26日
火曜日
ギョウザ決定戦
さあ、毒入り輸入ギョウザのどれが一番致死量に近いか!
※『社会派くん』対談 『靖国YASUKUNI』試写
朝9時半まで寝ている。
こりゃいくら何でも寝過ぎだろうと思うが
いくらでも寝られる。
朝食は母の買ったピザパンとミルクティー。
子供のころはわが家ではこれを“牛乳紅茶”と呼んでいた。
“牛乳コーヒー”という呼称が先にあって、そこから派生して
牛乳紅茶と呼ばれるようになっていたのだと思う。
ちなみに、牛乳屋さんで売っているのが“コーヒー牛乳”、
家でいれるコーヒーに牛乳を入れるのが牛乳コーヒーである。
なんでコーヒー牛乳は戦前から商品になっているのに、
紅茶牛乳ってのが出なかったのだろうか。
やはり保存性だろうか。
入浴し、日記をつけ、連絡事項いくつか。
昨日、マド経由オノ経由で受け取ったテリーのイラスト(落書)を
元に、シノプシスを立てたりする。
某編集部から電話、ちと景気の悪い話。
ドタバタしているうちに昼飯を食い損ねてしまう。
『社会派くん』対談、公演通りのカフェ・ミヤマなので、
まず新宿までタクシーで出て、メトロ食堂街で立ち食いの肉天そば
を食い、そこから山手線で渋谷に出るコースをとる。
山手線内で、聾唖の人同士が手話で凄まじい口論(じゃない、手論)
をしていた。どちらも初老といった年配だったが、つかみかからん
ばかりで、しかしつかみかかると手話が出来ないので、
非常にもどかしい表情。で、それを止めに割って入る女性もやはり
手話で、状況だけ見るとまるでコメディのごとし。
カフェミヤマでK田くんに、某編集さんのことを話す。
その某さんには(ペンディングしちゃっているが)この対談の
単行本の文庫化のことも預けているので、いろいろ関係してくるので
ある。
村崎さん来て、対談開始、対談そのものはまあ、いつも通りだったが
今回は対談が終わっても、全体のテーマのような感じになった
“現代人と性欲”の話でちょっと盛り上がり、長話になる。
こういうことも珍しい。
いつも一時間半くらいで終わる対談が二時間以上。
終わって、店を出たのが5時15分。そこから地下鉄銀座線で
銀座へ、銀座から日比谷線ひと駅で東銀座。
松竹試写室でドキュメンタリー映画『靖国YASUKUNI』試写鑑賞。
10分前に到着したが試写室はほぼ満席。
アルゴのHさんのお誘いであった。
http://www.yasukuni-movie.com/
監督は中国人の李纓(44)。
中国人の撮った靖国像だから、もっと諸悪の根源として
徹底追及の視点で描いているのかと思ったら、そこらへんを
“非常にうまく”回避している映画になっていた。
だからこそ、産経新聞が取材して記事にしてしまうのだろう。
http://sankei.jp.msn.com/life/education/080208/edc0802080901001-n1.htm
靖国を賛美する人と反対する人の姿を同一視線で記録する
ことにより、賛成とか反対とかという視点でなく、
今の靖国をめぐる日本人(及び諸外国人)の混乱をありのままに
描き、結論は観た人の考えにまかす、といった姿勢を基本にしている。
だから、鈴木邦男氏のように
「これは靖国へのラブレターだ!」
と絶賛する人も出る。
私のようなサブカル人間にとっては、靖国神社に終戦記念日に
わらわらと集うコスプレ集団の姿をこれだけたくさん記録したという
だけで貴重なフィルムである、と絶賛したくなる。
しかし、その作りに、マイケル・ムーアのドキュメンタリーに
相通じるウサン臭さもビシビシ感じる。
映画は、基本的に終戦記念日の靖国神社風景と、
靖国刀(昭和8年から終戦まで、靖国神社境内に作られた作業場で
作刀され、陸軍将校に供給されていた刀)の最後の作り手である
90歳の老人の作刀風景を交互に記録している。
老人にとっては、靖国刀の作刀は自分の青春であり、
人生そのものであった。
当然、監督も、その刀の素晴らしさをたたえ、老人は、彼が
そういう趣旨で自分の記録を撮ってくれている、と信じている。
だからこそ、寡黙ではあれ、つい、監督の誘導尋問で
「私は小泉さんと同じく、日本人は靖国に詣るべきだと思うとります」
という言葉を吐き、かつ、
「休みにはどんな音楽を聴くんですか」
という問に、老人が(“やすみ”と“やすくに”を聞き間違え)
「靖国の音楽?」
と、音楽ではないが昭和天皇の肉声を記録したテープを流す場面を撮り、
そして老刀工の、たぶん人生最後に鍛えた刀の映像と、
百人切りを報ずる記事や南京での虐殺場面の写真を並べて映す。
この老人は、自分の仕事をこのように編集されることを知らないはず
である。彼がまだ存命なのかどうか知らないが、完成された映画を
観たらどう感じたか。
そこが非常にひっかかる映画だった。
とはいえ、そこらの作為は観ていてすぐにわかるので、
われわれはただ、日本人も実はよく知らない、靖国神社を
めぐるさまざまな人々の思惑を記録した作品、としてこれを
見ておくべきなのかもしれない。
アメリカ人の靖国参拝賛成者というヘンな外人とか、
靖国参拝促進運動反対を叫んで参列者にボコにされて鼻血を出しながら
「小泉首相の靖国参拝は犯罪です! その犯罪に比べれば、
私への暴力など、なんの問題でもないのです」
と、妙に芝居がかって叫び続ける青年、その青年の態度に憤慨し、
彼を中国人と間違えて、
「中国へ帰れ!」
という言葉を際限なく(興奮のあまり止まらなくなってしまっている)
浴びせかけるおじさんなど、日本人もアジア人も、なぜか冷静で
いられなくなるパワーを持つ場所としての靖国をよく捉え得ている、と
言っていいかもしれない。
後味の決していい映画ではないが、しかしどう反応するにしろ
われわれに何か答えを求める映画ではあった。
まずは観るべし。
終わったらサイゾーの編集さんに声をかけられる。
ちょっと内容について(思想的でない部分で)話してウケる。
電話、試写中に留守録で二本。
IPPANさんとバーバラ。
丸ノ内線で帰宅して、家で二人にそれぞれ連絡。
基本的にはどちらもおまかせ。
メールに返信などしながら夜食。
桜エビのおろし和えなどでビール。
あと、スコッチウイスキーを、目玉焼きをサカナに。
目玉焼きはいつも、ベーコンと一緒に焼くと
ベーコンをうまく焼こうとするとタマゴを焼き過ぎ、
タマゴをうまく焼こうとするとベーコンにあまり火を通せないと
いうジレンマに悩まされていたが、水島弘史氏の
『今日からおいしくなる洋食のシンプルルール』を読んだら
目からウロコの、しかし考えてみれば当然なルールが書いてあって、
まず先にベーコンを焼き、皿に一旦とって脂を捨てて、
それからタマゴを焼き、途中でベーコンを再投入する、のであった。
それに従い、ほぼ完璧な焼き加減のメガネたまごが焼き上がる。
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