裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

26日

木曜日

消極子守歌

 逃げた女房に未練がないというわけでは必ずしもありませんが別に私の方で連れ戻そうとかどうとかと思っているわけではないとはとりあえず申し上げさせていただきたいと思うのですがいかがでしょうか。朝、4時に目が覚める。寝床で読書その他。入浴して7時半朝食、キャベツとキウリ、カボチャ。キリギリスを飼っているみたいな日記の記述だ。8時5分、家を出る。15分のバスを逃し25分のに乗る。

 仕事場着、メールチェック。秋を目指しての各編集部の動き、そろそろ活発。原稿に着手。注文していたCD届く。ネタものばかり十数枚。あと、資料探しを書庫で。一度ここも徹底してひっくり返して整理しないと。出てこないものが多すぎる。

 昼は例によりニギリメシ一個、ただし中はスジコ。ちょっとカロリー高いか。原稿書き続け、次第に煮詰まる。髪が伸びたのがうざったいのでカットしに出る。宇田川町交番通り先のカットハウス『トゥルーサウス』にて。菅原センセイ、9月あたまに休みをとってグァムへ行くそうである。私は海外はチベットだのポーランドだのにまで足をのばしているが、グァム、ハワイという定番旅行先が実はまだ未体験。この先 も、まず自分のニーズではいかないだろう。

 帰宅後、FRIDAYのネタだしをやる。あまり得意な分野ではないが、そこを自分なりに調べると、他の人にはちょっと真似できない切り口となる。得意な分野では逆に自分ならではの切り口にとらわれることが多い。メール、5時に編集部に。

 時間を見計らい再度外出。、タントンマッサージで肩の凝りをほぐしてもらう。ツボというツボが固まりまくっているらしく、揉まれて痛い々々。悲鳴をあげる。予定ではここできっかり一時間揉んでもらい、そこから6時半に電車使い、30分で新大久保(本日の会合場所はこちらのリクエストで『ハンニバル』)待ち合わせ時間の7時ジャスト、という予定だったが、マッサージの先生がひどい凝りだというので、サービスして15分ほど余計に揉んでくれて、おかげであわてることになる。タクシー 飛び乗るが、これが時間帯で道が混んで混んで、さっぱり進まない。

 結局15分遅れで店に飛び込む。K副編集長が店の前に立っていた。企画会社のO氏がまだ来てないのだそうだ。やれ、皆を待たせたわけではなかった、と思いホッとする。いつものようにモンデールと奥さんに挨拶。やがてほどなくOさんも来て、ま ずはチュニジアビールで乾杯。

 料理はいつもの唐辛子ソースとパン、それからツナとオリーブのサラダから。しかし話はノッケからシビアで、コミビア関連事業の、元となる某事務所の方の連絡不行き届きと契約未履行の話。そのことについては、間に立ったOさんも連絡受けていなかったと言うので、きちんとN氏(某事務所代表)とつないで確認する、と約束。これに関してK子が歯に衣着せぬどころか、ヤスリで研いだ牙で噛みつくような言を吐くので、こっちがヒヤヒヤ。O氏も額に汗をかいていた。O氏、聞くところではもと大手企業グループの元代表の懐刀であったという人物。そういう人に冷や汗かかせる K子も凄いと言えば凄いが。

 その後、FRIDAY連載の単行本の、某販促企画の件に移る。O氏から話を聞くが、これが最初想像していたよりかなりショボい感じでトホホとなる。もっとも、O氏に言わせると、これはツナギの仕事であり、本来O氏が仕込んでいたのは、来年の4月からの企画であるらしい。しかし、それでは始まるまで時間が空きすぎるので、とりあえずその間をこれで埋めたい、ということであった。したがって、内容、ギャ ランティ等に、あまり期待されては困るという。

 もとより、この企画は販促企画であり、それで儲けようとは思っていない。いろいろと、こっちにあまりルートのない業界にわたりをつけてくれるのはまことに有り難いが、N氏もそうだったが、私を中心とした企画のくせに、その内容などを私に全然伝えないで話を進めるのは納得いかず。
「こんなことやってもらおうということに今、なってます」
と言う話、まったく乗り気になれない内容。好きなレストランであまり事を荒立てたくなかったが、少し、キレて、
「そういうのは、やりたくないんです」
 と言い、いかにそういう内容の企画がこっちの神経イラつかせてばかりで実がないかを語る。O氏もそれを聞いて、わかりました、と言うが、私のその反応がよほど意外だったのか、私が何に怒っているのかちょっとわからなかったらしく、
「では代案をいくつか立てておきますんで、その中から選んでいただいて」
 と、前と同じことを言う。さらにキレて、
「その前に、私がどういうことならやれてどういうことならやりたくないかを、何でチェックしないんですか? それを押さえておけば、なにもいくつも案を立てる必要はないでしょう。非能率的ですよ、それ」
 と繰り返し言う。やっと私の言うことを理解したらしく、なんとか次の企画会議の前に、むこう(制作側)の代表と 面通しだけさせてくれることになる。

 いろいろと不満と不安あれども、前向きに進んでいる話ではあり、また、今回の話ではそもそもが後で加わった講談社FRIDAYが、“わたしのところ中心で進めましょう”とちょっと頼もしいことを言ってくれているので、とりあえずの線に関しては安心。料理はスープとチュニジアギョウザの後にウズラのロースト、豆のソース和 え。ワインの後トルコ風コーヒー。

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