7日
金曜日
愛、あなたと不渡り
不渡りのため世界はあるの。朝7時半起床。朝食9時。空豆のスープとミカン、イチゴ。FRIDAYトリビア原稿書く。葬式というテーマ。雑学が多くてどれを使ったものやら。
四コマネタ出してK子メール、さらにコラム510文字書いて編集部にメール。これでもう昼近い。弁当、昨日のてんぷらの残りを甘辛く煮たもの!『魂食!』の中でも対談で言っているがこれこそわがソウルフードかも。
今日の収録につきおぐりからメール、オノとおぐりと私でちょっと返事の行き違いがあったので急いでおぐりに電話。
3時、事務所。オノとちょっと話。いろいろと心配してくれるのは申し訳なし。また、フワリさん、トテカワなどと女性人脈を作ってもいるようだ。面白い。また、意外な人物と今度飲むという話もあるとか。
仕事数件しているうちバーバラも出社。『ポケット』の収録に使うCDを彼女らに何曲か聞かせる。かなり受ける。とはいえ、今日はまともにセルスターズの『急げ風のように』。深夜放送なので歌詞にある“夜はわれらのもの”ってのがいいかな、と。
7時、オノとタクシーでTBS。一週間間があいただけでちょっととまどう。そんなものか。I井、イニャハラ、S川、N本というブジオスタッフはそのまま残留。今春から早稲田の院生になったN本くんがやけに髪や服装などスッキリしたのでどうしたの、と訊いたが別段の理由はなさそう。やってきたおぐりも同じことを言っていた。
同じ9階ながら今度のスタジオは収録番組用の第4スタジオ。前の第7スタジオに比べるとうんとせまい。海保千里アナ、やってきて挨拶。I井Dも実は海保さんと仕事するのは初めてだそうである。ミキサーのUさんから、チョコレートの差し入れ。WBCに行っていたというのでアメリカのかと思ったらその後に行っていた新潟のおみやげの“安田の牛乳クランチチョコ”。それから、なんと某女性ファンから、魚肉ソーセージの一箱分の差し入れがあった。この女性が水産加工会社に勤めているのでこういう差し入れなわけだが、水産業界ではこの魚肉ソーセージを“ギョニソ”と呼称するのだとか。おぐり曰く、
「この番組が半年間放送ですが、魚肉ソーセージの賞味期限も半年なんですよ。しゃれてますね」
とのこと。
そしてシャンパンの差し入れ。これは誰かと思ったらイニャハラさんからだった。本当にスタッフたち、ファンたちのはげましが有難い。せまいスタジオに人がいっぱいで暑いくらい。番組の前途を祝して乾杯。
そして打ち合せだが、スタッフの共同体意識がこれほど固いと、かえって新しく参加した人が萎縮する可能性がある。海保さんの意識をほぐすために雑談しばし。こっちの雑談の方が面白くなったりする。
熊倉さんのタイトルコールにかぶさる音楽のおしゃれなこと。いかにも深夜番組という感じ。そこでオタクな話題というのもちょっとミスマッチだが、基本的にオトナのオタクを相手の番組、ということで。
収録開始。最初から、生放送に出来るだけ近づけるために30分をオーバーしないように気をつけたのだが、途中、わざと脇道に流れるところで本当に脇道に流れてしまい数分、オーバーしてしまった。
それでも、この番組の基調のカタチを『伊丹十三です。みんなでカンツォーネを聞きながらスパゲッティを食べよう。正しい作り方も研究しよう。』の中の伊丹十三と高梨木聖の語りを参考にしたのは正解。『ブジオ!』のときのわたわたしゃべりとはちょっと違うものになる。話を持って回ってオチにつなげたときは海保さんが思わずツッコミを忘れて拍手してしまい、これはあとでプロデューサーから注意が出た。
本編収録終わってから今度はラストコント。イニャハラさん独特の意地の悪い脚本。小林麻耶なら「えー、あたし読めません〜!」になるところだが、そこでがんばるのが海保千里。やはりいろいろ違うな、と思わせる。
そして、ポッドキャスティング済ませ(これはもっと長くていいと思う)、おぐりのコーナー。これはなんとか登場時間を長く、頻繁にと思っていたのだが、結局、唐沢&海保のコンビの認知を第一義にするため、またおぐりが4月5月と公演に重なってスタジオに収録予定日にこられないため、一ヶ月に一回、月末ポッドキャスティングのみの出演となる。私の力不足。まあ、いろいろ他に手は打とう。
コーナーそのものは、パンダシュレッダーなるものをおぐりが紹介するというカタチのもので、おぐりのキャラにはあっている。ただ、どうしてもうわの空という自分の所属を自分の名前に冠してつけたがる悪いクセがある。前に注意したのだがやはり今回もつけた。気持は十分にわかるが、多くのリスナーにとっては劇団名は言ったところでただ頭の中を通過してしまうだけ。ラジオ番組に出たからは出演中はどこの所属であろうとその番組のメンバーになりきってほしい。そしてその放送を聞き、
「こいつ、面白いな、どういう奴なんだ?」
という興味を持ち、好奇心で番組のサイトをのぞき、そしておぐりゆかという名前で検索する、といった積極的な過程を経て
「へー、劇団の女優なんだ」
という認知をしてくれる人間こそを大事にすべきなのだ。それでこそ初めて劇団のためになるファンを獲得したということであると思う。
私自身も番組についてはいろいろ反省。30分番組でしかも収録なのに、生放送よりずっと疲れた。海保さんも言っていたが、生の場合は一旦口にするともう取り返しがつかないので
「ま、いいか」
と開き直れる。だが収録番組は
「ああすればよかった、こうすればよかった」
という反芻と反省が残る。それにしばらくはさいなまれそうである。主な反省点としては最初に“これしゃべろう”と思ったことにマイクの前でアドリブで加える脱線部分が足され、話が長くなってしまったこと。それからテンポの問題。次回はも少し話のセグメントセグメントの切れ目を明確にして音楽でつなぐ、ということを意識すべしそして曲は少なくとも二曲はかけたい。いろいろ反省しきり。
ただ、I井D、I垣Pには絶賛を受けた。
「面白いです、凄いです」
と称賛の嵐。たぶん、彼らの世代が最初に深夜ラジオを聞いていた、その時代のラジオ番組のカタチの再現になったからだろうと思う。少し気分が軽くなる。
終わって挨拶、ギョニソをみんなに分ける。今日はスタッフはこれから編集作業なので私とオノとおぐりのみで、軽く打ち上げ、ごげんとんで。収録の話、舞台の話、これからの仕事の話。確定のこと未確定のこと含め、いろいろと話す。おぐりについては、いくつかの企画が、おぐりに話したとたん具体化したという前例があるので、未確定まで含めて話してみる。いい感じではあるのだが、どうも酔ってループしてしまっていたようだ。話し続けているうちにおぐりが
「あの、腰折ってすいませんがそろそろ終電なので」
とすまなさそうに。これは悪いことを。ちょっと興奮気味だったか。
私とオノはもう少し後に残って番組の反省。スタッフにはベタ褒めにされたが、私らにとってはまだ未完成。
「少なくともオレのベストじゃないよな」
との前提で、次回の収録についての改良点をいくつか。深夜っぽい感じとはどういうことか、と試行錯誤するうち、ふと、そうか、海保千里をくどいているつもりで話すといいんじゃないか、と思いついた。『みんなでカンツォーネを聞きながら……』では確かに若き日の伊丹十三は高梨木聖をくどいていた。おじさんになると、どうも相手を女性(しかもあれほどの美人)ではなくて秘書とか部下とかを相手にしているような話をしてしまう。も少し若返ろう。タクシーで帰宅。すぐベッドにもぐりこむ。