裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

6日

木曜日

清く正しくジュラシック

マイクル・クライトン追悼ダジャレ。

※『社会派くん』テープ起しチェック ラジオライフ原稿 落語会

朝、9時まで断続的に寝る。
このごろ、睡眠時間が凄く長い。
寝るのが快楽で快楽で。

夢を見る。
猥歌がずっと流れているのだが、それが以前日記で
取り上げた『Peter Cushing Lives In Whitstable Song』の節
http://jp.youtube.com/watch?v=3wpGPqWrjeQ
で、
「♪白いパンツをシワにさせずにスカートまくってそっとおろして」
というような歌詞。聞いてやたら感心していた。

起きたらマイクル・クライトン死去の報。
ミクシィニュースでマイクル・クライトンと検索するとニュースが
見つからない。マイケル・クライトンでないと出て来ないようだ。
しかし、中学一年生のとき、早川書房の返金保証本(ストーリィの
後半三分の一が袋とじになっており、ここまで読んでつまらないから結末は
読まないでもいいや、と思った人はそのまま出版社まで持ってきたら
返金します、という見事なハッタリ演出)でハマった身にとっては、
やはり表記はマイクル・クライトンなのである。

で、そのハマった袋とじ小説が『アンドロメダ病原体』。
いやあ、興奮したなあ。人口48人の小さな村の近くに人工衛星が
墜落し、謎の病原体が村を全滅させるが、胃潰瘍の老人と
生れたばかりの赤ん坊だけが何故か生き延びる。
この謎を解き、外宇宙生命体による人類の破滅を防ぐため、
科学者チームが選抜されて……という、そのオープニングの不気味さと
選抜された科学者たちが集まってくる描写のスリリングさ。
ああ、あの後いくつか書きかけたSF小説習作の中に、必ずメンバー集結
のシーンを入れていたのはこの作品の影響だったのか?
まさに新世代のSFではあるが、似たようなアイデアで先駆している
小松左京の『復活の日』が、世界の破滅まで風呂敷を大きく広げて
(いい意味の)SF的荒唐無稽さを魅力としているのに対し、
『アンドロメダ病原体』が、限られた登場人物と閉鎖空間の中での
サスペンスに絞っており、小説内で使用される科学技術も1969年の
段階で現実にあるものばかり、しかも政府への報告レポートの
形式をとっており、つまり事件を“すでに解決している”ものとして
読者の前に呈示する、といったSF的な飛躍を(病原体の構造以外)
封印しているという縛りが非常に新鮮だった。

それで、これは、と思ってすぐ次作の『ターミナル・マン』も
買って読んだがこれはちょっと……だった。
この二つの作品のどこが違うかというと、『アンドロメダ病原体』
の方は小説としての面白さを犠牲にしても、設定の謎とその論理的
謎解きを追求しており、『ターミナル・マン』は小説らしい
クライマックスが設定の延長上に用意されている。
つまり、小説のストーリィテリング技術としては『ターミナル・マン』
の方が出来が上であり、それ故に『ターミナル・マン』は普通のSF小説に
なってしまっていた。
『アンドロメダ病原体』はエンタテインメント的展開を作者自らが
制限しているところが、逆に作品の魅力を際立たせていたのである。
映画に関してのことも語りたいが(『未来警察』とか)
長文になり過ぎる。また別のところで語ろう。
それにしても66歳とは早い。
医者の不養生である。
冥福をお祈りする。

朝食、バナナジュース、パンプキンスープ。
社会派くん原稿チェック。
泰葉関係の発言がやはり長くなる。
裏情報で私の発言とは異る情報も入ってきているが、
ここは論を優先。

さらに原稿書き、ラジオライフ。
昼飯はカレー。
昔ながらのカレーで美味し。
ラジオライフのネタをそのまま、今夜の高座に使おうと
算段。いや、最初からそのつもりだったのだが。
4時半完成、新担当T木くんにメール、すぐに家を出て、
丸ノ内線で赤坂見附、銀座線乗り換えで浅草。
酉の市でにぎわう浅草寺境内を過ぎて(“六尺の大イタチ”の
見世物などあり)木馬亭に至る。
快楽亭が外を(例によって)ぶらぶらしていて、こっちに挨拶してきた。

楽屋に荷物を置いて、外をぶらついていたら、
今日楽屋で会う予定の上野山功一さんのファンの方お二人に会う。
少し話して、楽屋でやがていらした上野山さんと話す(福島の凉豊という
大型の梨をいただく)。これまで福島のお店の経営に力を入れてきたが
俳優活動を再開させたいというお話。
私の来年の活動にも重ねてご協力を約束する。

白鳥師匠、談之助師匠と三人で雑談。
泰葉&小朝のこと。いろいろ情報を入手す。
本日のトリをつとめる立川流Cコースの荻窪の歯科医の先生、
立川抜志さんにも挨拶。

落語会の模様は後で同人誌にするので割愛。
私はいつものネタ“カゼッタ岡の話”から“写真の仇討”。
全出演者の中で最も落語家らしい口調だったのが抜志さんだったのに
苦笑。

まちゅくみさんが中入り休憩の間に来る。
これで3回連続、私の落語を聞き逃している。
オノがその間の悪さに大喜び。
「5回連続聞き逃したらネタになりますよ!」
とか。休憩時間に談之助さんが立川流同人誌売っているので、
私もオノが持ってきた『奇想天外シネマテーク』の
同人誌を売ったら、持ってきた分完売した。有り難し。

上野山さんは次の打ち合わせあるとかで途中退席、
明日の昼に中野で会うことを約す。
打ち上げは近くの魚民。
そこまで歩くうち、交番に、なにげなく“さすまた”が
置いてあるのを発見。
雑談いろいろ。QPさんとかはいたが、これくらい私関係の
知人とかの少ない打ち上げも初めて。

帰りはつくばエクスプレスで秋葉原まで(駅入り口の近くにある
弁当屋に談之助が凸。何かと思ったら、ここの“台東区一安い”
262円の肉じゃが弁当が奥さんへのおみやげに最適とか。
オノもマドへのみやげに買っていた。見ると、262円とは思えぬ
丸ごとの新じゃがが5個あてごろごろ煮てある、お徳用弁当で
あった)。

エクスプレスで秋葉原、そこから山手線でお茶の水、中央線で
中野。中野からタクシーで帰宅。この時間だと800円。
書評用の本など読みつつ就寝、1時ころ。

*写真は大イタチとさすまた。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa