裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

13日

金曜日

13日の金正日

「われらが偉大なる首領様は自らホッケーマスクをかぶられて
退廃したアメリカの若者どもを粛正された!」

※『黄昏モンスターズ』稽古 D社書き下ろし原稿

夜中2時ころ目が覚めて、ツバも呑み込めないほど
喉が腫れているのに愕然。やはり昨日、無理してウィルソンの
声を出したからか。あわてて消炎剤を服んで再び寝る。

朝8時起床。
「手塚治虫の『新宝島』(オリジナル)の絵柄で今のマンガを描く」
という企画を考案する夢を見た。
あの描き版で描かれたタッチで、『ジョジョの奇妙な冒険』
や『20世紀少年読本』がすぐに出てきて(ここらが夢)、
読んで笑いころげる。

起きだしたら、喉はまだやや腫れはあるものの何とか
おさまっていた。ホッとする。
9時半朝食。母と、このあたりの住人のペット好きなことには
呆れるといった話。すれ違う人すれ違う人、みな犬を連れている。
マンションから通りに抜ける道など、夜は犬の小便の匂いが
ただよっているとか。

平山先生から電話。
引っ越しの報告(私も、先生も)。
それから、例の件の進行のこともちょっと。
まだバラバラのピースだが、ひとつにまとまれば、これまで動いてきた
もの全てが無駄でなくなる。

今日は稽古場は3時入りなので、その間に、と思ってサントク
に買い物に行き、明日の収録で作る予定の『大正コロッケ』を
ちょいと試作してみるつもり。オカラ、すり身、ネギ、桜エビ
などを買ってきて試作。食べてみると、なるほど、これは旨い。
少しパサパサ感があるので、もう少しすり身と卵を混ぜたらいいか
と思うが、檀流クッキングにはこのパサパサ感が大正コロッケの
思い出、とあったから、それくらいでいいのかもしれない。
弁当(鯖の塩焼き)につけてお菜にもした。

2時、母に卵を分けてもらい、残りの材料類を使い切って
全部大正コロッケにする。
揚げたてのものを保温パックに包んで、地下鉄で荻窪。
稽古場でみんなにふるまおうと思って。
そしたら、途中で
「唐沢さんですか」
と声をかけられた。テレビで私を見た人かな、と思ったら
「明日、収録する店の店長です」
と言われてビックリ。
何でも、どこだかの店へ酒を買い付けに行く途中なのだという。
私も彼も、こんな時間に地下鉄に乗ることは滅多になし。
世間は狭過ぎである。荻窪でバスに乗るところまで同じルート
なのであった。

バスで稽古場、昨日と同じ杉並会館内の集会所。
今日は昨日よりちょいと広いめ。
途中で別府明華ちゃんと会って、さっそく大正コロッケの話。
そのとき稽古場にいたみんなにふるまったが、まだ暖かかった
せいか、評判よし。カラーチャイルドから客演してくれている
中村容子ちゃんが一番喜んでくれた。

ハッシーは今日は風邪気味。
ガハガハゴホゴホゲイゲイグハグハうるさいこと。
まずは私のウィルソンのところをさらう。
今日はなべかつさんが札幌に仕事、麻衣夢が夜からなので
代役にもやしと菊ちゃんがそれぞれの役をやるが、セリフが
きちんと入っているのに驚く。若いってことはすごい。
ハッシーのぬらりひょんも素早く形になってきたのは実力だなあ。

今日はミヤッキーが来ているので音入りで行う。
私はクライマックスの動きが最初まったく入っておらず、
ダメダメであったが、二度目からは手に入って、まずはナカナカの
(自社比較)ものになったのではないか、と思う。
バケモノ役なのだが、
「しかし適役ですねえ」
などと琴ちゃんたちに言われて苦笑。
休息時間にみんなで並んで肩を揉みあったり、和気藹藹。
菊ちゃんが弁当タイムにと、鳥の揚げ物をみんなに持ってきて
くれた。これが、泡盛にまず鳥肉を漬け、生姜、ニンニクの
すり下ろしをまぶして揚げたものだそうで、実にうまい。
鈴木希依子ちゃんとマイミクになる。

6時過ぎ、麻衣夢と親川が来たので、ウィルソンのシーンを
私と親川の二人で両方やってみる。他人の演技を見ると
自分の役がよくわかる。私のとき、涙がボロボロだったのには
まいった。感動したわけでなく(いや、感動シーンなのだが)
稽古場が乾燥しているので、涙目になるのだ。
実際の劇場も乾燥していると思われるのでこの涙目だけは
どうにかせんければならぬ。

そこらで原稿があるので、と失礼させてもらい、バスで荻窪。
近くのクスリ屋で、涙目用の目薬と、喉用の消炎剤、それと喉飴
を買い、新中野まで。サントクで買い物し、さてD社原稿書き。
書き始めたのが8時半、400字詰原稿用紙換算で20枚、
書き上げたのが12時2分。初めて日をまたいだ。
とはいえ3時間半で20枚はかなりの能率と言わなければならぬ。
これは今回の章のテーマが、ほとんど資料を必要としない、
わが縄張うちのものだったため。
ただ、構成や文章は他の章より荒くなっていると思うので、
ゲラでそこらはかなり手直しが必要か。
ともあれ、あと二本、最終コースに入ってきた感はあり。

そこから、サントクで買ったイカをハーユ炒めにして
(これも檀流クッキングより。これは明日は作らないのだが、
まあ勢いで)酒。ビール、どぶサワー、黒ホッピー。
力道山の記録ビデオなど見て、2時就寝。

*肩もみ風景

Copyright 2006 Shunichi Karasawa