裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

15日

火曜日

勤王の敵は京の友

この勤王派ばかりの京都で佐幕の仲間はおぬしだけだ。

※『プロント・プロント』原稿書き換え 学研打ち合せ

朝8時55分起床。ゆうべ寝たのが2時過ぎだったから寝は足りていないはずだがその分、ぐっすりと深い眠りだった。
入浴を後にして朝食。インド産のマンゴー(香りがすごい)とスイカ。それと野菜コンソメ。

日記つけていると、ミクシィニュースに
「福島県会津若松市の会津若松署に、同市内の男子高校生(17)が“母親を殺した”と自首してきた。男子高校生は切断された人間の頭部を持っており、同署は殺人事件として捜査を始めた」
のニュース。確かに自首だなあ、とか、いや、自分の首じゃないか、とか、じゃ“この首は看板でございます”ってやつか、とか、出頭って言い方もなあ、とか、いろいろ脳裏にひどい考えが浮かぶ。人間性がよくないことは確かだが、全てのこういう猟奇事件において、一応メディア業界にいる者が、パニックを起して
「現代社会の闇ではないでしょうか」
的な思考停止文言を吐いているばかりでは、こういう猟奇犯の思うツボである。ずぶとく、非日常的刺激を笑いに転化させて昇華する作業が必要になる。

アメリカやイギリスはそこらへん心得ていて、猟奇殺人事件などが起こったとたんに、それらをネタにしたジョークが一斉に出回る。今回も私の周囲では
「警察も頭を抱えているだろう」
とか、
「やはり“はいごめん、はいごめん”で持ってきたのか」
いろいろとブラック・ジョークが花盛り。

昼近くあたりから空模様急激に怪しくなり、ドロドロ、という雷音響いて、暗雲垂れ込めたかと思うまもなくドーッと豪雨が来た。今日は昼は外食と決めていたのだが、これでは外に出ることも出来ず。パックのご飯があるので、これで何か、と冷蔵庫をあさったら、塩辛の瓶詰めとツボ漬けタクアンというお茶漬けの強力二大素材あり、さっそくレンジでご飯を温め黒ウーロン茶をぶっかけてかき込む。眠りが深かったせいか、いつもこういう天候の時に襲う突発的な眠気はなし。

『ジョンベネ殺し』、継続して読むも、どんどん書評する気が失せてくる。著者がこの事件の関係者であることが途中から明かされることで、一気に、この本の中立性、俯瞰性が薄れてくるのである。しかも、著者がこの裁判絡みのトラブルでひどい目にあった、という泣き言がクドい。平行して読んでいる『殺陣という文化』(小川順子)の方がよほど面白いので、こっちに変更するか? と思う。それにしても『殺陣と……』の“世界思想教学社”って出版社名はイカメシイ。

4時、東武ホテルで『DVDデラックス』Kくんと打ち合せ。雑談で古書ばなし。お互い長谷川卓也先生のファンなので長谷川先生ばなしに興ずる。

事務所戻る。オノが転んで足をひねったというので心配していたが、“いつも転ぶんです”とケロリとして出社。『プロント・プロント』から、送ったネタのうち三本が抜群に面白かったので、残り二本が見劣りするので書き直すように、という指示。何だそれは、と小腹が立つが、実はその二本は送った段階でこっちも面白くないな、と思っていたものだったので、苦笑しながら素直に書き直す。で、書き直したものがやはり面白い。

原稿書き仕事続く。
『ラジオライフ』ゲラチェック原稿送られる。ベギラマのイラストが今回も最高。6時半、オノと連れ立って神泉。学研打ち合せ。すきやきの名店『松木屋』である。

NくんとO部長すでに来て待っていた。前回は単なる顔合わせ(久しぶりの)だったが今回は具体的な執筆の話。二つの企画を平行して進めているのだが、二つとも、前の打ち合せ、その語のメールでのやりとりの段階から大きな変更あり。やはり仕事というのは話の流れからのイキオイという部分が大きい。両方ともに、エッ、というような部分があり、耳目を驚かせるには足るだろう。

他に、睦月さんはじめ知り合いの作家さんたちの噂。すきやき、さすがにおいしいがおばさんがずっと付きっ切りで煮てくれるというのは話がしずらい。汁の一滴も残さず吸わせたきしめんが美味。

仕事の話とエロ話みたいなことで盛り上がり、もう一軒行きましょうと(ロフトに行くつもりだったのだが)円山町近辺が庭だというO部長について歩く。昭和の残り香がふんだんにある地域で、私好み。ユニークなラブホの看板もいくつもあり。手書きのものあり、「ゲーム(セガサターン)完備」なんてところもあり、笑う。

ジャズバーで、いい感じに歳をとったマスターと会話しながら、さらにわけのわからん話。マスターの三回目の結婚話から、Nくんにみんな結婚を進めたり、また学研のある五反田近辺の怪しげな雰囲気のことなどについて。五反田ってところは私にとってもいろいろあった場所であった。あの日のあれのことなど、いろいろいろいろと思い出す。12時、お開きということにして、次の具体的な打ち合せを約して帰宅。タクシー内での会話をつつしむ。以前、スケベ話でバカみたいにゲラゲラ笑って、降りたとたん、車内に残った人に
「今の、唐沢俊一さんですよね?」
とか運転手さんが話しかけたという例があったのである。

これで一週間、連続しての飲み。さらに三日間連続の午前様。明日は久しぶりに家だが、食事会なので飲むことは飲む。

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