裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

11日

月曜日

オリコン写真集

つるぺた少女歌手続々チャート入り!

※A社打ち合わせ フィギュア王原稿

明け方の夢。
ルナティックミュージカル祭というのを主催して、応募作品を
審査する。最終選考に残った二つのミュージカル劇、ひとつは
白血病がテーマで、“♪急性〜骨髄性〜白血病〜”とミス・サイゴン
ばりに歌い上げる。もうひとつはパールハーバーを陽気な
コメディにして“♪やられたら〜やりかえせ!”と合掌する。

朝9時半起床。
半と言っても36分なのだが、ここ数日、数回の目覚め〜ウトウト
のあと、ハッと目が覚めて枕元のデジタル時計を見ると9時36分、
ということが続いている。

朝食、『ちぃ散歩』見ながら。
バナナニンジンリンゴジュース、コーヒー、青豆スープ。
昼のうちにやっておく仕事山積なれど、ついつい日記つけなどに
走る。

友人にどうも鬱ではないか、と思える人がいて気になる。
何を投げてもやる気のない返事しか返ってこない。
体調不良からの鬱でなければいいが。

新刊の恵贈先などのリストを作っているうちに出かける時間になって
しまう。急いで弁当、ご飯にタケノコの味噌煮をぶっかけて掻き込む。
地下鉄で赤坂見附。歩いてA社まで。プーチン来日のせいか
道のそこかしこに警備員の姿あり。

O社長とHさんと打ち合わせ。
O社長より要望あり、いろいろ考えて、出したアイデアにOK出て、
それに添って第三稿を月末までに出すことになる。
指摘された部分は私も悩んでいた部分。
すんなりと打開策が出て、よかったと思う反面、なかなか前に
進まないというじれったさもあり。

ぶらぶらと赤坂近辺を歩いて、くたびれたのでタクシー使って
帰宅。さすが五月半ばで、暑い。少しベッドに横たわる。
携帯でニュースを見ていたら、小沢一郎氏民主党代表を辞任という
報があり、驚く。小沢関係のブログ等をネットで検索すると、
自民寄りの人間はマスゴミが小沢擁護でひどい、と書き、民主寄り
の書き手はマスゴミが小沢批判を繰り広げている、と書いている。
当然のことながら陰謀論も花盛りであり、疑心暗鬼、被害妄想、
我田引水のさま、非常に面白し。

……しかし携帯でmixiにつなぐと、上に必ず
ネットエロ漫画の有料サイトの広告が出る。エロ漫画に私個人は
文句はないが、どうなのかね、これ。

5時過ぎ、起き出す。母から、今夜はこっちで晩ご飯食べなさいと
お誘い。10時過ぎになるが、と返答。
原稿、フィギュア王。先日のルナティック演劇祭で唐沢俊一賞を
差し上げた中澤隆範さんのことをエッセイの中にちょっと書く。
書き上げて9時半。資料その他をイラストのK子のために
ネットで探す。

作曲家三木たかし氏死去、63歳という若さ。
昭和歌謡の、ある意味王道的体現みたいな人だった。
そこが王道かというと、歌詞をあくまで大事にする作曲、という
部分だったのではないかと思う。

代表作『津軽海峡・冬景色』の正式タイトルは
“津軽海峡”と“冬景色”の間に、ナカグロが入る。
三木たかしは律義に曲にそのナカグロを活かして、石川さゆりに
「アアアア〜、ツガルカイキョウ“・”フ〜ユゲ〜シキ〜」
と一拍おかせて歌わせた。
今では誰もが“津軽海峡冬景色”を一続きの単語として意識して
いる。誰やらが俳句の会で
「荒海や 津軽海峡冬景色」
というのを詠んでボツになったなんて話もある。
作詞した阿久悠自身、なんでナカグロを入れたのかは覚えていない
そうだ。しかし、三木たかしの王道的作曲の中では、あくまでも
『津軽海峡・冬景色』なのであったろう。

この人の曲が王道なのは、歌詞をないがしろにせず、一語々々の
粒立ちをそれだけはっきりさせて作曲していたからであった。
だから、明瞭に歌が記憶に残るし、素人でも唄いやすい。
曲を提供した歌手の中でアグネス・チャンが一番多いのは、
日本語を母国語としないアグネスでも、三木たかしの曲ならば
きれいに歌えるから、だったのではないか(彼女は、デビュー時から
日本語がうまくなっていないと言われるのをとても気にしていた
という)。

アニメソングを作っても、それは変わらず、王道中の王道と言える
曲を作曲、子供たちの永遠の愛唱歌になった。
http://www.youtube.com/watch?v=iHv0kvmxTvk&feature=related

それは特ソンマニアに人気の『超人機メタルダー』(『アンパン
マン』が作詞やなせたかし、作曲三木たかしのWたかしだったが、
こっちは作詞ジェームス三木、作曲三木たかしのW三木コンビで
ある)、アイドルソング『君可愛いね』、バラード『時の流れに
身をまかせ』、高校サッカー大会テーマソング『ふり向くな君は
美しい』など、どんなジャンルの作曲でも変わらなかった。

日本語の響きを大事にし、その言葉を最も輝かせてくれた、王道の
人だった。昭和歌謡に愛着を持つということは、三木たかしの
作曲法に愛着を持つということだったかもしれない。
王道の人に、黙祷。

10時、母の室で鉄板焼きを食べ、ビール飲みながら四方山ばなし。
11時、自室に帰って酒、飲みたし。
制作会社から送られた、先日の『私の1冊、日本の100冊』の
私出演の回のDVDを(デッキに反応しないので、パソコンで)見る。
この収録の日、私はかなり声をツブしていた(『黄昏モンスターズ』
の稽古でウィルソン伯爵のバリトン声をずっと出していた)はずだが
聞いてみるに、普段と変わりなし。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa