18日
水曜日
社会派くんがヌく!
監禁事件ハアハア(なんぼでも出来ますな)。朝5時半起き。入浴、昨日も飲んでしまったので、テレビ生出演というのに顔色どんよりとし、目クマが出来、鼻の脇に ニキビみたいなものができかけている。憂鬱。
ミクシィ書き込みなどしているうちに6時になる。母の部屋に行きビデオ録画を予約、のはずが説明書がどっかいって見つからない。考えてみればはなまるマーケットはオンタイムで見ればいいのだ。部屋に戻り、はなまる用ネタをメモ代わりにワープロで打って、プリントアウトしようとしたが何かトラブルでプリンター起動せず。ま あ、これくらいはアドリブで、と思い着替えてそのまま出る。
差し向かえは黒塗りのハイヤー。『トリビアの泉』は、打ち合わせにいくたびにタクシーこっちで拾っていく。『世界一受けたい授業』はタクシー差し向けてくれる。今回は特番の番宣役だけにハイヤー。これが一番の待遇である。それほどのタレントじゃないのだから、と気恥ずかしい気分になるが、車は実は出す方が向こうにとっても有難いのである。こちらの入り時間が確実にわかるからだ。テレビ、特にナマ番組の場合は絶対に出してもらうべき。遠慮は無用、どころかこちらのミスで遅れたらむしろ遠慮は迷惑、になりかねない。また、その安心確保のためか、ハイヤーの方も、おとつい聞いたところでは新中野〜赤坂間を50分程度、と想定していた。余裕とりすぎである。
「30分かからないで着きますよ」
「いや、朝のラッシュもありますし、何があるか」
などと言っていたが、予想通り25分程度の乗車。
北口(狭い暗い寂しい)の方におろされる。ディレクターのM女史迎えにきてくれて、楽屋に通される。古い楽屋だが、それだけに風呂場まで備わったもの。すぐネタ出しして、写真にキャプションをつけておいてくれと頼まれる。六花スケマネも無事に到着。母の作ったサンドイッチで朝食、と思ったが、それだと彼女分のコーヒーがない。あるのは缶のお茶だけ。これは昼に回して楽屋弁当で朝はすまそう、と、置いてあった仕出しのオニギリと鶏唐揚げをつまむが、これが凄まじいまでのまずさ。最近コンビニだってこんなのはないぞ、というような型抜きの、冷え切ってご飯ガチガチの。コナみたいなおかかを醤油煮染めたのが具。他のはシャケ(これもコナみたいなの)とツナマヨ。六花マネに
「これはスゴークまずいから食わない方がいいぞ!」
と言ったら、ヘアメークのお姉さんが
「今日はどうしちゃったんだろうってみんなで話し合ってました」
と言った。してみると毎度こうではないのだろうが、一応グルメ情報番組でこの弁 当はないだろうと驚いた。
やがて時間来て、スタジオへ。すでに番組前半は始まっており、今泉清保アナが新しょうがについてしゃべっている。私はこの人の顔は福留さん司会の頃の『ズームイン! 朝』で知って記憶に強く残っていたのだが、なんかそういう人と同じ空間にい るのが奇妙な感じ。
登場時の立ち位置とカメラの動き、セリフのみ確認。さすが生放送番組の現場は収録番組より緊張感がある。嬉しかったのは、“ナマコマ(生コマーシャル)”を初めて見られたこと。それもダニ夫くんだ。なんという役者さんで他に何をしているか知らないが、朝からあのメイク、あの扮装でスタンバっているのも大変だろう。しかし 演技は嬉々とした感じでこなしている。プロだ。 撮る側の方も面白い。
オタ話になるが、テレビの番組がこうして作られている、というイメージを、私の世代は映画『キングコング対ゴジラ』で得ている(今にして思えば、あの映画は日本映画黄金時代の絶頂期に、やがて自分たちの立場をテレビがおびやかし、追い抜くことを予見したようなストーリィで組み立てられている作品だった)。高島忠夫のカメ ラマンが生コマでドラムを叩いて
「パシフィック製薬のパシンをどうぞ!」
と叫び、それを見た同僚の藤木悠との会話で
「なんだ、カメラマン廃業か?」
「冗談じゃない、ピンチヒッターだよ。太鼓叩くヤツって頼んだらお祭りの太鼓叩くのが来ちまって」
とボヤくシーンが実に面白く、テレビ初期の現場のドタバタぶりがうまく表されて いた。
Mさんに聞いたら、
「そうですね、もう30年も生コマ専門に制作している人がいて、私の生まれる前からこういうもの撮ってるんだー、と思うと感慨深いですねー」
とのこと。もうテレビには何十回と出ているが、初めて
「あ、テレビの現場にいるんだ」
という興奮が味わえた。
で、時間が来て最初の登場シーン。
「薬丸さんの名前の丸には……トイレという意味もある」
と、露骨に『トリビアの泉』調で。
「いいんですか」
と言ったら、局の上の方には通してあるから、とのこと。いざ本番、台本にはやたらいろんなコンテンツが用意されているので、なんか一時間もしゃべらないといけな いような感覚だったが、始まってみるとあわただしく、アッという間。
しかし、TBSの番組で『トリビアの泉』の誕生秘話を話すとは思わなかった。薬 丸さんも
「いいのかな、他局の番組のことこんなに言って」
と(たぶん地で)つぶやいていた。しかしまあ、そんなあわただしく雑学述べる中で無事チャイナハウスのおいしさも伝え、夜の番組宣伝もきちんと勤め、どこでどうするかアタマをひねったが、トンデモ本大賞のことも告知した。所期の目的達成、と いうところ。
モニターの中の私の顔、やはり二日酔いっぽい。終わって控室に戻るとき、Kプロデューサーが
「また来週あたりリュータローさんと飲みましょう」
と。橋本か、上岡か、と一瞬とまどったが、ああ、皆神さんのことか、と納得。普段は名字かまたは本名で呼んでいるんで、下の名前だとちょっとまごつく。
ハイヤーで新中野まで。車中スケマネと打ち合わせ。地方公演の主催者側はやはり講演後パーティに出てほしがっている模様。講演者として出向くんで、タイコモチとして行くんじゃない。パーティは勘弁してほしいところ。それにマネージャー(その回にはK子を連れていくつもり)のアシ(交通費)やマクラ(宿泊費)が出ないとい うのは何よ。
新中野、母の室でコーヒー入れてもらい、サンドイッチで昼食。キウリとローストビーフのもの。マネは一旦帰宅、私も自室に戻りしばらく寝る。起きてパソコンのぞいたら、メールであぁルナティックシアターの橋沢さんから、今泉アナのこと。昔からの親友だそうな。世間は狭すぎ。
雑用いろいろ、気がつけば3時。タクシーで出社。トンデモ本大賞授賞式招待状最終リスト分を作って発送。それから『モノマガジン』原稿、5時半までに6枚アゲ。 ちょっと苦労したがまず、読めるものに。そこで家を出て、新宿へ。
今日はゲラッチさんを囲んでの焼肉パーティ於八起。しかし、朝にテレビ、夕に原稿、夜に焼肉とは充実しているんだかいないんだか。車中、Kプロデューサーから電話、出演料の相談。特番の方、やや安めだが今後のおつきあいも含めサービス値段ということで。はなまるは思っていた額より高かった。まず、日テレとフジの中間とい うところか。
時間がちょっと早かったので山下書店で新刊五、六冊。選んでいるうちにギリギリになり、あわてて小田急ロマンスカー口へ。ナビの談之助夫妻、六花マネ、母、来ている。遅れてゲラッチさんも。初めての場所を待ち合わせで指定しておいて、自分は用事があるから来ないというK子もなかなかのタマ。案の定、入り口を間違えて待っ ていたらしい。
ロマンスカーの中で雑談、30分ほどで相模大野。車中、週プレMくんから電話、ゲラチェック今夜じゅうというがちと無理。一行ハミ出のところのみ指示して削ってもらう。しかし、前々回、前回とゲラチェックの日に夜の予定が入っていた。ちと困 る。スケジュールを少しなんとかしよう。
八起に入ろうとしたら出てきたオカアサンに
「アラー、センセイ! はい、並んで並んで」
といきなり言われる。ナニカと思ったら、私と一緒に写真撮りたいというお客さんがいたらしい。ヘイヘイと引き受けてパチリ、二枚ほど。ファンサービスは嫌いじゃない。出たくもないパーティにつきあわされるのがイヤなだけで、私の読者、視聴者 の場合は大いに結構。
残りのメンバー、しら〜、I矢、のび太、みなみ、QPといった面々もつつがなく揃い、さて乾杯、と思ったら大画面スクリーンに私の顔が映っていてビックリ。ちょうどやっている『奇跡特番』が映し出されていた。私の紹介で、“『トリビアの泉』 スーパーバイザー”なんて出ている。太っ腹というか、TBSも。
まあ、いいやということで、乾杯、さて後はひたすらに肉肉肉肉肉。人数もちょうどいいので特別肉を出してくれ、タン塩、カルビ、ロース等、いずれも口の中でトロケルよう。そしてレバ刺し。うーん、天上の美果。ビールと焼酎梅干し割りをおかわ りおかわりで、かなり酔う。
酔眼で奇跡特番見ていたが、どうも私の出番、かなりカットされていたんじゃないかと思えるのだが……。最後の雑炊まで行き渡った頃、オカーサンがまた
「写真、写真」
と。別テーブルのお客さんと一緒になって撮影。苦笑しつつ。このおかげで(だと思うんだが)本日の支払い、あれだけ食って飲んで、エッというような額。ならいく らでも写真くらい撮りますよ!
タヌキみたいにふくれた腹を抱えて小田急で新宿まで、そこから母とタクシー。さて、あの特番の結果受けて、進めている企画がどうなるか……。ちと不安にもなって くる。