裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

7日

金曜日

BLマンガ夜話

ボーイズラブ・コミック専門にじっくり語る番組。

※マッサージ クロムモリブデン観劇  産経新聞電話インタビュー 東京中低域ライブ

朝9時半起床。
目が覚めるのはもっと早くても、9時半までどうしても
起きられないのはこの頃の空模様の寒々しさのせいか。

9時45分朝食。
バナナジュース等如例。
11日の神戸行きの弁当にこないだの野菜サンドをお願いする。

ラジオライフ原稿、送れてなくて戻ってきてしまっていた。
あわてて再送。それから入浴し、急いで外出。バスで中野駅。
上野山功一さんと待ち合わせ。
上野山さんが昔から世話をしているという、『ゴッツハンド』
なるマッサージ店に。元は力士で、三杉里というしこ名だった
そうな。……わっ、とすれば彼、『トリビアの泉』で取り上げられた
ことがあるではないか。
http://tinyurl.com/6en3ky

マッサージしてもらいながら、上野山さんと話す。
さすがに力士の掌は大きく、揉まれていて気持いい。
1時間半揉んでもらって、ちょうど中野まで来られた石森史郎
先生と上野山さんと、ちょっと風月堂で話す。
石森先生からは、小野伯父のことを聞かれる。
次の舞台に出てもらいたい由。

別れて、中央線で四谷、地下鉄乗り継いで表参道。
青山円形劇場で、麻衣夢と待ち合わせて幸田尚子ちゃん
出演のクロムモリブデンの舞台『テキサス芝刈機』観劇。
クロムモリブデンの舞台は初めてだが、数日前、阿部能丸くんから
「最近一番面白い劇団ですよ」
と聞いていたので期待度高し。
あと、青山劇場には何度も入ったことはあるが、円形劇場は
初めてなので、これもちょっと興味あり。

で、『テキサス芝刈機』。
開幕冒頭からやたらな早口での台詞の応酬、電車の中で
痴漢をした男と痴漢と間違われた男(どっちがどっちかはわからない)
と痴漢をされて喜んでいる(初めて女性として扱われたので)女の
やりとりがあり、そこに宝塚(?)で“痴漢ミュージカル”を
やるので痴漢の気持を研究している男装(ヒゲ)の女優、そして
三人は痴漢冤罪者救済協会の女に導かれて、不思議な森に連れていかれる。
そこではかつて名人といわれたスリと、メガネに半ズボン姿の
(どこかで見たような)少年の二人が、森の木をチェーンソーで
伐採しており、いつの間にか森は(凄い舞台装置で)ゴルフの
グリーンになっていた。
そして、そこに、雑誌の女性記者が、鉄道事故のたった一人の生き残り
という少女と共にやってくる……。

ナンセンスでシュールな展開の中に、音楽が入り、ダンスがあり、
アニメのパロディがあり、と、目まぐるしいを絵に描いたような
ストーリィ進行。最初は振り回されて頭がクラクラしていたが、
やがて、そのブン回され感が快感になってくるという、ドラッグ的
舞台であった。役者たちが全員達者で、動く踊るしゃべる、
普通の芝居の3倍くらいのことを要求されて、それに答えている。
幸田尚子(しょうこ、だと思ったらなおこだった。私はずっと高嶋
ひとみの頃の彼女としか仕事していないので知らなかった)
ちゃん、いや、マジに宝塚の男役に見える。スタイルはいいし
声もいいし、いい女優だなあ、と、舞台で観て改めて感心。

ただ、ぶっとんだのはこの芝居、テーマが“痴漢と鉄道脱線事故”
という、実際に被害者がいる事件である。特に鉄道事故の方は、
誰もが記憶にあるだろうあの事件をモデルにしている。
普通の劇団なら、取り扱うことに躊躇してしまうだろう。
そこを大胆に取り入れてしまうパワーに感服し、ちょっと気にも
なってしまった。

尚子ちゃんに挨拶し、公演終了後の食事会を約し、
ちょっと小腹が空いたので麻衣夢と、オーバルビル地下の
鎌倉パスタで軽食。私は塩辛のクリームパスタという妙なものを
食べるが、クリームの濃厚さと塩辛の塩気がいい具合にマッチ。

最中に産経新聞から電話でインタビュー。
キューピー人形の誕生から来年で100年、ということで
日本におけるキューピーの受容史について語れという依頼。
ああ、以前ミリオンのYくんから
「なんでも産経新聞が“サブカルチャーについて”話して欲しいと
いう依頼がありましたが……」
と言っていたのはコレか、と思う。
15分ほど、鎌倉パスタの店の外に出て、いくつか話す。
記者さん、“非常に面白いので、明日、直にもう少しインタビュー
させていただけないか”と。今夜時間の都合などメールします、と
答えておく。

そこから地下鉄千代田線で代々木上原まで。そこで小田急線に
乗り換えて下北沢。千代田線利用は麻衣夢が言い出したのだが、
もしそれが無ければ、新宿回りのコースを通っていたかも
知れず。45分以上かかると踏んでいたのが、わずか10分で
下北沢に到着してしまった。

440で東京中低域の、渡英前最後の東京ライブ。
早めに着いたので店内のビデオを見ていたら、映画『バスキア』を
やっていた。何気なく見ていたら、今書いている本に関係するある
ことを発見。すっかり忘れていたので仰天する。
それにしても、中低域のまつけん(松本健一)さんとのつながりは
彼がルナの『バスキア』に出演していた、という縁。
そのバスキアを、中低域のライブの会場でかけているとは。

中低域のライブにはもう何度も通っているが、ホーム意識が
あるせいか、良く言えば天衣無縫、悪く言えばグダグダな演奏に
なることも多かった。
「あれはわざと音を外しているんですか?」
と麻衣夢が訊いてきて答に窮する場面もあった。
酒が入るとさらに凄くなる。
しかしながら、今日は渡英を前にしているせいか、
演奏が非常にまとまっており(トークなどは相変わらず
ユルユルの魅力だが)、初めて中低域を聞く人にはまさにオススメの
ライブだった。『All You Need Is Slave』を柴野さんのバリサクで
水谷さんが歌うステージには、麻衣夢もちょっと感動していた模様。
鬼頭さんに、いただいたブラスバンドのCDが非常によかった旨、
伝えておく。

久しぶりに世界文化社のDさんに会う。
もとはと言えば、この中低域はCDでのみ聞いていて(レコード
時代に鈴木慶一を聞いていた流れ)、ライブに足を運ぶつもりは
なかったのだが、彼女に誘われてコンサートに言ったのが病みつきに
なり、やがて新譜の惹句を依頼され……というつきあいであった。
久しぶりにまた仕事お願いします、と言われる。

田中さんとちょっと話し、“ある種の”人々とのつき合い方の
レクチャーを少し。あと、イギリスから帰ったあたりでの
肉の会の件を。水谷さんからも、
「今年は唐沢さんとの肉の会で始まった(1月23日八起)ので
〆も唐沢さんと肉の会を」
とリクエストあり。

そこを出て、麻衣夢と本日の〆に『おこん』に行く。
メインの部屋はほぼ満席という盛況。
『裸の少年』効果だそうな(PSPで録画を見せてくれた)。
軽く、という注文で、おひたしでグラスシャンパン、
鴨のロースト、松茸のお吸い物、それと鯛と松茸のご飯。
日本酒。いろいろ雑談。
ふと気がつくと12時。麻衣夢が明日水戸だというから、
早めに帰ろうと思っていたのだが。
タクシー呼んで、彼女を代々木上原で下ろし、帰宅。
明日の待ち合わせ時間と場所を産経のMさんにメールして、
1時半、就寝。
くたびれたが盛りだくさんで楽しい一日だった。
前から気にかかっていた某件で誤解(というか思い過ごし)が解けた
こともあり。案ずるより産むが安し。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa