裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

18日

月曜日

カント55号

「ワタシとジロさんの出現はお笑い界のコペルニクス的転換になったのヨ」
                            (萩本欽一・談)

※『ホラリオン』宣伝文 トツゲキ4日目

久しぶりに長い夢を見る。
まあ、夢らしくとりとめがない。
噺家さんを家に呼んで食事会を開くというので母が料理をしているが、
酒を買い忘れたというので私が買いに出ることになる。
サントクにするか、それともコンビニで買うかと思って外に出ると
こはいかに、新中野ではなく、渋谷の街(NHK前)である。
まだ引っ越し前だったか、と思う(しかも夜で小雪がちらついている)。
NHKホールの本来ある辺りに大きなショッピングセンターがあるので
そこで買おうと思うが、このショッピングセンターは会員制で、
会員登録をしないと入れない。会員登録は高い壁のようなところに
ヨジのぼって、そこの端末で行う。指名年齢などの他にいろいろ
設問があって、“地球に巨大彗星がぶつかることになったらどう
対処するか”などという問題にも答える。
会員には無事なれて、酒も買い、食事会は無事終わって、翌朝の
新聞を見ると驚いたことに
「巨大彗星衝突の危機を回避」
とあって、読むと、私のアイデアが採用された結果、とある。
あの会員登録の設問は全国民から秘密裏に衝突回避のアイデアを
集めるためのものだったのだ、というもの。

9時半起床、母の室で朝食。
今日は母、クルミ入りのおこわを作って、出演者に、と持たせて
くれる。父の大好物であった由。

自室で久しぶりにパソコンの前に向かう。
ゆうべの打ち合わせに従い、まずは9月のホラリオンの宣伝文を
書き、それから、11月のルナティック・サーキットの、
私の作・演出になる舞台のタイトルとプロットを執筆。
あれもいいか、いやこういうのも、といろいろアイデアは浮かんで
いたのだが、結局、急かされた時点で最もカタマっていた、
最初の案になる。

このタイトル(後日発表)、実は『星を喰った男』を出すとき、
あるところから“潮さん主演で舞台をやりませんか”と口がかかり、
主演と言ってもお体のこともあるし、と考えて、特出みたいな
形で出てきてもらうことにし、潮さんの演じる役柄をそのまま
持ってきてタイトルとしたもの。プロット稿まで書き上げていた。
潮さんはご存知の通り、出版とほぼ同時に亡くなり、その舞台の話も
それきりになってしまったが、何とかこのタイトルは活かせないか
と思っていたのだった。16年目にしてこれを復活させられるとは。
もちろん、内容はまったく新しいものとなる。

マチソワ2日連続(体調不良の中で)でちょっと肉体的疲れが
出ており、ベッドに寝ころんで本を読んだりして過ごす。
昼はカップやきそば。竹中直人さんからメールあり、驚く。

2時ころ起き出し、舌がモヨつくところを繰り返し稽古。
3時過ぎ、家を出て池袋へ向かう。
車中、メール連絡。以前出していた企画、一本は刊行が早まり
6月中に是が非でも、ということになり、もう一本は某社が
「これは化けるかも」
と興味を示しているとのこと。いずれにせよ、公演が終ったら
大車輪になる。

小屋入り、青木さんが北村さんにハリ治療を受けている。
それを見てみんな凄い興味をしめし、森さん、樋口ちゃんも
治療受けていた。

昨日のダメ出しがあり、予約の追加があり、しかしながら
現在千秋楽の回までギッシリでキャンセル待ちになってしまったり、
と思ったら日付の間違いがあったり、もういろいろ。

で、客入れ、本番。ラス前。
袖の暗闇の中でみんな、“よろしくお願いします!”と声をかけあう。
どんな芝居であっても、この開幕前の瞬間の緊張と興奮、まして
満員のお客様たちの期待にあふれたザワザワという息遣いが聞こえる
中での臨戦態勢という高揚感、これあればこそ
「役者と乞食は3日やったらやめられない」
になるのだろう。

私の出のシーン、初日2日目と、間がずいぶん空くなあと思って
いたのだが、今日は何だかすぐ、次の出になってしまう感じ。
三日目から、それまで1時間50分くらいかかっていた芝居が、
テンポ速めて1時間43分までに縮まった。そのせいではないかと思う。
たった7分の違いで、袖で待つ身にはえらく違う。

無事、今日はカミもせずモヨりもせず、無事にこなす。
ラストで、腰に手をやるのはあまりに自分でもあざとくてどうかな
と思ったのだが、演出によると、このシーンは照明のためにほとんど
表情が見えないので、身体の動きで説明するのはOKとのこと。

最前列に佐藤あゆちゃん、渡辺シヴさんの姿あり、暗くて
見えないがいぬきょん、麻衣夢も来てくれているし、久保の話では
琴重と菊ちゃんが当日で観たいと言って来るとのこと。
大井くんが早川さんと一緒に来てくれているようだし、はれつさんも
今日。その他私のお客さんはなぜか今日に大量集中。
他にお客出しの挨拶に出たら、親川、岡っち、大友恵利ちゃん、
魚健さんなどまでいた。

ハネ後、例によっての差し入れ大会、注意事項伝達などの他、
急いで階下に下り、麻衣夢たちが飲んでいる和民まで。
みんな、やはり私の芝居が気になったようで、私が後半、中指を
立ててファックユーをするシーンで一番大きな声で笑っていたのは
やはりいぬきょんであった。
芝居ばなしいろいろ、やはり役者仲間だと盛り上がる。
後から松ちゃん、小川さん、久保まで駆けつけて12時過ぎまで
がやがや。

帰宅して、頭の隅に引っかかっていた演技の確認のために
DVDをちょっと見て、1時半、就寝。

*乾ちゃんのブログから拝借。私、いぬきょん、小川さん。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa