裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

1日

月曜日

ホーキングディクショナリ

 車いすに乗った物知り。7時10分起床。朝食ソバ粉焼き。朝だと思えないほど、どんよりとして雲厚く、薄暗い。小雨までまじる。今日は『メレンゲの気持ち』の神保町ロケだが、こういうときに限って、と舌打ち。朝食後、台所の調味料などを少し整理して、引っ越し先に持っていくものを分ける。

 入浴洗顔その他すまして、メールチェック。と学会の東京大会にアトラクションで頼んでいた梅田佳声先生の息子さんから、別件の用事でその日はNG、という連絡が来た。あちゃあ。代演を誰に、という案もとりあえずないので、仕方ないが、去年の通りに私が司会、談之助さんに演芸を(本当は司会を談之助さん、佳声先生に紙芝居をお願いして、私は解説役に回るつもりだった)という形に戻すことをMLに報告。植木さんも職場の異動などで、参加が微妙になるかもしれないとのこと。ちょっと頭が痛い。

 太田出版Hさんから、FAX。ちょっと前にひとつ出来した某件のこと。こちらの意向と全く同様の回答を太田サイドもしてくれたようで、非常に頼もしく感じる。小雨おやまず降りしきり、ついに雪まじりとなる。12時半、本を郵送するのに郵便局へ行こうと階下に下りたら、もう日テレの車が待っていた。ちょっとすいません、と郵便だけ出して、乗り込む。出版社の迎えの車に比して立派なこと、さすがテレビ、と感心。ディレクターAさん、スタッフの女性JさんSさんと現場へ向かう。おとついの日テレのスタジオのゴチャつきがいいですね、と言うと、汐留の新社屋はやはりスカした建物で、使い勝手が悪いとのこと。

 Aさん、今日の撮影は天気も天気だし、簡単に済ませましょうという。一昨日のスタジオでのトークがスタッフに大ウケで、ほとんど切るところがないので、ビデオはごく簡単でいい、とのこと。これに驚いた。日記にも書いたが、あのトークは大ハズシしたと思って落ち込んでいたのだ。……土曜昼の番組はあの程度でいいのか? どうもテレビではウケの具合がいまいちわからぬ。

 神保町で喫茶店に入り、少し待つ。“おさる”さん到着して、まずは『古書かんたんむ』さんの前で出合いのシーン撮影、雨の中で立ち話少し、それから『文省堂』にてマンガネタで少し一行知識を披露。これも、前もって言ってくれれば仕込んでいくのに、その場で“ここにあるマンガで何か……”と注文だされ、少しあわてる。辻なおきの『ジャイアント台風』があったので、その中の絵を使ってひとつ披露。『マンガVOW!』ネタであるが。最初、どの店の取材がいいかと打ち合わせで訊かれて、ここの名前を出したのは、例の『新青年』の揃いが棚にあることを話題にしようという目論見であったが、テレビではアイドル写真集の方がずっと絵になって喜ばれると判断。カメラマンさんが非常に丁寧に店内を撮っていた。写真集の棚みながらおさるさん、“うわ、葉山レイコさんだ”と声をあげていた。いま、同じプロダクションなのだそうで、昔お世話になった人に会社で顔をあわすのは、なんとなくくすぐったいそうである。いろいろと雑談。私は最近の若いコメディアンのノリというのに、どうもついていけいない感じを抱いていたのだが、話してみると、“おさる”という人、かなりきちんと現実を見てこの業界に関わっているようで、ちょっと驚く。地に足のついていない立場にいて、地に足をつけるとはどういうことか、をきちんと考えている感じ。

 それから近くの中華料理屋に入り、スタッフ一同で昼食。鳥インフルエンザの話からニワトリのセックスの話になり、“クーリッジ効果”の話をしたら、おさるさんがかなり熱心に“え、何という効果ですか? へえ、それはやはりフェロモンの関係なんですか?”と興味を持って訊いてきた。こちらに気をつかってのことかと思ったらあとでバンの中でも“先生、さっきのクーリッジ効果の話、あれ、確かにあると思い ますわ”と話しかけてきた。かなり興味持ったらしい。
http://www.so-net.ne.jp/renaikagaku/dic.pict/scdictionary016.html
 ↑クーリッジ効果についてはココを参照。

 神保町での撮影終わり、宇田川町へと。自宅仕事場で撮影。スタッフの女の子、それからおさるさんに、ざう(ウチの猫)が大好評。おさるさんは抱きしめたところの写真を撮ってもらっていた。私との撮影の方はNGなしですぐ終了したが、ブツ撮りを実に丁寧に、カメラ位置を変えて何度も行う。さっきの文省堂でもそうだったが、ここのスタッフの、仕事に手を抜かないことに感心。マンションの廊下でまでブツを撮る。結局、6時くらいまで、“簡単に行きましょう”という撮影が半日がかりのものになった。それでもプロの仕事を見るのはいい気持ちのもの、である(だったらも少し打ち合わせと事前のネタ仕込みに念を入れて欲しいが。あるいは私の雑学知識とアドリブに信頼置かれているのだろうか?)。番組への印象をかなり上方修正。

 明日は母親が出てくるので、今日じゅうにテレビなどを新中野に運びこんでおかねばならない。スタッフにちょっとお願いして、新中野まで送ってもらえますか、と言うと気軽に応じてくれたので、使えるモノなら徹底して、と、テレビの他に調味料類などを運んでもらう。タクシー代が節約できた。

 新中野のライオンズステージでK子が平塚くんの奥さんのめぐみさんとベッドを組み立てていた。ここにタンスを、ここに食器棚を、といろいろ打ち合わせする。少しモノの整理。終わって、地下鉄で中野坂上まで出て、大江戸線に乗り換えて西新宿、そこで路線を変えて新宿東口の焼肉『幸栄』。地下鉄の中で『豊島園大腸肛門科』の広告を見る。ドメインがkoumon−clinic.comという凄いもの。なかなかウケる。『幸栄』本店、比較的空いていてすぐ座れた。BSEの恩恵か? ホッピーにスライステール、豚骨タタキ、極ホルモンなど。ローン返済の予定や、明日からの引っ越しのダンドリを話し合う。最後は冷麺で〆メ。帰宅したら一日中仕事だったので留守録かなりたくさん。半分は白山センセイからのもの。寝ようとしたら、今日最後の電話でつかまった。それでも大変に感謝してくれて、こちらもジンとくる。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa