裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

8日

水曜日

ハッテンバー・レイン

9月のホモは冷たくて。朝7時15分起き。入浴して日記つけ、途中で朝食。味噌汁卵入り、伊予柑半顆、イチゴ2粒。ミルクティー。自分がコーヒー党でなく紅茶党であると最近しみじみ自覚。と、いうより小学生くらいのときはわが家はコーヒーをほとんど飲まず、紅茶オンリーだった記憶がある。子供期に退行したということか?

花粉飛散は今年はほとんどない、と気象庁、確か言っていたはずだが、これも暖冬予想と共に大ハズレか。ポカポカ陽気でかなり飛びそう。もっとも、最近は右目だけがなぜかうるむ。

日記つけ終わり、バーバラ・アスカと仕事がらみでメールやりとり。そこらで11時半。着替えて外出。今日は春日部まで遠出をして、首都圏外郭放水路取材なのである。
12時ちょっと前に着いたので、立ち食い蕎麦で腹ごしらえ。この新宿駅南口の立ち食い蕎麦は、立ち食い蕎麦の中でもかなり味気ない方に入るのではあるまいか。食べ終わって待ち合わせのドトール前でオノと、『通販生活』Kさんに落ち合う。
そこから埼京線で大宮まで、それから東武野田線で春日部のまたちょい先の南桜井駅。ここまで来るととんと遠足といった感じ。Kさん、
「クレヨンしんちゃんが住んでるのってこのあたりなんですねえ」
としみじみ。

蕎麦腹ではちょっともたなさそうなので大宮駅で買った菓子パンをホームでオノと齧る。そこでカメラマンさんと合流、タクシーで庄和町の排水機場まで。車中、大島の(フランスの)Hさんのお仕事関係の人から電話あり。
『龍Q館』という見学用の建物に入る。国(国土交通省)の施設なのだが春日部市が管理している。今日は要するに
http://kengaku.exblog.jp/994307/
↑ここで紹介されている首都圏外郭放水路を取材するのである。まず、係の人に案内されて、この施設の宣伝ビデオを見せてもらう。CGで龍が吠える、うーん、という映像。

それからいわゆる操作室を見せてもらうが、これが大画面のスクリーンを前にデスクが配置され、その上に操作用パソコンのモニターが並ぶという、平成ゴジラ映画の対策本部みたいな場所。ここで、操作盤上のスイッチを嬉しそうに眺めて触っている写真を撮る。カメラマンさんとSさん、
「異様に似合っている」
と評していたが、そりゃそうで、私はこういう映画のこういう役をやりたいやりたいと思ったままオトナになった人間なのだ。後で聞くと、まさにこの操作室は、ウルトラマンの司令室として登場しているそうだ。見ると、壁にこれまで撮影に来た映画の写真が飾ってある。『ウルトラマンコスモス』『ウルトラマンネクスト』『仮面ライダー555』『ウルトラQ』『鉄人28号』『マジレンジャー』と、特撮作品御用達という感じ。『北の国から』の五郎の出稼ぎ先、などという設定のもあるが。

それからいよいよ外に出て、地下へと入る。高さ17メートル、幅78メートル、長さ177メートルの地下調圧水槽に、重さ500トンの巨大な柱が59本林立するその光景は、神殿のようにおごそかである。最初は上の通路のところから下を眺め、次に実際に中に降りていってその巨大さを実感する。

見学ではなく取材なので、ゾロゾロとみんなで歩くこともなく、係の人に私、Sさん、カメラマンさん、オノと、5人でこの巨大な内部を独占するのはいい気分。今日は内部にかなりの音が響く。新しく完成した槽のテストのために、水をポンプでそこに注入している音である。

見ると、この貯水槽に水を流し込む、その水をせき止めるシャッターの向こう側で、テストとはいえ凄まじい量の水が波打っている。その波が、まるで特撮映画のスローモーションの波そのもので、もし、何かの間違いであのシャッターが開けられたら……と思うと、ちょっと冷や汗が流れる。

さまざまなポーズ、と行きたいところだが、せいぜいこういう場所で巨大さを示すポーズと言えば両手を大きく広げるくらいである。何ヶ所からか写真を撮影。それから第一立坑の方を見る。ポカポカして春日和の午後なので、地上では子供たちが遊んでいる。その音が立坑の中に響く。下までは降りられないというので、階段をちょっと下りた地点で撮影。

階段の昇降はそんなになかったが、それでも貯水槽の中でいろいろ歩き回ったためか、終わって階段を地上に向かって上るときは足がクタクタになっているのを感じた。それにしても、“巨大”“地下”という要素が単なる貯水槽を神殿に思わせてしまう。人間の感じる神秘的要素というのは何に由来するか、興味あるところである。

取材終わり、先ほどのコースを逆にたどって東京へ。春日部を見たあとでは与野が大都会に見えるのが可笑しい。南桜井を出たあたりに“整形外科・ミス”という看板がありオノと驚く。未婚女性の意なのだろうが、整形外科でミスはいけなかろう。
あと、巨大送電塔の、どう考えても傾いているのがあったり。車中でKさんから、次の企画の件で話があった。面白い企画だし、これならと学会関連でノレる人材がいるので、協力を申し出ておく。新宿でKさんと別れ、われわれは渋谷へ。南改札から出てタクシー。仕事場に戻る。ふう、という感じ。

電話やつぎばや。フィギュア王S氏から、原稿届いていないという苦情。あわててメールを確認するが、ちゃんと送信記録は残っている。S氏の2度目の催促メールも受信されていない。サーバーの不具合か?K子からは転送されているというので、それでいいですと答える。昨日、催促のすぐ後に送っていい気分だったのに。
TBSテレビから、キンカンのことでインタビューしたいという話。バーバラからソウルフード本のことで。さらにそのことでおぐりから。加えて例の本のことで井上くんから。こっちも電話、三才ブックスなどに。

メールも多々。『創』Kさんから次回対談と特集に関しての依頼。オノにスケジュール投げるが、何かすでにパズルのように「アレをあっちにずらして、そこにコレを入れて」ということになる。金曜、ブジオ放送終わったあと、打ち合せありとI垣Pから連絡あった由。そろそろ本格化。

7時、家を出てまず幡ヶ谷へ。みみんあいさんのプロフィールを受け取るため。マスター、“明日は何時に入ればいいの?”、私“いや、明日は私らがこの店に入るの。京子さん(みみんあいの本名)が入るのは明後日”。マスター“あ、そうか。こんがらかっちゃうヨ”と。

そこから中野の自宅。今日はオノとマドの引っ越し祝いで家で夕飯。母の手作りのレバーパテ、イクラ、ソーセージがオードブルで、それにメバルとハマグリのアクアパッツァ、カブのサラダ、青豆のスープ、ガーリックライス(肉入り)。ワイン、スペインのとチリのと空け、あと安納芋の焼酎ちょっと。途中でこやびんさんがおかずを受け取りにくる。サイトの運営の話をちょっと。11時に、かなり酔って(いや、最近のレベルから言うとそうでもないか)寝る。

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