裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

23日

月曜日

アッツ島おどろく為五郎

 ♪山崎大佐指揮をとる〜(いや、この歌とは関係ない)。朝3時に目が覚める。パソコンで仕事少し。仕事逃避も少し。7時半朝食。アスパラ缶詰のポタージュ。高校野球が知らないうちに終わっていた。しかも史上初の北海道勢の優勝だ。にも関わらず新聞はまだオリンピック一色である。駒沢苫小牧高も可哀相だが、まあ、これが人 生ってもんである。

 8時25分のバスにて通勤、また原稿。昨日は堪能寄席であったが結局原稿仕事で行けなかった。今日はまず、FRIDAYをやらねばならぬ。ネタにちょっと苦労したが、なんとか今回もオトナのコラムという感じ(昭和40年代風用法)まとめる。こういう、教養は必要とするがエラくない文章を書かせれば私は名人である。いや、 エラそうなものだって上手いとは秘かに思っているが。

 仕事の最中、窓外に珍しいものを見る。緑色したものがホバリング飛行みたいなことをしているので、大型の蜂か何かか、と思ってよくみたら、バッタだった。イナゴなら長距離を飛ぶが、バッタがこういう風に飛べるのか、とちょっと意外。滑空くら いしかしないというイメージだが。

 日本テレビから出演承諾感謝、というメール。まだそれだけで、内容などもほとんど決まってないらしい。昼は例によりオニギリ。これ一個で不思議と空腹感を感じないもの。体重は2キロ一気に減ってからそれほど下がってないが、腹と顔は如実に肉 が落ちてきた。

 3時、K子とナンビョー鈴木くんが来て、上のリビングの惨状を整理してくれる。私も少し手伝いながら、ミリオン『実話ナックルズ』原稿を書く。書いていて思わぬ方向に筆が進んでいく。ふうむ。6時には上の片づけはだいたい終わり(この数年、足も踏み入れられなくなっていた場所に“通路”が出来た。感激)、K子たちは仕事場のアパートの方にまた片づけに行く。こっちはミリオン原稿ガシガシやって、どう にか7時30分にはYさんにメールできた。

 階下に降りてK子、鈴木くんと待ち合わせ、タクシーで新宿伊勢丹会館まで。今日はパイデザ夫妻が、いつもお弁当を作ってあげている母にここの三笠会館でお礼にご馳走してくれるとのこと。われわれはそんなことしたことがないのに、血縁でもない人が親孝行をしてくれるのは忝なし。料理の選択は私が引き受ける。オードブルに水ナスとトマトのマリネ、エスカルゴ、小イカのパスティス風味。それから唐辛子とニンニクのペペロンチーノ、ブイヤベースとビーフ・ブルギニヨン。しばらく来ないうちにメニューが変わっていて、料理名もちょっと変更になったものあり。さらには、ペペロンチーノがメニューから外れてしまった。これは、作ってくれるというので、特別に頼む。K子(最近パスタ狂いをしている)がとにかくハマっているパスタなので、これが無くなるというのはイタい。ここの客席係の、眉のキリッとしたお姉さんは健在。“藤谷美和子を美人にしたような”人で、アンバランスな蝶ネクタイ姿と笑 顔が可愛い。みなさんも彼女見学にこの店、来るがよろしい。

 ワインはK子が選定。母にはビーフシチューが、パイデザと鈴木くんには水ナスが評判。“水ナス孝之”と口走ったら鈴木くんが吹き出していた(彼は昨日、うわの空の舞台を観にいってくれたとか)。私的には、エスカルゴのソースが甘味があって絶品であった。いつも思うのだが、これだけ三皿くらい食べたい。中華とか和食の店ならともかく、フレンチ(ここは南欧だが)で恥ずかしげなくそういう規格外の注文が出来るようになるには人間の貫目がもうちょっとないとダメ。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa