裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

20日

木曜日

ボジョレ入谷の鬼子母神

ボジョレヌーボーがここまで日本人を奔走させるとは。

※書類提出でドタバタ

ゆうべの帰宅が2時ころ、9時半に母の室からの電話で
起されるが、眠くて眠くて。
朝食(バナナジュース、トマトスープ、岐阜のKさんから
いただいた富有柿)とってまたベッドに倒れ込み、
1時間ほど寝る。

起き出して、入浴など。
マルクス兄弟の『珍サーカス』、『二挺拳銃』などの
脚本を書いたアーヴィング・ブレッチャー17日に死去。
と、言うかまだ存命だったことに感動。94歳。
『オズの魔法使い』(1939)のシナリオ・ドクター
(スクリプトが弱い脚本を手直しする仕事)としてノンクレジット
だったがいい仕事をし、その脚本を読んだグルーチョ・マルクスから
電話があって、上記二作品の脚本をまかされた(IMDbより)。
その後コメディライターとしてハリウッドで重用され、
アカデミー脚本賞の候補になったジュディ・ガーランド(『オズの
魔法使い』の)の『若草の頃』や、ディック・パウエルと
マーナ・ロイの人気シリーズ『影なき男』の第4作
『SHADOW OF THE THIN MAN』(もともと第1作の原題が
“THIN MAN(痩せた男)”だったのを、“影なき男”とスカして
訳したため、この4作目の邦題は『影なき男の影』という変なものに
なってしまった)などを担当したが、その後映画界を離れ、
ラジオやテレビの企画・構成に移り、そちらの方で業績を挙げた。
彼に映画界での活躍の場を与えたグルーチョ自身が後半生を
ラジオとテレビの活躍で飾ったのとパラレルである。
実際、若い頃の写真を見ると、ヒゲと眉毛を描けば代役がつとまるんじゃ
ないかと思えるくらいそっくり(どっちもユダヤ系)である。

昼は弁当、貝柱チャーハン。干し貝柱を戻したものが具であるが
ダシが出て美味この上なし。書き下ろし原稿などをやっているうちに
国への提出書類の完成の電話入り、駅前のヴェローチェへ。
あわてたので会社の定款(書類に添えなければならない)を
忘れて一旦戻る。

全て手続き終って提出、ふうと二人で息をつき、喫茶店で雑談。
ちょっと意外な話も聞く。
別れてサントクで買い物、ちょっと資料調べ。
級に眠くなり、1時間ほどベッドでグー。
よほど緊張していたのか。
その時の夢で、体長3センチほどでディープブルー色の、
凄まじく奇麗なイカを水槽で飼っていた。

朝日Nさんから電話、予定原稿一週早めてもいいかという
問い合わせ、問題なし。
パソコンの調子悪くて、文字に変な色がついたりする。
メールが全部青字になったり。

オノから某政府機関からの仕事の概要メール。
ただしpdfファイル自宅のパソでは開けず。
ビデオで『殺しのミッション』を見る。
だいぶ前に渋谷のビデオ蚤の市で買ったもの。
原題は『A DANGEROUS PROFESSINON』(1949)。
ジョージ・ラフト主演の犯罪もの。
監督はカメラマン出身でヒッチコックの『汚名』を撮っている
テッド・テズラフ。

ギャング役が多いラフトだが、この映画では、職業が
保釈保証人(BAIL BОNDS。保釈金の1割を払えば残金を
担保保証で肩代わりするローン業)という珍しいもの。
逮捕された夫の保釈金が高くて支払えない、なんとかしてほしいと
事務所を訪れた人妻(エラ・レインズ)に一目ぼれしてしまった
ラフトは自分の会社の金を使って保釈金を払い夫を拘置所から
出すが、夫は妻とは別れて高飛びする、と言い、その後何ものかに
殺されてしまう。容疑はレインズにかかり、ラフトは真犯人を
つきとめようと捜査を開始する。

絶対に人を自分の後ろに立たせないという
ゴルゴ13みたいな殺し屋とか、わざと喫茶店で人にコーヒーを
かけ、後でタクシーの運転手に聞いてその人物の行く先を
確かめる(コーヒーまみれの男ということで運転手も記憶している)
などという描写が面白い。

刑事役でジム・バッカスが出ているのが嬉しかった。
いかついご面相で、タフな刑事やギャング役の多かった人だが、
その外見に似合わぬ気の弱い役やコメディ演技も出来る人で、
前者の代表作が『理由なき反抗』の、いつも母の尻にしかれている
ジェームズ・ディーンの親父、後者の代表作はテレビ『もうれつ
ギリガン君』の、孤島に漂着した大金持ち、サーストン・ハウエル3世
だろう。またUPAの人気アニメ『近眼のマグー』のマグーの声でも
有名な人である。

白菜と鶏肉でピェンロー作り、食べつつビデオ。
12時にもう眠くなり寝る。
なんだろう、今日のこの眠気は。

※兄弟みたいなアーヴィングとグルーチョ、ジム・バッカスとマグー人形。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa