裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

1日

金曜日

カナカ中野区中野区みつからない

「この広い中野のどこかにたった一人〜」

※打ち合わせ3件 トツゲキ稽古

朝7時半くらいに起床、咳頻発。
咳というものはなかなか引かないものだなあ。
ただゴホゴホするだけで全く苦しくはないのだが。

9時半、起床。
朝食、如例。ジュースにスープにコーヒー。
明日2日は母の誕生日だが、私の誕生日と一緒にして、
明後日(NHKの収録)の後、吉祥寺で食事会を、と提案。
今日は打ち合わせが3件連続、その後が稽古とかなりハード。
このところ疲れ気味なのでちょい心配。

佳声先生の娘さんからちょっと相談ごとあり。
知っていることを答えておく。
昼はシャケと野菜炒めで弁当。
ご飯の半分は茶漬けにする。
食べて出る。コンビニで『女性セブン』買う。
草事件について女性誌には珍しく、呉智英氏が擁護の論陣を
張っていると新聞で見たので。

ざっと読んでみたが、ネットでの擁護論群とほぼ同内容
だったのにちと、拍子抜け。呉氏のことだから、もっとメタなことを
言ってこっちの意表をつくかと思っていた(子供を仕事場に伴うことの
是非について林真理子とアグネス・チャンが対立し、林/アグネス論争
と呼ばれたときにコメントを求められ、“なぜアグネスの方は名前なのか。
林/チャン論争と呼ぶべき”と言ったり、ヘアヌード写真集ブームに
ついて意見を述べて“髪の毛が写ってたってヘアヌードだろう。
「陰毛写真集」と言え”と主張した)のだが、ずいぶん
今回は常識的で、
「(今回の事件は)誰だってそんな経験はあるんじゃないの、という
レベル」
「若者のヤンチャをわいせつ罪でひっぱるなんてありえない」
「酒飲んで裸になったからって“最低の人間だ”なんて聞いたことも
ない。中川大臣の方がよっぽど最低」
「むしろこういうことがあってもうちは草くんを使います、と
言った方が広告主のイメージはよくなる」
「昔の学生のような、酔って騒ぐバンカラ文化がなくなりつつ
あるのは残念」
「(今回の逮捕が)草じゃなくて一般人だったら、不当捜査、
不当逮捕だといって逆に裁判を起す。私だったら起します」
「自分だけの見識を出さなければジャーナリズムの意味はないはず
なのに、罪だ罰だと一律の正義だけを振りかざすのは気色悪い」
……と言ったような内容。
まあ、お説はごもっともで私も全く同意見。逆に言えば、さすがの
呉先生もこれ以上のことは言えないくらい単純明快な“やりすぎ”
事件だったということだろう。

私(唐沢)思うに、裸体になることが日本において罪になったのは
明治4年の裸体禁止令以降で、その文面は露骨なまでに“外国人から
見ると大変卑しむべきこと”“日本の体面に拘わる”と、外国(主に
ピューリタン的道徳観を主張するアメリカ)の顔色をうかがった
ものだった。柳田国男などはこの多湿の国で西洋風の靴を履いたり
詰襟の服を着たりすることの不合理を口を極めて言っている。
その後アメリカ人の意識は大きく変わり、今や肌の露出度は日本人の
比ではないくらい日常のことになっている。一方で日本人はそれ以降
ずっと、この高温多湿の気候の中で真夏でも背広にネクタイという姿で
闊歩している。憲法9条をアメリカの押し付けというなら、この
裸体禁止令もアメリカの無理無体であり、日本の気候風土に合った
肌の露出文化をそろそろ取り戻してもいい頃合いではあるまいか
……いや、それは事件の本質ではない、と言われればソノトーリ
なのだけど。

2時、新宿椿屋珈琲店。上野山功一さんの息子さんご夫婦と
打ち合わせ。上野山さんの活動のことで相談を受ける。
こちらからお願いしたい件もあり、いろいろと話がはずむ。
上野山さんのこちらに対する期待をどう、裏切らぬ形にするか、
いろいろと今自分の周囲にある事項をパズルのごとく頭の中で
組み合わせる。
しかし息子さん、子供時代にやはり俳優養成所か何かに
所属していたらしいが、声としゃべり方が実に明瞭。
争えないもの。

福島土産の桃パイをおみやげにいただき、次の打ち合わせ場所
であるらんぶるへ。『世界一受けた授業』打ち合わせ。
私の出すネタの参段。ディレクターさん、やはり授業の面白さは
講師と生徒側とのからみにある、ということをわかってくれている
ので嬉しい。

どうも収録は夜〜夜中にかけて、になるような話が。
まあ、それはそれでかまわないが、後が大変。
タクシー券を食事するところまでと、そこから家までの二枚
出して欲しいと頼んでおく。

終って、また椿屋まで取って返し、『アンドナウの会』打ち合わせ。
銀座での上映会の話を少し。それと出版の件。
某氏や某氏の話。
話しているうちに、二回ほど落ちそうになる。くたびれているなあ。
階段を上るのも一大事である。

雄を奮って、稽古場まで歩く。歌舞伎町、人通り多し。
「いつも楽しく本、読んでます!」
と紀伊國屋近辺で声をかけられ、アルタ前で握手求められ、
西武新宿駅前で
「一緒に写真、いいですか」
と頼まれる。どどどど、どうしちゃったのでしょうか。
急に何かで人気者になったか???

シアターミラクル稽古場。
ラストの改訂版脚本が配られ、これでようやく全編が完成となる。
その最後のところ、稽古。
動きが大きくあるので、ダンドリが大変。
セリフはほぼ、頭に入っているが、頭がボーッとしているので、
ちょっとモヤつき気味。
コメディでなく、完全な“ドラマ”となった。
私の役が一番コメディっぽいかもしれない。
上野山さんのところからいただいた桃パイをみなさんに進呈。
喜んでもらえた。
さて、今日稽古したら、明日、明後日と休み。その翌日からは
1時からの稽古に移行することになる。

10時ちょい過ぎ、稽古終了。
オノからメールで、昨日の講演依頼に続いて、また別件で依頼あり。
しかもちょっと珍しい依頼先から、珍しい形式での講演依頼。
さっきの声かけられじゃないが、重なるときは重なる。
湯豆腐を作り、昭和史ビデオを見、そのつながり(大阪万博)で
『ガメラ対大魔獣ジャイガー』を観る。主人公の沢田圭介が
炎三四郎こと『仮面ライダーX』の速水亮、ジャイガーを呼び覚まして
しまうウィリアム博士が『ウルトラセブン』のボガード参謀
フランツ・グルーベル、怪しげな南方語を操るウェスター島文化使節
が『肉体の門』『黒い太陽』など60年代の黒人スターの代名詞
チコ・ローランド、怪しげなヒゲを生やした鈴木博士が『ガメラ対
バルゴン』で戦時中に奪って隠したオパール奪回計画を立案した夏木章
と、妙に豪華。夏木章はデビュー作が『宇宙人東京にあらわる』の
パイラ星人だそうだが、ガメラシリーズには第一作を除いて全てに
出演、他にも『透明人間と蝿男』『怪談おとし穴』などの
マニアックな作品から『白い巨塔』『黒の試走車』などの名作まで
やたらに出ていた。印象に残るのが『華麗なる一族』での阪神銀行
の池田支店次長役。頭取・万俵大介(佐分利信)の預金高アップの強制に
走り回って疲労困憊した支店長(高原駿雄)にかわり、局員に
ハッパをかけているうちに支店長が心臓マヒの発作を起して
くずおれる。大慌てして
「医者や! 医者や!」
とわめいて、その顔をのぞき込み、
「あ、死んだ!」
と言うだけだが、そのセリフ回しが何とも言えずおかしかった。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa