裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

3日

金曜日

怪人カニ男にまんまと一泡ふかせてやったぞ。

 名探偵明智小五郎・談。朝5時半起床。ネット(ミクシィ)など見たり。入浴洗顔朝食如例。レタスとミニトマト、キャベツの冷ポタ。天気晴朗。しかし仕事はしたくなし。出かける前にメールチェック。うわの空の島さんからは、お仕事関連の打ち合わせと犬鍋の会と一緒にやってしまいましょうと以前、声をかけてもらっていたのでスケジュールを繰り合わせていたのだが、なぜか延び延びになる。今朝のメールで
「すいません、犬を食べたがっているの、どうも私だけみたいです」
 と言ってきていて、大笑いする。とりあえず二つに分けて、犬には後で島さんだけ招くから、みんなとの打ち合わせはごくフツーの店にしましょう、といくつか候補をメール返信。

 8時15分のバスで出勤。朝日新聞コラムのゲラが届いている。編集部的には今回も受けたようで安心した。チェックして返送。追っかけのように今度は漢字天国ゲラがFAXされる。こっちも手を入れて返送。こっちの連載もすでに半年目なのだな。 原稿、フィギュア王11枚を午前中に書きあげてメールする。

 昼はニギリメシ一個、タラコ。食べてすぐ、竹書房アンソロの前書きにかかる。案外分量が多くてどうまとめたものか、ちとあぐねる。電話、書評仕事ひとつ。『サイ ゾー』編集部から『念力家族』の推薦文催促あったので、急いで書いて送る。

 扶桑社からメール、『トンデモ本男の世界』増刷部数のお知らせ。なかなかな部数で、とにかくありがたい。それがらみのメモ・ノートを少し整理。そこにあった、三 遊亭圓生のセリフ(京須偕充『圓生の録音室』より)。
「どこから見ても、いつ見ても美人だというそういう女よりも、何てえますかねえ、落差があるというか、そういう女がいいですね。時にはいや気がさす、ところがあくる日会ってみると、またどこかいいところがあって惚れ直すというような……、そういうタイプがいいですね」
 ……私も商売柄、真の女好き、プレイボーイという人とおつきあいさせていただいたことがあるが、まず、例外なくそういう人はこのようなことを言う。真の遊び人は“どこから見ても美人”というような女性は絶対連れて歩かない。われわれ一般人から見れば“もっといい女もこの人なら選り取りだろうに”というような女性を喜ぶ。 潮健児さんなんかもまさにそうだった。

「美人はすぐ飽きる。つまらない」
 のだそうだ。わかる気がする。美人ばかり追いかける人というのは、これまで見ていても、どこかに幼児性を残した人だった(最たる例が佐川一政氏である)。恋の刺激というのは、新鮮さに左右される。どこから見ても美人という女性には、この新鮮味がないのだ。それに対してファニーフェイスの女性というのは、会うたびに、毎度々々、どこかにこちらを刺激する新鮮な発見があるのである。いや、女性ばかりに限らない。小説であれ映画であれマンガであれ、出来のいいものばかりを追いかけていたんでは、決してそのジャンルの真の快楽を知っていることにはならないんではない のか。

 5時半、時間割にで『FRIDAY』Tくんと打ち合わせ。10月の増刊号の一行知識特集ページにつき打ち合わせ。前回(盆の増刊)の特集もこの一行知識、記事モノとしてはダントツの人気だったそうで、これで3回連続一位である。次のテーマなどを少し話す。また、連載のコラム文字数の件、携帯発信のコミビアの件、テレビの 件など。

 打ち合わせ終えて帰宅、なんとかまえがきをアップしてメール。8時、タクシーで帰宅。今夜は談之助夫妻、パイデザ夫妻、それにS山さんを呼んで、カレーパーティである。談之助さんの奥さんのユキさんが病気でこのあいだまで東京医大病院に緊急入院しており、その退院祝いも兼ねて。ユキさんの日記にうちのカレーがおいしかっ たと書かれていたので、ならカレーにしよう、と決めたわけ。

 東京医大は私が骨折で手術したところであり、ついこないだ、パイデザの平塚くんが倒れて緊急入院したところでもある。しばらく病院ばなしで盛り上がり、頑健極まりないS山さんがちょっと話に取り残されていたのが可笑しい。カレーの他に、ハムとセロリを春巻の皮で包んで揚げたものや、ヨーグルトに漬けて調理した鶏肉、野菜サラダなどもあり、鶏肉は少し味が薄いので、モモちゃんの唐辛子味噌を試みさせてみる。やはり辛いのが好きな談之助さんは気に入った模様。私も最近は辛いものにハマり(笹公人さんにマジスパを紹介されてからか?)、母の味付けではカレーが物足りない。タバスコをやたらふって食べる。女性陣には、甘ったるいデザート類(自家製ずんだ餡のおはぎや、コーヒーゼリー)が好評だった。もちろん、女性陣といって もK子は除くが。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa