8日
土曜日
亭主緊縛
夫とは、SM趣味同士で結婚しました。
※フィギュア王原稿 同人誌原稿執筆 エロの冒険者さん&ぴんでんさん歓迎会
朝8時45分、ベッドで目を覚ます。
二日酔い気味である。
もう9時かあと憂鬱な気分になるが、ふと、そうだ、今朝は母が
朝から泊まりがけで旅行なので寝坊できるんだった、と
思いだし、嬉しくなってもう一度眠る。
9時半にそれでも起き出して、スープなどで朝食。
日記つけ、大急ぎで昨日が〆切だったフィギュア王原稿書く。
法務省が7日に死刑囚3人の刑を執行するとともに、
その氏名を初めて公表というニュース。
藤間静波、という妙にカッコいい名前を久方ぶりに思い出した。
法廷で死刑判決のあと、
「自分の世界で一番好きな人は稲川聖城(稲川会総裁)さん」
と言ってにこやかにVサインをした男である。
死刑反対の声は日本ではほとんど大きくならない。
死刑が犯罪抑止に本当に効果があるのかどうか、
疑問の声もあるが、しかし死刑はこと日本では国民の意識の安定に
効果のあるイベントなのである。法が的確に執行されて国の秩序が
守られている、という安心感もあるが、もう一つ、死刑囚に、
国民の罪を代理に背負ってあの世へ持って行ってくれるという、
フレイザーのいわゆる“身代わり信仰”に似たものがあるのでは
ないか、と私は思っている。ひな祭りなどは身代わり信仰が
形を変えて伝わっているものだし、キリスト教における
キリストの磔刑だって、あれは原始的な身代わり信仰に“原罪”
という概念をつけ加えてモダンにしたものに過ぎない。
これは偶然にも数日前、ラジオライフの原稿に書いたことだが、
説経節の代表作『さんせう太夫』では、森鴎外の『安寿と厨子王』
と違って、山椒太夫は国守となった厨子王にとらえられ、
鋸挽の刑に処せられる。その鋸を、なんと太夫の息子に挽かせるのだが、
息子の三郎は父の首を鋸で挽き切るとき、
「ひと引きひいては千僧供養、ふた引きひいては万僧供養」
と歌いながら鋸を挽くのである。
千僧供養とは、千人の僧に斎(食事)をほどこしてもてなすことで、
これを行えば功徳となって極楽へ行けるという信仰である。
自分の親を鋸で挽き殺す凄惨な場面ながら、この状況にどこか
カーニバル的な、陽気な雰囲気すらただようのは、
処刑は単に悪人の命を奪うだけではなく、悪人の命と引き換えに、
善男善女を滅罪させて魂を極楽へ導く儀式でもあったからだろう。
そして、その、自分たちの罪を出来るだけ数多く背負って
あの世(地獄)へ流してくれるためには、その罪人の存在が
出来るだけ大きいこと、要するに凶悪犯であることが必要とされる。
凶悪犯であればあるほど、多くの罪を背負って逝ってくれる
パワーがあるのである。
大衆は、自分たちの極楽往生のため、凶悪犯を必要としているのだ。
藤間静波などは、その資格十分の大物凶悪犯であった。
かなりの数の罪業を背負ってあの世に旅立ってくれたに違いない。
フィギュア王原稿の後、同人誌原稿。
元原稿にいろいろ書き加えていく作業である。
楽しいがくたびれる。ウルトラセブンと007のセブンつながりの
関係、など、書いていながらの発見もいろいろある。
1時半、はれつの人形氏、サムゲタンを持って来宅。
母の部屋で昼食をとる。劇団のことなどいろいろ話しながら。
口癖の話などで盛り上がる。
3時、また自室に戻り、原稿。
6時17分、バスで渋谷へ。今夜は九州からやってきたエロの
冒険者さん、ぴんでんさんの歓迎食事会、K子、ゲンク鈴木くん
と一緒に。
実はぴんでんさんは“子供が産まれたばかりだから行けない”と
エロさんに言ってあったのだが、急遽“理解ある”奥さんの
許しを得て来られることになり、私へのメールで
「エロの兄貴には教えないでおいてください。サプライズします」
とあったので、K子にも“言うな”と言ってあったのだが、
ぴんでんさんが遅れて現れたときも、エロさん表情動かさず。
ちょっと期待外れ。
実は大変オドロイタらしいのだが、驚き過ぎて表情には
出なかったとか。
ぴんでんさん、子供の話を新パパらしくいろいろ。
K子、ブラックなギャグを飛ばしてみんな大恐慌、大笑い。
小肥羊、年末の金曜で混み合い、制限時間二時間と言われる。
席についてからでなく、最初の注文から二時間というのが
ちょっと良心的だが、しかし注文品が来るのが遅い。
これで2時間はひどくないか、とみんなでワイワイ。
それでもエビや肉団子はうまいうまいと結構な人気。
ゲンクくんに、YouTube本のあまりの早い完成に
「ウチの出版部って、そんなに仕事早いんですか!」
と驚いていた。まあ、昔から白夜は“出版界の電子レンジ”と
自他ともに認めているところだ。
もっとも、こんなに早く出来たのはその前から一年くらいかけて
YouTubeにハマり、その映像をいろいろコレクション、
日記で紹介などしていたという蓄積があったから(それを見て、
Eくんから“あれ、まとめられませんか”と依頼が来た)。
一からではとても出来ない。
時間が早いのでもう一軒、と、同じ渋谷なので『馬え田』に
歩いていく。店長の総一朗さん、イケメンの童顔に似合わない
ヒゲをはやして、ぴんでんさんにつつかれていた。
亡くなったしおやさんの話などして、黒霧島みんなで二ボトル
くらいあける。長旅のぴんでんさんとエロさんはだいぶ
くたびれた模様。明日があるので、と早めに(馬え田の営業時間
も、ランチを始めた分、店じまいが早くなった)引き揚げ。
もっとも12時を回っている。ぴんでんさん、エロさんを
それぞれのホテルのところまで送って。
エロさんかなりグロッギーで、料金の支払いもままならない
様子だったが大丈夫か。
家まで、運転手さんとバブル期ばなし。
古手のタクシーの運転手さんはバブル時代のいろんなエピソードを
知っていて面白い。
就寝1時半、明日は6時起きで原稿、それから『創』対談、と学会例会。やれ大義じゃな。