裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

14日

日曜日

熟女インパク写真集

 杉本彩、インターネットの快楽に堕ちる……。朝、8時起床。日曜だから、というわけではないが寝坊。風呂使って、朝食8時半。サラダに野菜コンソメ、ナッツ入りパンほんのひとかけ。昨日読み損ねた読売新聞夕刊に、甲田四郎という詩人の『ゴジラ』という詩が載っていた。私も詩はかなり読んだつもりだが、現代詩でいいなと思うのはせいぜいが草野心平くらいまでで、それ以降の詩というものは、わからない。というか、基本的に“あんなものは詩ではない”と思っている男である。この詩もあ んまりいいとは思わない。というか、
「現れるのはいつも卵から孵ったばかりで
 人間でいえばおしめをつけた幼児ではないか
 なん十回もの水爆実験で
 身寄りも頼りも皆殺された
 たった一人の生残りではないか」
 というのはちょっと設定把握が間違っている、とオタク的に思うし、
「ゴジラの大きさは放射能の毒と
 無数の同類異類の死体から出た怨念の
 大きさなのではなかったか」
 というのは詩人の自由なイメージのつもりなのかも知れないが、もう金子修介のゴジラでやっちゃってるよ、それ、と思う。

 朝食のあとはいつも通り、バスで新宿、そこから渋谷。メール連絡でと学会関係のもの、いくつか。サイバラと、博多のエロの冒険者さん。岡田さんから紹介された、 焼肉ファンの女性からも連絡が来た。

 弁当、12時半。今日はこないだの豚肉と、ブロッコリの茎の細切りを炒めた、いわゆる残り物利用のオカズと、おむすび二ヶ。梅と牡蠣のしぐれ煮。食後、東急ハンズに出かけて、SFマガジン原稿用の図版ブツを購入。通勤用のカバンも物色する。いま持ち歩いているのは保冷用バッグなので、さすがにこれじゃイカンだろうと思うのだが、いい肩掛けで、弁当や本が入る適当な大きさのものがない。みな、帯に短し タスキに長し。

 原稿書き。資料を例により机の周囲に散らばしつつ書き進み、10枚、5時10分に完成。5時にアゲる予定だったが10分オーバーしたのは、文字数調節に手間がかかってしまったため。急いでメールし、外出。途中でコンビニに寄り、イラストの井の頭氏にブツ送付。それから神戸キッチンで差し入れの菓子類買って、銀座線で上野広小路。うわの空藤志郎一座ライブ。今回も前売り券完売の状況。島さんと牧沙織が受付をしていたが、どう考えてもうわの空の客でない中年カップルが、受付で何かゴネていた。女の方が、もういいかげんトウの立った年のくせに、水商売なのか、やたら男にスネて、“やだやだ”とか言っている。男は“ここの寄席には何度も来ているんだ”とか威張っている。なんだか、うわの空のコントの実演版みたいだ。

 開田さんとS山さんが席をとっておいてくれたので、椅子席の最前列に座れた。お 例にサザエのお焼きを差し上げる。今日のプログラム、
1・THE おんがえし2004
2・しなっちの面白コント・3
3・座長となおみさん
4・コント保母さん
5・コント張り込み
6・勝ち抜きクイズグランプリ
 の6本。1はうわの空のおなじみ作品だとか。新婚一家のところにずうずうしい鶴の一家、ヤクザ風のカメと乙姫さま、ただの爺さんの笠地蔵などが次から次へ恩返しにくるというコント。小林三十朗と島優子の新婚カップル模様が可笑しい。それがオチにつながってくるのだが、出来がいいだけに最後の夢オチはない方がいいのでは、と思えた。2のしなっち(みずしな孝之)と宮垣雄樹のコンビはすでにしてうわの空ライブの名物になってしまった。パソコンショップ店員と客のかけあいだが、冒頭いきなりの“すいません、パソコン欲しいんですけど”“いや、ただではあげられません”というやりとりのアホらしさは、落語の『猫と金魚』を彷彿とさせていい。漫画家という特技をいかしての途中の紙芝居は、ナンセンス度がアニメーション的に加速して、爆笑。3は是非また聞きたいと思っていた高橋奈緒美の“たてぶえスパイ大作戦”が聞けて満足。4はおなじみ島優子と牧沙織のルーティンものだが、ヨシ、と膝をたたく完成度。やっと牧が島を余裕持ってひっぱり回すだけに成長した。それだけにもったいないよ、紀伊國屋がさ、とまだ思う私のしつっこさよ。5はキクチマコトが特出の刑事物だが、パターン内で終わってしまった感あり。もうひとつふたつヒネられる感じ。6はおなじみのアドリブコント。手塚治虫の名を当てるクイズで、どんどん出演者の回答がマニアックになっていき、司会役の小栗由加、絶句の連続。常連さんたち、腹を抱えて爆笑だったが、初めての客はまごつくだろうなあ。ま、そこも含めてうわの空の味ですが。

 終わったあと、先行で前売りの発売、それにコントで使ったみずしなさんの紙芝居のプレゼント。あれだけ描いた絵をどんどんあげてしまうのは気前がいいなあ、と驚く。打ち上げに同席させていただく。こないだと同じ東方見聞録。『おれんち』勝ち組の島さんが、“セミエビのこと、開田さんに自慢しました?”と確認とるのが実に面白い。小栗由加と島さんのやりとりはまるでコントの延長。このテンションはどこから湧くのか。牧沙織のお腹に小栗さんが“本当の母親は小栗〜”と胎教して、牧がマジに嫌がるのも、何かそのままコントみたいである。牧&小栗をチャイナハウスへ連れていく約束をする。小栗さん、
「ソルボンヌさんの、あの悪態のカッコいい付き方に惚れたですよ〜! あたしもああいう風に悪態つけるようなオンナになりたいッすよ〜!」
 とのこと。

 席を移して、たぶん初めて、高橋奈緒美さんともお話する。私の知らない頃のうわの空の話などを聞かせてもらって面白かった。小林三十朗さんは、『サヨナラ』を観て、ここに入ることを決めたとのこと。同じく『サヨナラ』を村木藤志郎の最高傑作と思う私と話があって、盛り上がる。作劇のうまさや出演者のよさなどももちろんだが、根本のアイデアがとにかく凄かったのである。

 話に夢中になって、ふと気がついたら、もう十二時近く。今日はK子は家で客を呼んでの食事なので、気にする必要もなし。学生時代に戻ったようだ。S山さん、開田夫妻と大江戸線で都庁前まで行き、タクシー乗り合いで。新中野で落としてもらい帰宅。タクシー代は開田さんに借り。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa