2日
木曜日
みっともなー、の頼朝
みっともなーの為朝、みっともなーの義経、いくらでも作れる。朝8時までぐっすり。よく眠ることである。初夢は『宮本武蔵・殺虫剤編』なるもので、通常の800倍の威力を持つ殺虫スプレーを使う武蔵に、蠅たたき使いのK子と、それに火炎放射器を使う私が二人掛かりで立ち向かうが、テもなくやっつけられるというもの。寝所で世界文化社本の資料などを読んだ。
朝は雑煮。私だけ、まだ熱燗で日本酒をチビチビ。朝風呂に入るが、風呂場の床暖がずっと故障中で、風呂桶から湯気がもうもうと漂い、何も見えない状態。温泉ぽくて楽しい。日記つけ、30日のトンデモ落語のことを書いているうちに終わらなくなり、えんえんと書き続けて、やっと今日、31日分を書き上げた。
今日は客もなく、ただだらだらと日が過ぎる。K子は経費の計算、領収書などの整理に忙しく作業している。じゃんくまうすさんの目録をながめる。好美のぼるの貸本マンガにのきなみ5000円、6000円という値段がついている。時代なるかな、という感じである。
昼は年越しソバの残り。巨大な山芋(つくね芋)をゴリゴリすってトロロを作る。うちのソバは札幌駅前のそば徳というソバ屋のものである。さしてうまいソバとも思えないが、子供のころからここのソバばかり食っていたので、年越しとなるとソバ徳のソバの味を思い出して、他のソバ屋のものだと物足りないのである。ここのソバで年越しをするのも今年限り。
K子と2時に出かけて買い物。K子が経理に使うスクラップブック(領収書を張り付ける)が足りなくなったので大丸藤井にまで。みんな街に出たがると見え、えらい人出である。そのあと紀伊国屋に行き、札幌駅に出て、ビックカメラに行き、母のアメリカ行きのためのデジタルカメラを物色して買う。果たしてこれからアメリカ行き(今月20日)までの期間でデジタルカメラの使用法を覚えられるだろうか?
帰宅、テレビをつけると赤穂浪士をやっている。正月にやるドラマかとも思うが。大石内蔵助の吉右衛門、まるきり鬼平。今回は歴史ドラマではなく、通俗に徹しているらしく、歌舞伎などのエピソードをそのまま取り入れたりしている。最近の歴史研究では有能な経済官僚とされている大野九郎兵衛が歌舞伎の斧九太夫そのままの悪役で出てきて、ハムスター館長こと西田健がいかにもの悪役として演じている(最後は斬り殺されてしまう)。通俗なのは悪いことではないし、ドラマは歴史に忠実である必要はないが、若い役者たちが“生計(たつき)の道”を“たっきのみち”、“赤穂の里”を“あかおのさと”と読んだりするのはやはり気になる。吉右衛門が“上野介殿討ち取ったる後”というのを“うっとったるのち”と読んでいるのは、歌舞伎風の発音なんだろうか。吉右衛門が言うと何かカッコいいのだが。昔、江守徹の大石(大河『元禄太平記』)のときには西田健は確か浅野大学の役だった。他にも牧瀬里穂が瑶泉院だったり、萩原流行が天野屋利兵衛役だったり、役者がどんどん、年齢の上の役をやりだしている。萩原流行など、私の常識から言えばとても天野屋役がつとまる貫目の役者ではないのだが、ああ、歳月かなと思うことしきり。
すぐ晩飯の時間になり、チキンフライとまぐろの手巻き寿司で、ビールと酒。結局何もしないまま、12時半の討ち入りまでをじーっと見てしまう。通俗の強さよ。また母のマンションの算段をする。K子の反対(うちのマンションは古すぎる)により別口を。半蔵門線沿線ならいいのではないか、などと話す。