30日
日曜日
さくらや妖怪伝
妖しさ爆発。朝、7時起き。昨日ホッピー飲みすぎでちょっと腹下し気味。朝食はアボカドとスモークト・サーモン、二十世紀。小青龍湯、百草胃腸薬、黒酢酵素カプセルなどの薬・サプリメント類、如例。加えて、口内炎治療用にサメ肝油のカプセルものむ。昨夜、夜中に目がイガイガしてきて、また結膜炎かなあ、と思って目薬をさしたらすぐに治った。クスリというのは効くもんだなあ、と改めて思う。
石原さんから電話。彼の本の初版部数、3000とのこと。まあ、K出版の大きさではそのあたりが限度かも。ただし、よほどマスコミに手を打たないとかなり苦しい戦いになりそうだ。社長のつけたタイトルは『異常なラブレター』とのこと。これも私的にはうーむと首をひねりたくなるが、まあ社長の眼力を信じるしかあるまい。
原稿チェック、『社会派くんが行く!』をアゲる。年内には『すごいけど変な人×13』で一般向け、コレでマニアック向け、と両サイドの出版が揃い踏み。とはいえサブカル全体のパイが急速な縮小傾向にある今、将来的な展望を考えると、さらに一段の企業努力が必要。いろいろと手は売ってあるのだが、不安がないと言えばウソになるだろう。ところで、この二冊のタイトルも、私はノータッチ。自分でつけると、まったく風向きの違う書名になると思うが、これも編集者諸氏の判断を信じてのこと である。
1時、時間割にて世界文化社Dさん。世界征服本、いろいろ悩んだ末の構成と基本コンセプトを出す。ちょっと突飛に思われること覚悟で、自己啓発としての世界征服思想、というアイデアを盛り込んだ。イラストのことなど打ち合わせ。幸永に急いでいかなくちゃ、などとDさん、言う。井上デザインでこないだサンマークのTさんに会って、“早く本が出ておうらやましい”と挨拶したそうな。出て、チャーリーハウスでパイコートンミン。いつの間にか、麺の係が変わっていて、無闇にノッポのお兄さんになっていた。黒のTシャツ(ここの男衆のユニフォーム)から伸びた、血管の浮いたたくましい猿臂がシステマティックに動く様子に、しばし見惚れる。
新宿に出て、雑用少し。シアターアプルの公演『ロンドンコメディー走れ! スミス』は主演が村上“スカイライダー”弘明、共演が松田“アマゾンライダーのマサヒコ”洋治。おや、脇で大林“ブラック司令”丈史も出ている。ずいぶんヒーローもの系キャスティング率の高い舞台である。帰宅して、『社会派くん』の著者プロフィールの手直しをしてメール。向こうから送ってきたプロ用原稿に、来年春出版の二冊のことが書かれている。こちらは原稿がほぼ揃っているものなので、なんか頼もしい。 光文社にも原稿フロッピーを早く送らねば。
丸谷才一『挨拶はたいへんだ』(毎日新聞社)読む。人を褒めることのコツを私はこの人の著書群から学んだように思う。その秘訣は、“褒めるのは最小限”ということである。一般の人にとり、第三者のことを、この人は天才だ、凄いヤツです、偉いもんである、いい男でござ候の提灯の、と強調されればされるほど、その褒め言葉の印象は薄くなる。さらに繰り返されると不思議なもので、ソンナ大層なものかい、と何のウラミもない人物に対し、反発して敵愾心までわいてくる。褒めるのは、一回の話の中ではポイントを絞って一つか二つ。しかも、その度合いは、褒める相手と自分(褒め手)の関係が近しいほど、下げておくのが望ましい。こんなコツを、丸谷才一は実例をもって示してくれていた。今回の本、若い頃にくらべると、七十を越えて少しその手際が甘くなってきているかな、という印象はあるが、まだ大したもんだ、という感じである(挨拶文そのものより、その前につく前書きがいい)。それに比べると、いくら対談とはいえ、巻末の井上ひさしのこれはまた盛大なこの本の持ち上げよ うは、いささか読んでいて辟易せざるを得ない。
6時、買い物に出て、夕食の材料など。秋でキノコが各種出ていたので、キノコ鍋としゃれこみ、タモギ、アワビタケ、マイタケ、平タケなどと豚ロースの鍋、それにタラのあらが安かったので買い、いしり風味でバタ煮。DVDで『カネゴンの繭』。金男の母さん役の野村昭子、『家政婦は見た』などでおなじみの日本一の下世話おばさん女優だが、この頃からまったく顔が変わってない。K子が寝た後、一行知識掲示板の書き込みでコロンボのことを書いたので、『溶ける糸』、もう十回以上も見た話なのだが、ツイ、引き込まれて最後まで。犯人役が『宇宙大作戦』のレナード・ニモイ、殺される看護婦役が『禁断の惑星』のアン・フランシスと、これもSF度の高いオタク随喜のキャスティング。