5日
火曜日
コスメティック・バイオレンス
あの厚化粧はほとんど暴力だよな。
※於笹塚ファクトリー『キスしてほしい。』観劇
朝8時45分起き。
9時、母の室で朝食、イチゴ、伊予柑。
ニンジンのスープ。
日記つけ、資料類をもう一度整理。
もう執筆開始しなければいけないのに一冊丸々読まねば
ならぬ本が出てきてあちゃあ、と思うが、読み始めてみるに
使う部分はごく一部分であることがわかりやや、気が楽に。
マイミクのROCKYさんの日記でミドルネームの話題が
出ていた。ミドルネームと言えば思いだすのが、
『殺しの許可証』という諜報員ものの傑作映画(ダーク・ボガード
主演)で、アメリカ人記者役のフレデリック・フォレストが
何かというと“ジーザス・H・クライスト!”と叫んでいたこと。
単に感嘆詞として“ジーザス・クライスト!”と使うのをさらに
強めるために、HOLYか何かをミドルネーム風に
間にはさんだものだろう、程度に思っていたのだが、
この日記へのコメント書きのために調べてみたら、
これはギリシア語のジーザスの綴りΙησους(イエースース)を
ラテン語化して省略表記するとIHSまたはIHCとなるので、
そこからHが間にはさまった、とある。
最初にこの言い回しを使った人物はマーク・トウェインだと
言われているそうだが、キリスト教に造詣の深い(しかもキリスト教に
絶望していた)トウェインらしい造語だ。
ちなみに、このHをはさむことで、単に“ジーザス・クライスト!”
と叫ぶよりも、かなり辛辣というか、悪意が含まれる罵り言葉
となるのは、“救世主”という意味の“クライスト”を、
Hをミドルネーム風にはさむことで、単なる名字に堕さしめる
効果があるのだということである。
『ブルース・ブラザーズ』の中ではジョン・ベルーシが
「ジーザス・H・タップダンシング・クライスト!」
と叫んでいたそうだ。今度確認してみよう。
昼は通販で取り寄せたタイ汁ビーフン。
冷凍庫の中にあった鶏肉と野菜貯蔵室にあったもやしを茹で、
香菜はないのでパセリを散らし、コリアンダーの粉末をかけて。
ライムの切れっ端もあったはず、と思ったがこないだの掃除の際に
K子に始末されていた。粉末唐辛子を入れ過ぎて辛かったが、
やはりアジアの味はいいなあ。
もやしは最近、成田食品のベストもやしを試みているが、高い(と言っても
一袋98円)が味は最高。
3時半、事務所へ。バス停への道を歩いていたら、
下校途中らしい小学生の女子の一団が、離れたところから
私をつけて歩いて、クスクス笑っている。
ナンだろうかと不安になったが、“雑学の”とかささやき声が
聞こえるので、アア、『世界一受けたい授業』を見ていたのか、
とわかる。放送後三日くらいは続く現象なのである。
事務所で少しビデオ整理などして、資料本を書庫から持ち出す。
5時、タクシーで笹塚へ。
車中携帯に電話あり、週刊朝日からインタビュー依頼。
こないだスパモニで倖田來未事件についてのコメントで
「若いミュージシャンたちのピュア信仰」
という用語を使ったのを、あの番組のレギュラーの週刊朝日編集長
が興味を持ってくれたらしい。
明日、時間割で、と言いさして、“東武ホテルで”と訂正。
ちょっとほろり。
笹塚駅に直結している地下劇場“笹塚ファクトリー”。
確か志らくさんの芝居を始めて見たのがここ。
あの頃は単なる“スペース”という感じだったが、だいぶ
劇場っぽくなっている。
岡本貴也プロデュース『キスしてほしい。』公演千秋楽。
渡辺シヴヲさん、松山幸次さんの客演。
松っちゃんに席を取ってもらったのだが、見たら麻衣夢ちゃん、
あゆちゃん、横森さん、乾ちゃん、岡っちなど知りあいも
いっぱい。隣の席が空いているなと思ったら、遅れて琴重ちゃんが
やってきた。
結核病棟を舞台に、そこの入院患者たち、医者、看護スタッフたち
の人生模様をオムニバス的に描くストーリィ。
ハードな勤めのため恋人と距離が出来て別れてしまった看護婦
(このいい方でないと男女の別が出来ないのでこう書くが)長、
彼女に好意を持っているが自分のデブをコンプレックスにしていて
なかなか言い出せない看護助手(当然、松ちゃん)の話を中心軸にして、
入院患者もグレた弟を持つ町工場の若社長、妻と不倫相手が交互に
見舞に来るサラリーマン、なぜか獣医をめざして受験中の女子高校生、
売れないロック歌手、正体不明のおじさん(当然、シヴヲさん)など、
さまざま(役名が確認できないのは、パンフレットが“限定発売”だった
ため、楽日の今日は売り切れていて、他には配役表のチラシもなかった
ため。これはちょっと、イカンだろう、という感じ)。
「人生交差点ですなあ、ここは」
という登場人物の台詞そのままに、いろんな人生模様が交錯する
結核病棟の模様を描く。
それぞれのエピソードがみんな面白く、うまく作られて、最後は
何故かみんな丸く収まるというハッピーエンドも、心地よく
見ることが出来る。ただ、一、二のエピソードを除いては、
互いの話があまり交錯せず、異った芝居を交互に観ているような
気になったところ、いくつかのエピソードは無理して
ハッピーエンディングをとってつけている感じなのが惜しかった。
一人のトラブルが別の人物のトラブルを増幅させたり、
また解決させたりという相互関係が出来てくれば、話がもっと立体的に
なったのではあるまいか。
しかし役者がみんな達者だ。
目立つのはやはり柄と芝居の大きい、若社長役の清水順二。
一目で“あ、これは自分で劇団率いている役者の芝居だな”と
わかるのが面白い。シヴヲさんは何と、髪の生え際を剃りあげて
老けメイクをしていた(老け役じゃないのだが)。役者根性である。
アイドル系声優の落合祐里香にはやはり、声優系のオタクファンと
一目でわかる皆さんが差し入れをしたりしていた。
松っちゃんは……しかしトクな俳優だな。いつもそうだが、
役どころは完全なワキなのに、おいしいところを最後にかっさらう。
今回はそのかっさらい芝居の集大成みたいな感じであった。
ただし、千秋楽と言うことで作・演出の岡本貴也が最後に出てきて
挨拶したが、これがグズグズ。役者の名前もロクに覚えていない。
これは減点対象である。
シヴヲさん、松ちゃんたちに挨拶。
また飲みましょうと言っておいて、残りのメンバー
(乾ちゃん、麻衣夢ちゃん、あゆちゃん、琴重ちゃん、岡っち)
引き連れて(横森さんは残念ながら原稿書きがあるとのことでNG)
幡ヶ谷のチャイナハウス。本店は満員だったので、二号店に席を作って
もらう。
いつもはオタクばかり連れだっていく店にキレイドコロをずらり
招待したので、ジュンさんが“今日はまあ、どうしたんですか!”
と驚いていた。本店の混み様は異常らしく、ハルコマさんも
しばらくは二号店で開き待ちをしていた。
偏食の激しい琴重ちゃんがここの料理大丈夫か、と心配して
いたが、そこはさすがチャイナハウス、焼鶏も豆苗炒めも
黄ニラも大いに気に入ったようで、特に豆苗は
「野菜の青臭さが全部残っている!」
と感激。後から顔を出したマスターが
「ウチは野菜の味を全部そのまま残すからネ」
と言ったのに琴重ちゃん、やっぱり、と声を上げて、意気投合
していた。
話も弾み、今日の芝居から、ほとんどのメンツがこないだまで
出ていた『ファイアボール・エクスペリエンス』の話、
先日の『極楽トンボの終わらない明日』のなべかつさんは非常に
よかった、というような話。麻衣夢ちゃんもあゆちゃんも絶賛だった。
どうもここは裏側の事情に問題あるのではないか、と直感していた
某所について、実態の話を聞いたりして、やはりなと納得。
麻衣夢ちゃんが乾ちゃんに送ったメールの署名にかならず
麻衣夢チェリー、と書いてあるので、乾ちゃんは麻衣夢ちゃんが
チェリーと名乗っているのだと思っていたら、それは
絵文字のさくらんぼマークが乾ちゃんの携帯の機種では表示されず、
記号名のチェリーがそのまま文字で出るのだ、と分かって
みんな爆笑。
最後に蟻酒など見せたらさすがに女性陣狂騰、パニック。
食べ終わったあと、本店のウインドウを見せて、マスターの
食材の紹介を聞いて、みんな声をあげたり顔をしかめたりしていた。
京王線幡ケ谷駅で琴重ちゃん、あゆちゃんとハグして別れ、
残りのメンバーで新宿まで。
丸ノ内線方面に行くところで乾ちゃん、麻衣夢ちゃん、岡っちと
ハグして別れる。岡っち“最後がオレってところでオチがついて
いいよなあ〜”と。
帰宅して、雑用ちょっと片づけてベッドへ。
資料本読むがどっしようもない本だった。
いや、どっしようもないところを資料にするのだが。