裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

15日

金曜日

ワロス+虐殺

それがATGクオリティ。

※打ち合せ3件@全部神保町

朝8時半起床、メール等確認。
大したものはなし。
安達Oさんに市川崑の本を書くようハッパかける。
日本人全員が名前を知っている最後の映画監督ではないか。
最近の若者は日本人でないから除外するが。

9時15分朝食。
タンジールオレンジと大粒イチゴ2粒。
コーンスープ。
自室に戻って日記つけ、それから企画書書き直し。
以前出していた小学館クリエイティブの企画、
共著にするクリエイターの所属レーベルからやっと好意的許可が
降りて、始動ということにあいなった。

週刊文春、週刊新潮の倖田來未関連記事。
私にインタビューのなかった週刊文春のものが最も
よく出来ていてツッコミも鋭い。
困ったものである。

昼は焼き鳥弁当。甘辛く味付けした鶏肉がご飯の上に
乗っている。地味だがこれも昔から食べ付けている定番弁当。
早川書房から返答メール。脈あり。
それからメディアファクトリーの企画の件、マドに頼んで、
イラストレーターに打ち合せ用見本画を発注してもらう。
この企画はイラストの比重が凄まじく大きいので、
打ち合せも綿密にやる必要がある。

時間を読み間違えていて、家を出るのが遅れる。
丸ノ内線で赤坂見附、そこからタクシー。
神保町の喫茶“さぼうる”へ。小学館クリエイティブの
いつものお三方。三十分の遅刻となる。
橋下知事じゃないんだから。
平身低頭。

とはいえ、打ち合せは極めてスムース。
新企画書も問題なくOKとなる。
やっと動き出したという感じ。
あとは原稿依頼。
飲み物、アイスコーヒーと頼んだら
「砂糖が入っているのと砂糖抜きのと、どちらにしますか」
と言われる。普段は砂糖抜きなのだが、この店では
昭和の味である砂糖入りを頼むのが定番。
いろいろ雑談して、5時に出る。

岩波ホール前で開田夫妻と待合わせ。
オノ資料を持ってきてもらい、受け取る。
某所でちょっとコミケ打ち合せ。
いろいろと話が出る。
さて、今年はいかなる状況になるか。

終わって、次はまた神保町で別件打ち合せ。
こないだの蕎麦湯氷割の店の満る賀。
二階に通される。
こみいった話いろいろ。
困った話、笑える話。
今後の仕事に関しての整理の必要性を縷々、説かれて
なるほどなあ、と思ったり。
10時ころ、京王線で笹塚まで行き、そこからタクシーで
帰宅。

まだ早いのでホッピー飲みたし。
メールに対応しつつ、ビデオで『會議は踊る』。
以前芦辺拓さんの日記にコメントした、手紙透視装置のシーン。
メッテルニヒがそのシーンで細長いグリッシーニみたいなパンを
噛っていると記憶でコメントを書いたのだが、最初のそのシーンが
記憶と違っていた(食べていたのは普通のパン)のにあれれ、
と思う。オレの記憶ももうダメかな、と思っていたら、
次のシーンでやはり食べていた。

ヒロインのリリアン・ハーヴェイが騒乱罪で鞭打ち刑を宣告される
シーン、むき出しにした尻に25回の鞭打ちを処されることとす、
「××番の鞭で即刻執行すべし」
と判決があって、処刑室に行くと壁に鞭がナンバーをふられて
太いものから細いものまでずらりとかけられている。
妙にシスティマティックなのが笑えるが、これはオーストリアで
有名なマリア・テレジア法で、拷問の仕方を科学的・能率的に
細かく定めたことの名残だろう。

初めてこの映画を観たのは大学生の頃、京橋のフィルムセンター
で、だった。もちろん、まだ火事で焼ける前である。
あの時展示室で見た、公開当時のパンフレットの文句
「だがそのとき一報が舞踏会場に届く。奈翁エルバ島脱出!
この瞬間、若き娘の恋も知宰相の策謀も烏有に帰したのである」
といった感じの古風なストーリィ説明文をつくづくいいなあ、
と思ったものだった。このビデオ、タイトルに“會議”などと旧字を
使っているが、歌詞の字幕の翻訳が新しくなっていて、ちょっと残念。
「しかもあの娘とお二人連れよ」
などという小唄風の昔の訳が気に入っていたのだが。
1時就寝。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa