1日
土曜日
バルブ崩壊
そこらじゅう水浸し(……違うわ)。
※『トゥーンズガイド別冊』原稿 『アストロ劇団ワールドエンド』マチソワ
朝、当然のごとく二日酔い&寝不足。
ベッドの上でストレッチして少し汗をかいたら、
効果覿面に体調が回復したのに自分でも驚く。
入浴、ヒゲソリ、8時45分朝食。
ラフランス、バナナ、ブドー。ポテトのスープ。
財布が見当たらず、ちょっとあせる。ゆうべはかなりのヘベで
あったから、無くしたかと思ったが、ズボンのポケットに入っていた
(普段はジャケットのポケットに入れる)。ホッとする。
今日は出るのが遅いので、眠田さんのトゥーン誌に飛び込みで
書くことになった原稿、大急ぎで書く。7枚を2時間という、
かなりのスピードでアゲた。
途中、以前スーパーで買ったハンバーグが冷蔵庫にあるのに
気がついたので、これを温めてハンバーグライス、三島風。
三島由紀夫が好んでいたという食べ方で、ハンバーグをフォークで
粉々に崩して、ご飯に混ぜ込んで食べるのである。
用意して出宅。丸ノ内線で東京駅、東海道線にしようとしたが
本数が少ないのでまた京浜東北線、しかも蒲田止まりだたので
イラつくが、駅の鉄柱に“ヒフ病 おでき薬局”のホーロー看板を
見つけてちょっと懐かしくなる。受験で上京し、浜松町の駅で
これを見つけて思わず嬉しくなった。言わば、私の東京生活を
迎えてくれた看板である。まだ健在だったのは嬉しいなあ。
何とか川崎到着。
直しの最中。私のセリフにもちょっと変更あり。
オノからCメール、ゆうべのせいで起きたのがたった今、だそう。
俺は歳の割に元気だなあ、とちょっと自慢。
今日のゲストは川崎市民コーラスグループのおじさんおばさんたち。
男楽屋を使ってもらっているため、われわれは舞台裏で着替えたり
メイクしたり。それでも、下北駅前劇場や楽園よりはるかに
ひろびろしているんだから大したものである(一番ひろびろなのは
池袋の芸劇)。
照明の調整のとき、舞台で誰か(実際に倒れる乾恭子ちゃんのスタントで)
倒れていてよ、と小川さんが言うので、ちょうどすぐ近くにいたことも
あり、倒れてしばらくじっとしている。みんな笑っていたが、
照明がずっと当たっているとポカポカ温かく、眠くなって少し寝てしまった。
で、すぐにマチネ、出だしの新セリフ、入っていたのだが
ダンドリ違いでモヨる。悔しい。
ラストの出まで、廊下で原稿(アスペクト)ゲラチェック。
ここらでやっと眠気さしてくる。寝不足に加え、換気の問題もある。
やたら着替えがある助やお肉くんに比べ、私は衣装一着なので、
エリザベスカラー以外はそのままでずっと過ごす。
カラーを出に合わせてつけたら、
「あら、似合うわー」
とおばさんに感心された。いや、こんな衣装、歴史上にないし、
似合うと言われても。
マチネ終わって、八木橋くんによる写真撮影。
そこで4時。一階のオープンカフェで昼食、
照明の小川さん、音響の権藤さん、大和さん、オノ・マドなどと。
何と大和さん、美輪明宏の格好のままで出る。
通行人の目の面白いこと。
テーブルに座ったら、隣のテーブルのお母さんが、赤ん坊を
ヨイショして見せてあげていた。
途中で中学生の女の子二人が、とうとう我慢できなくなったと
見えて、
「写真一緒に撮っていいですか」
と頼みに来た。八木橋くんが撮ってやっていた。
ソワレに来てくれる安達OBさんに会う。
で、ソワレ。昼よりうまくいって安心した。
衣装のシャツは初日に東京駅の安売りで買ったものだが、
安いだけあってもう、綻びてきた。
ソワレのゲストは親川幸世。
ヒゲと黒縁メガネで、誰かと最初思った。
ネタは小さいものだが、やはりイキの合い方は見事。
私のエリザベスカラーを
「しかし似合いますね」
と、コーラスのおばさんと同じことを言う。
オノに
「怪我してるんだから唐沢先生の顔にさわっちゃダメだよ!」
と言う。ネコのエリザベスカラーのことである。
「ニャーニャー、目を拭きたいのに、拭けない拭けない……違うわ!」
とやったら、親川には受けたが、オノに苦笑されて
「ノリツッコミする物書きってイヤだからやめてください」
と言われる。
ソワレ、無事終了。O内さんとたれ軍曹さんのご夫婦、でんたるさん、
三才ブックスTくん、それにまちゅくみさんなど来てくれた。
まちゅくみさん、うっかり予約を日曜にしてしまったが、大丈夫だったか?
アスペクトK田くんにはゲラを無事、渡せた。
何と、瀧川鯉之助くんが来ていた。驚いたら、さらに驚くことに
菊田貴公ちゃんの友達だとか。世の中はホントウに狭い!
どこに住んでるの、というと新宿だという。
じゃ、中央線内だ、飲もう飲もうと盛り上がる。
二日続きの午前様なので、今日くらいは素直に帰ろうと
思っていたのに、やはり公演の期間はオマツリである。
オノは、鯉之助くんが、あまりにもモナぽさんに似ているので
驚いていた。声をかけるところだったとまで言う。
中野まで、例により長々電車に乗り、到着時間ですでに10時半。
「ま、1時間半で引き上げれば終電で帰れるから」
と言って、菊ちゃん、鯉之助くん、Tくん、私のメンツに、
後から(一旦編集部に原稿を入れた)K田くん加わり。
うどん真希に入る。軍鶏刺し、軍鶏鍋などが案外美味く、
話題もどんどん盛り上がり、しまいには合唱大会になる。
奥の半個室みたいな部屋だったからよかったが、
迷惑な客だったろう。焼酎三合瓶が瞬時にカラになり、
残ったらキープね、と取った一升瓶まですぐ空けてしまった。
菊ちゃんが〆にとった激辛パウダーかけのカレーうどん、
おばちゃんが“激辛帽子”をかぶって出てきて、
際限もなく(落語の『うどん屋』みたいだ)かける。
「いつまでかけるの?」
「ストップ、というまで」
「先に言えよー!」
てな感じのとぼけたおばちゃんだった。
ちょっと舐めさせてもらったが、舌が痺れるような感じ。
うわー、と思ったが菊ちゃんはよほどの辛いもの好きらしく
「おいし〜い!」
と言ってぺろりと平らげてしまった。
もちろん終電などに間に合う時間なわけもなく
タクシーで帰宅、時計を見たら3時半だったのにはさすがに
呆れる。