裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

1日

金曜日

ハングルから来た女

韓国の女スパイ0022。

※『アニメ夜話』ムックインタビュー マイダーリンニコニコ大会第二回

朝9時起床、最近はギリギリまでベッドの中で
丸くなっていて、なかなか飛び起きられない。
ま、この寒さじゃ無理もないか。

朝食、伊予柑とモンキーバナナ一本。
コーンスープカップ一杯。
それとミルクティー。

ゆうべ完成させられなかったラジオライフ原稿を書く。
11時半、書き上げて編集部にメール。
オノから連絡、大変に楽しそうな仕事が入った。
時間が深夜にわたるところがナンであるが。
一週間連続のうちの一日で、この日、と指定してきたようだが
別の日がいいなあ、と私にしては珍しくワガママ。
いや、楽しそうなので。

昼はサントクで買った塩鯨を細かく切って、これで
チャーハンを作ってみる。
……いや、脂が出る出る。出来たチャーハンはうまかったが、
食べたあとの皿にも薄く脂がたまったほど。

そのあとメール、仕事がらみの電話、宅急便待ちなどいろいろ
あって、ふと気がつくと、家を出る予定の時間を大幅にオーバー。
あわてて電話して先方に待っていてもらい、どたばたと駆けだす。
タクシーに飛び乗ったら運転手さんが
「カラサワさんですよね? よくラジオでお声聞きます」
と嬉しそうな顔で言ってくれたが、あたふたしていたので
ロクに応対できず。

渋谷、自宅マンションの一階半地下にある喫茶・ベラミ。
駆け込んで、遅参を詫び、インタビューに答える。
アニメ夜話ムックの『アルプスの少女ハイジ』本。
この回の収録については、悪いが大林宣彦監督がやたら長広舌を
おふるいになり、それがまたアニメと関係ない方に走りがちなので、
何とか作品に結びつける風に受けることに一生懸命だったこと
くらいしかキオクにない。
あと、高畑勲監督のリアリズム主義に対して苦言を呈したことくらいか。

なので、最初、話すことがなくて苦心する。
しかし、話す内に、放映された時代、なぜ“ファミリー劇場”なのか、
その当時の家庭生活における変化はどういうことか、そこにこの
アニメをぶつけた意義は何なのか、というようなことに話が至って、
急に饒舌になり、最近の持論である、時代と作品の密着性について
突っ込んで話して、
「いやあ、面白かった」
と言ってもらう。ちょっと肩の荷が下りた感じ。

それにしても、もうこういうインタビュー仕事に時間割を使う
ことはないんだな、と思うとちょっとセンチメンタルになる。
実際の営業は今日までなのだが、これでいよいよ最後、という
場には居合わせたくない。それだと、いきつけの店、というより
そこで過ごした自分の時間が、永久に終わってしまうことが
イヤでも認識される。出来れば、終わる数日前に行き、
いつまでも、その店がそこにあるという幻想を抱いていたいと
思うのである。

仕事場に戻って、原稿をメールしたり、近況を書いて送ったり、
いろいろ。ロフトさいとうさんから、イベントについての相談。
いやあ、今年はやけにロフト各店でイベント打つなあ。

6時、家を出る。
某知人から、大変によかった、がんばった、系の電話あり。
地下鉄銀座線で浅草まで。始発から終点までだよ。
松本清張『昭和史発掘』読む。二・二六事件のあたり。
北一輝をケチョンケチョンに評しているのが(“こう書くと北が
ずいぶん小人物であったようだが”などと書いているが、実際
小人物であるようにしか読めない風に書いている)面白い。

浅草に到着。腹がペコペコだったが、もう開演時間。
近くで肉まんを一ヶ買って、持って東洋館入り。
ノリローさんに挨拶。
ちょうど開口一番の松幸(松山幸次ではなくて談幸の弟子の
立川松幸)が『寄合酒』をやっていた。

続いてが米粒写経、相変らず達者。
それからダーリン先生の漫談、先生も達者。いや、芸は達者というより
もはやツキヌケているが、身体がガン患者とは思えぬほど達者。
なにしろこのニコニコ大会、去年の5月にやったときはテレビ局が
二つも取材に来ていて、それはニュースで
「末期ガン、余命一年でも舞台に立つ」
というような取り上げ方をされていたからだが、元気になり過ぎて
今回はどこも取材などおらず(朝日新聞の人が客席にいたみたい
だったが)。

ネタはいつものガンばなしだが嫌いな芸人の話、昔ワルいことを
やっていた政治家の話など、放送禁止の話題がゾロゾロ出てきて、
しかも実話だけにひっくり返って笑う。

そこで中入、ぎじんさんなどとちょっと会話。
その後が談幸。談幸は立川流のベテランの中では最も常識人なのでは
ないか、と思っている本格派だが、ダーリン先生に引きずられたか、
今日はやたらブラックにマクラをふっていた。
ネタはまともに『町内の若い衆』。

最後は真木淳さんとの宿屋コント。
コントはひさしぶり、ということでちょっとイキの合わなかった
部分あり、それすら味になっているのだが、ダーリン先生は
かなり気にしていた模様。
打ち上げは出演者のみ、ということなので加わらず、
地下鉄で帰宅。金曜日で混みあい、乗り換えの丸ノ内線では
最後まで座れず。

帰宅して、事務所に来たメールがオノから転送されていたので
読んでみる。なにやら興奮していることだけはわかる、
意味のよく通らぬ文章。
夜食、イワシの丸干しを焼いて、あと地鶏など。
ホッピー四杯。DVDでシャーロック・ホームズ。
ふと気がついたら3時過ぎ。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa