25日
土曜日
撮り下ろすパンチョス
ラテンミュージックの大御所写真集、全写真撮り下ろし! 朝6時頃、二日酔いで目が覚める。目が覚めても起き出せず、ぐずぐずと。もっとも楽しい酒であったので後悔はせず。これくらいは妥当な対価だ。昼頃帰京というならずっと寝ていられたのだが、こっちも忙しい身、7時にベッドから這いずり出て冷たいシャワーを浴び、着替えてチェックアウト。ここのホテルはルームキーがカードになっているが、鉄道のキップ精算みたいに、ロビーにある精算機にそのカードを入れるとチェックアウト精算が出来る。人情というものがないが、あわただしい朝にはいいシステムである。
タクシーで新大阪駅まで。8時17分の新幹線。列車の中で朝飯をと思ったが二日酔いで食欲なし。伊勢の赤福を買って、半分ほど車内で食べる。酒でもたれた腹に、上品な甘味が心地よし。車内でちょっとモバイルつなぎメールチェックする。ツチダマさんから、いささか驚く内容のメール。いそいでその件でおぐりゆかにメール。テレビ出演などについてのうわの空サイドの決定についての確認メール、であるが、彼女も知らなかったらしく驚いていた。でもまあ、その方針でGO。売り出し計画、着々進行中……なのか?
そのやりとり以外、東京までの2時間半はただ窓外の景色を見ているだけで過ごし結局、大阪での読書用にカバンに入れてきた三冊ほどの本(以前は行き帰りとホテルなどで、一泊旅行で三、四冊の本が必要だった)には手もつけず。怠惰になったものである。ただ、ぼーっと窓の外の景色を眺めている方が着想は得られる。自分が今、 着想を必要とするモードに入っているということなのだろう。
東京駅から丸の内線に乗って新中野、12時ちょっと前。まだ昼食前の母に、おみやげの柿の葉寿司を渡し、着替えてから仕事場へ。ツチダマさんからおぐりちゃんのプロフィールが送られてきている。いくつか溜まっていたメール出し(扶桑社のY氏にサイン会の報告とか)行い、3時、東武ホテルへ。制作会社ザ・ワークスのK氏にプロフを手渡す。K氏とちょっと雑談。K氏は韓国の人である。電話で唐沢です、と名乗ると“はい、カラサワさん、ワタシの名前はKと言います”などと面白い応対をする。日本のテレビ制作現場を勉強しに来て10年になるという。オタク的体格で、実際日本のテレビ番組のオタクらしい。こっちよりよく知っている。人柄も誠実そうで、ちょっとドジをやっても見かけと対応の丁寧さで得をしていて、あまり腹が立たない。テレビ制作会社のスタッフという人種に、正直言ってあまり好感を持っていないのだが、彼と会うと何か心が癒される感じがする。二十年くらい前、私が若かった頃には、こういうまっすぐで都会的でなくてドジだけど一生懸命、というタイプの人が日本にもいっぱいいたよなあ、という気がする。存在がそもそもレトロ系なのだ。
4時、新宿に出て、区役所通りのカラオケ・パセラに行く。すでに植木さんと眠田さんが来て待っており、これにIPPANさん、S井さん、K川さん、I矢さん、S山さん、太田出版Hさんといったメンツが三々五々来て加わる。別にと学会員でカラオケ大会をするわけではなく、来年のトンデモ本大賞実行委員会をそろそろ始動させるに当たり、まず今年の記録ビデオ(開田さんが撮ってくれたものをIPPANさんが編集)を見て反省会を開こうというもの。最初はどこかの会議室で、と思っていたのだが、なかなかDVD再生装置のある会議室がなく、じゃカラオケボックスはどう でしょう、とIPPANさんの提案で。
なんかエロビデオ屋の個人観賞室みたいな感じでもあるが、しかし飲み物などは取り放題であるし、なかなか結構。こういうカラオケボックスの利用法があるとは意外であった。かなりの長時間に及ぶビデオの編集は大変だったろうが、裏方の動きと配置中心に。で、三回目はどうする、ということ。とりあえずまた私の方で構成案を出すが、ガラリと変えよう、というのを基本方針にしながら、変えられない部分はどれか、ということを話す。前週祭を本当に前夜祭にして、そこの出演者を充実させるというテもあるか、とか考える。
そこを出て、眠田さんのみ帰宅、残り8人で歌舞伎町のキラー・カーンの店『カンちゃん』へ。生ビールで乾杯。ここでもまた大会の話するが、酒と食い物が回るにつれて次第に雑談に崩れていき、いつもの飲み会へ。旧約聖書のヤコブの行状がなかなかキチクである話、フイチンさんのアニメの話、第二第三夫人論などなど話は八方に飛び、また駄洒落も頻発。ほとんど忘れたが“御殿場天使”“グール宅急便”とか口走った。トントロ唐揚げ、豚バラ味噌串焼き、蛸の刺身、秋刀魚の刺身、馬刺など。カーン(カン)氏の薦めで卵焼きも頼む。最後は(調理場の都合上先にこっちが出たが)ちゃんこ鍋。酒はかぼす焼酎。ガブガブ。三日連続の大酒となる。
9時過ぎ、散会。Hさん、IPPANさんはそこで帰り、植木さん一党はこれから中華料理を食いに行く、と言う。ついていきたい気は山々なのだが、さすが大阪からの帰京当日でバテているので、そこでタクシー拾って新中野まで。もう一度ネットでメールのぞき、例の件は例の如くで決着したこと確認、いやいやいろいろ面白いことになってきたことよ、とニヤニヤしながらすぐベッドへ。