ書き下ろしになる。

今日は銀座小劇場であぁルナティック・シアターの『西遊記』公演。原稿を書いていたおかげで家を出るのがギリギリになったが、土曜で車が空いていたおかげでなんとか開演5分前に到着。ところがもうほとんど席が空いていない満席状態。これには驚いた。なんとか一席、空いていたところに座るが、これが開田夫妻の後ろ、ラジオライフのTさんの一つおいて隣というお仲間席。不思議なもの。

出演はカウタックーズの5人。カウタックーズというのはあぁルナの橋沢進一、佐々木輝之、親川幸世、NC赤英、久保広宣の5人のコント集団。橋沢さんが猪八戒、親川くんが悟空、佐々木さんが沙悟浄、赤英さんが三蔵というのはシルエットでもわかる適役で、西遊記やるためにグループ組んだようなメンツ。

で、内容はアホらしいというかバカバカしいというか(同じか)、徹底してナンセンスなアドリブコントで西遊記のストーリィをつないでいくというもの。下ネタから駄洒落、悪ふざけ、楽屋オチまで一切のタブーを設けずに、あるときはダラダラに、あるときはダンドリつけて、そこにも統一性なく進行していく。満席ということも手伝ってか、客席もう爆笑の連続。前の席のあやさんが後ろにのけぞって笑うので心配になった。凄いと思ったのは、演出上画面が暗くなって不気味なBGMが流れたところで客席の子供が泣き出したときで、
「ああ、こりゃ当分泣きやまないな。親が外へ連れ出すしかないな」
と思っていたのが、コントが再開されたら泣きやみ、笑い出したこと。よほど子供に親和力のあるお笑いでないとこの真似は出来ないと思った。

で、上のキャストを見て、あれ、久保広宣は? と思った人もいるだろうが、これがまた、ご面相をいかして、なんとお釈迦さまの役。ゲイテイストたっぷりに半裸で体をくねらせながら出てくるインパクトにはやられた。場内狂乱。

とにかく1時間半、何も考えずに(考えられずに)笑いっぱなしで終了。観たからといってどうなるものではないが、観ないと損をした気にさせる、というナンセンスの基本である。開田さん夫妻、Tくん(家が近くなので自転車で来ていた)と共に、打ち上げに混ぜてもらう。さくら水産。

いろいろと話はずむが、中に、次回公演『コムテツ』に参加する女優さんがいて、彼女を真ん中にはさんでの佐々木・親川の攻防が、まるでコントの続きを見ているようで、あやさんが「連続でコントを見せてもらったみたいだった」と大喜び。あと、開田さんが『コムテツ』のフライヤーデザインを持ってきていて、これが私好みの実にいいデザイン。非常に期待感たかまる。

阿久悠さんの息子さんである太郎さん(橋沢さんの大学時代の友人)なども交え、11時半までワイワイと。ここの劇団の、打ち上げでの完全無礼講なことに関しては驚く他なし。みんなと別れ、開田夫妻と団員のモヤシくん(萩原幹大)と新宿まで銀座線で出るが、丸ノ内線に乗り換えるつもりが残念ながら最終が中野坂上止まり。タクシー相乗りで帰る。明日はまた開田夫妻とは昇輔くんの真打昇進披露で会うのであるが。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa