裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

13日

金曜日

七人のヘブライ

 ユダヤ人雇うだ。朝6時半に目が覚め、ベッドの中で読書しばし。入浴、歯磨き如例、8時朝食半熟卵一ヶとタンジールオレンジ一ヶ、ホワイトアスパラの冷スープ。イケメン少女監禁犯小林泰剛、子供時代のあだ名が“王子”。しかもアダルトゲーム1000本所有のオタク。警察の方々はこれから、彼の犯罪性をどのエロゲが誘発させたかの検証のために、1000本のゲームを全てプレイするわけか。宮崎事件のときはあの部屋のビデオを全部見たとか言ってたし。オタク版のレクター教授みたいな人物がこれから必要になるんではないか。

 11時、出勤。楽工社から座談会ゲラ届いている。昨日送られた発表分ゲラと共に赤を入れてFAXで返す。私が最後の執筆者というわけでなく(この期に及んで「連絡がとれないんですが」という執筆者もいる)しかも書店納品は東京大会前でなければダメ(これは私が楽工社立ち上げのときに約束させた)というスケジュールに、他 の執筆者の中には
「コミケ同人誌でもこんなスケジュールはないのでは」
 と驚いている人がいらっしゃるが、なに、最近の出版はこんなのザラなんである。いいこっちゃないが。

 昼食、納豆とキウリのキムチで。二見書房から単行本の写真撮影のスケジュール来る。週プレMくんからも『名もニュー』の初夏バージョン写真撮影のスケジュール問 い合わせ。撮影ラッシュである。

 TBSからバイク便で村井弦斎『食道楽』を取りにくる。この中に紹介されている明治時代の西洋料理レシピを再現しようという試み。あわてて付箋いくつか貼る(後記、これはその後取りやめになった)。それから『FRIDAY』四コマネタ、一気 に6本。そろそろストック分を作っておかないと。

 メールして、次にSFマガジン、とか思っていたら一本ダメ出しが入る。ダメ出し直しというのはアタマからネタを出す倍くらいの時間がかかる。めんどくさいが
「読者アンケート結果ではこの連載、いくつもの見開き2ページの記事を上回っております。FRIDAYに10年間在籍しているK副編集長も、1ページものとして過去最高の連載だと申しております。アサ芸、週プレ以上に今後ともよろしくお願い申し上げます」
 などと自尊心をクスグる文句が入っていると、よし、じゃあひとつもっとよくしてやっか、みたいな気になるのが単純。課長とか部長という出世の目に見えるカタチがないフリー職業は褒められおだてられるしか自分の今の位置が確認できない、実は弱 いイキモノなのである。

 スケマネから連絡、アニメ夜話次回収録で仮押さえしておいた日、やはり講演とモロかぶりとのこと。時間でなんとかやりくり出来ればと思っていたのだが。夕方に入り気圧乱丁、かなりバテる。残りの仕事は明後日回し(明日はと学会例会で一日ツブ れ)にして、7時、渋谷駅。

 13日の金曜日で混みに混む中、世界文化社D女史、ゲラッチさん、母と待ち合わせ、東横線で武蔵小杉。Dさんが待ち合わせ場所カン違いしてたり、ゲラッチさんが途中で見えなくなったり、ドタバタの中、なんとか急行に乗り込んで出発。ちょうど今日、マイミクに入ったおれんちの若と挨拶。高橋のび太、I矢、モモのメンバーも来る。カウンター席に私の日記からここの店の常連になった(ばかりかうわの空の常連にもなった)力丸さんがいる。彼は釣りが趣味で、今日も釣ってきたイカをこの店に寄付して、いまおろしてもらっているのを差し入れます、というので、じゃアあなたもこっちの席にどうぞ、と誘って加わってもらう。みなみさんも(「来られないかも」と言っていたのに)当然来て、白レバ刺し、燻製、筍、こごみなどで乾杯、その後お造り盛り合わせ、天ぷら、だるま下足唐揚げなど食べてワイワイだが、連日の〆切と連夜の深酒と気圧の乱れで日本酒が急速に回り、もったいなや、途中からほとん ど何も覚えていないベロ状態になる。

 ゲラ、モモ、Dの三人美女がなにかやたらハシャいでいたのと、力丸さんが私の日記に出てくる名前の人たち(なかんずくI矢くん)に会えて感激していたのと、母が嫁が今日はいない(九州から来たぴんでんくんとの食事会の方に回った)のでリラックスしてほとんど独演会みたいになっていたこと以外は、あまり記憶になし(それでもくじら鍋が出て滅法これが風味豊かだったのは覚えている)。最後に手打ちソバす すって、肌寒の中帰宅。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa