裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

13日

月曜日

治五郎のご愛顧にお応えして

 柔道を始めました! 昨日も午前様で、朝起きがツライかな、と思っていたら5時頃にさわやかに目を覚ました。酒さえそんなに入っていなければ寝不足は気にならないらしい。朝食、キャベツとトマトの冷製ポタージュ。二十世紀梨。9時まで、いろいろネットなど。昨日の関係者にお疲れさまメールなど出して。

 昨日のお客さんからも感想メールいくつも来ている。やはりおぐり、絶対のウケ。とはいえ、ちょっと私も昨日の彼女のノリを見て、例えば彼女を仕事に使うというような場合、ただ司会とかアシスタントとかを依頼しただけではダメで、このパワーをどう活かす形にするか、を常に考えないとダメだな、と頭を抱える。テレビ画面は彼 女には小さすぎる。

 破裂の人形さん(常にメールでは“私の小栗由加”“私の島優子”と書いてくる)からもライブの感想メール。その他、訂正の指摘も。ブルネイの皇族に村上麗奈をあてがう手配をしたのは、外務省ではなく、かの国のLNG(液化天然ガス)を一手に引き受けて輸入している某商事会社であろう、とのこと。国際燃料取引においては、各社は本当に信じられない大接待をするそうである。村上麗奈などはまだ小物のうちなのかもしれない。日本のような資源小国においては、産出国への接待が国のライフラインをかけた切り札になるのであるから、国は少し、予算をかけて外国のスケベエどもを一発でとろかすウタマロ・ガールの育成を、民間にまかせず国家事業として行えばどうだろう。繰り返し言うが、日本は強国や資源国にこびへつらい、彼らにおべんちゃらを言わねば、生きていけない弱国なのだ。生き延びることに必死になり、手段を問わないことは何一つ恥ずかしい姿勢ではない。村上麗奈のおかげで日本にいくばくかでも有利な条件でLNGが入ってきたというなら、彼女に国民栄誉賞をやってやりたいくらいのもンである。役にも立たぬオリンピック選手などにやるなら、彼女 にやった方がよっぽど賞は価値がある。

 訂正、もひとつ。開田さんの原画をまんだらけに売りに来てつかまったのは犯人ではなく、犯人から絵を借金のカタに受け取った人物であったとのこと。それにしても中野貴雄監督もそうだし、私もそうだし、海谷さんしかり、警察の取り調べなどに立ちあった人というのは必ずおいしいネタをいろいろ拾ってくる。ドイツでパスポート盗まれて警察にかけこんだとき(思えばカタコトの英語でドイツ人相手で、よく調書取りとかに対応できたものだ。しかも、盗難品のいくつかは、だいぶたってからだがちゃんとドイツから戻ってきた)も、エライことになったという思いとは別に、なに か興味津々という興奮感があった。

 通勤、FRIDAYコラムにかかる。30分ほどでアゲ、メール。昼飯のおむすび一個囓って、ほったらかしになっていた感のある書きおろし原稿にかかる。メール、松竹サービスネットワークから朗読ライブ宣伝について、また昨日のぴあYさんから インタビュー日時連絡。

 1時、Yくん来。二人で時間割へ。Yくんの最近のネット事業への協力と、関連し てこっちの売り出したいコンテンツの商品価値をアタってもらうことに。 そこらへ んまでは非常に良好な打ち合わせ。で、雑談中、この件とは関係ないが、このあいだから非常に面白い進行をしていた某件につき、ちょっと質問してみる。彼もその件には去年までかなり深く関わっていたのだ。すると、そこでちょっと意外かつ青天霹靂かつ非常にマズい現状であることがあきらかになり、動転してしまう。いや、私個人のレベルの問題ならまだいい。人を現在、巻き込んでいる件なのである。すぐ、責任者にその場で携帯でYくんつないでくれて、直接話してみるが、要するに、ある人物から私が情報を得て、その線で進めていた企画が、根も葉もないことで、その企画に ついては最初から白紙状態、最初から何も決まっていない、とのこと。
「じゃ、彼(その情報を得ていた人物)のウソばなしだったんですか?」
 と訊くと、情報が錯綜していて混乱があるようで、とのこと。頭が真っ白になる。

 あまりに話が都合よく進展しているんで、嫌な予感があったことは事実だが、しかしいくらなんでも、こんな大きなことで簡単に私にウソがつけるとは思わず、聞いてもなお、信じられない気分である。身内に裏切られた愚か者、という自分の立場が非常なショックとなって心身が打ちのめされた気分。今後の事情説明や穴埋めのことなどがずずん、と肩にのしかかってくる気分となり、暗澹として仕事場に帰る。

 しばらく横になるが、心臓が自分でもわかるほど力がない。少し寝るが、いい眠りじゃない。胸苦しいような気分である。足先も少しむくんでいる。ははあ、精神的なショックというものはかくも肉体に影響を及ぼしますか、と感心したくなるような気 分である。

 O氏から電話。ある件(上記とは別件)での結果待ちだったので、それのことかと思ったら別件について、その状況報告であった。こっちも金銭的に大きいことだが、今はそちらよりも、目前の決定待ちの企画の方が気になっているだけに、拍子抜け。うまくいかない日は全てのことがことごとく食い違う。そう言えばと思い出したが、今日の朝のテレビの星占い、双子座は運気最低だった。星占いを信じるわけじゃないが、あの占いのおかげでこんな目に遭うんじゃないか、などと思ってしまうのも気の 弱りのせいであろう。

 FRIDAYゲラがFAXでくる。折りの都合で出したその日にゲラチェックという凄まじいタイトな状況だったが、編集部からは非常にクオリティ高い原稿とおだてられ、少しいい気分になる。褒められることの嬉しさを久しぶりに感じる。情けないもの。……しかし、わからない(最初の情報を私に伝えた人物のことである)ウソを言って私をその場で喜ばせても、すぐにバレることだ(現にバレた)。で、その結果はと言うと、彼がらみで私が進めていた仕事の件全部が(彼にとって)パーになる、ということなんだが。たぶん、当該の件が最終的にうまくいっても、私はまず確実に彼をそこから外させるだろうし。どう考えてもソンなのである。理解不能。今日締切の原稿がいくつもあるのだが、まるで手につかない。ミクシィに八つ当たり的なグチを書き付け(これが実は大きなポイントになる)、家に帰る。外で飲みたい気分だったが、こういうときに限って予定ナシ。鯛チリ湯豆腐、オムレツで酒。深酒する気力 もなく、早々に寝る。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa