裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

16日

日曜日

これぞまことのカタレプシー

 タイトルに意味はない。朝7時起き。朝食はソーセージドッグ。週アス原稿一本、K子に渡す。風呂入り、本日のと学会ネタの整理。どこかに見えなくなった物件がひとつあったが、探したらすぐ見つかった。これは私の現在欄雑の極みの状況の書庫においては稀有なこと。たぶん、出かけるギリギリまで探さねばならぬと思っていたので、時間がかなり余り、少し寝る。昨日、寝は足りてるはずなのにこんなに眠いのはやはり春だからか。

 12時、タヌキカレーうどんを食っていたら、芝崎くんから電話。足のことを心配してくれて、荷物持ちに迎えにくる、とのこと。なんという親切。弟子の鶴岡なんて病院に見舞いにも来ないというのに。そう言ったら“えっ、お弟子さんてそんなものなんですか”と驚いていたが、落語家とかと違って、弟子師匠の制度というものが確立されていないから、モノカキの弟子には義務もないし、束縛もない。逆に言うと、私は鶴岡などに利用されているのである。ただ、利用されることが必ずしもキライではない。人の師匠である、という自己満足を得られるという利益がこちらにはあるのかも知れない。それにしても鶴岡の何もしなさは徹底しているが。

 あまり柴崎くんが足のことを気遣ってくれるので、じゃあ歩くのよそう、と、二人でタクシーで駒場東大前まで。東大正門のところで太田出版のHくん待合せ。と学会白書本はこんど・・・・・・と噂のイーハトーヴ社から、太田出版に移行するのである。出席者総勢40人。いつもとほぼ同じ数なのに何か少ない、と感じるのは開田裕治(絵画展の準備)、立川談之助(引っ越し準備)、風来末(たぶん会社の年度替わり)などの常連の姿が見えないからだろう。ネタはみな、相変わらず濃い。ただし、カブるときはカブるというか、AVネタがやたら多い。マッハ軒が私の大ファンという女子高生を連れてきていたが、彼女に見せていいものか、ちょっと気になる。本日の私のネタは朝日ソノラマの催眠術ソノシート、中曾根康弘後援会々誌『ヤッチャンズ』、それから昭和29年南山堂発行のかなりヤバい写真入りの『精神病の実態』。

 発表はサクサク進み、次回例会と夏コミ会誌の件をちょっと打ち合わせ、4時には2次会へ。渋谷の居酒屋大善へ29名。Hくん、皆神龍太郎、植木不等式氏とと学会本打ち合わせ。植木氏は1次会での食い物ネタ(モーゼの里のマナまんじゅうとか、精神世界カレーとか、T酒造のサンポール味ドリンクとか)を食いすぎて調子が悪そうだった。FMISTYで志水一夫氏糾弾を行っているK氏の話題で大笑い。裏で怪文書を回していて、それを所持しているのが志水氏担当編集者の自慢らしい。相変わらずの困ったちゃんですなあ。

 Hくん(へらちょんぺ似、と言ったら悪いか)が、太田で今度出る斎藤環氏のオタク精神分析論本を見せてくれる。オタクの生態を現役オタクの学生から報告させている、そのレポートに、“濃いオタクはオタク同士で結婚するというパターンが多く、岡田斗司夫の奥さんはGAINAX社員ですし、ソルボンヌK子と唐沢俊一、怪獣イラストの開田裕治夫妻などもこの「オタップル」に属するでしょう”などとある。なんじゃ、その“オタップル”てえ名称は(笑)。他にもこの本、東浩紀のデリダ誤読などにも触れていて、かなり真正面からの“オタクによる(斎藤氏は重度の怪獣オタクだそうな)オタク分析本”になっているらしい。書評するから一冊送って、と頼んでおく。

 3次会は焼肉屋。FKJ氏などとアニドウばなし。彼、今度勤務先が長野から宇都宮に移るのだが、会社の規定で独身者の住宅手当てはワンルームマンションしか認められない。不動産屋に“できるだけ広いワンルームを探してくれ”と頼んだら、14畳のところがあったとか。

 例会の終わったあと電車に乗ると感じるのだが、みんな声がデカいデカい。例会の発表でハイになっているテンションが急には下がらないのだろう。翌日は決ってノドがガラガラになる。私みたいなおしゃべりにしてしかり。普通の人は湿布が必要になるのではあるまいか。K子からパソコン不調との電話が入り、9時半に帰宅。帰宅したら治っていた。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa