裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

25日

水曜日

ゼイチクは敵だ!

占いなどの横行は国を滅ぼす!

※『フィギュア王』原稿、書評原稿、朝日新聞書評委員会

朝、目が覚めたらもう9時。目も覚めずぐっすり寝ていた。最近の寝過ぎはまったくどうなっているのか。入浴して9時45分、朝食。イチゴ、リンゴ、スープ。

GW進行凄まじ。朝、フィギュア王原稿。これ用に読んでいた資料本を昨日読み終えるというギリギリ。とはいえ、1時までにチャッチャと終らせられた。K子にもメール。

“腑抜け、カンヌ決定!”というメールが来た。スパムかと思ったが、差出人が知っている名前。映画会社の人で、彼女の会社の配給作の『腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』がカンヌ映画祭批評家週間に正式出品、というニュースだった。少し略しすぎ。

それから昼飯(チャーハン)食べ、日記つけ、メールいろいろ。カナダ在住の主婦のKさんから、表日記のジャン・ピエール・カッセルの件でメール。彼女は息子のバンサンはファンだが、親父のことは全く知らなかった、ただ『料理長殿、御用心』は観たことがあり、ロバート・モーレイがよかった、とのこと。ロバート・モーレイが好きというのはワカッテル人である。

小林淳『佐藤勝 銀幕の交響楽(シンフォニー)』(ワイズ出版)を拾い読む。すでに完読は済ませており、書評用のポイント再読。小林淳の文章は決して能弁ではなく、むしろぎこちなく同じことをくりかえしたりしていて素人っぽいのだが、しかし行間から佐藤勝の音楽が好きで好きで、という感じが伝わってきて読んでいて心地いい。最初は今回の書評はデズモンド・モリス『ウーマン・ウォッチング』にしようと思っていたのだが、これはモリスの本としては別に新しい視点もない本なので、急遽こちらの方に変更。

事務所に出る。オノとバーバラとしばらく雑談。業界風雲児の某氏の話で盛り上がり。今日は6時から朝日書評委員会打ち合せあり、あわてて原稿書き。『銀幕の交響楽』(このタイトルもうまくはない、大仰なものだが、そこがいいように思う)書評書いて、K氏にメール、それから出かける。小雨パラパラ。車中、送った原稿のプリントアウトを読むが、私自身もあまりに佐藤勝をアツく語り過ぎて、書評の体をなしておらず。ご愛嬌。何ヶ所か手を入れて書評ぽくする。

築地の朝日新聞社、4階で。すでに私が加わって三回目、そろそろ自己抑制であまり本を選ばなくなってきているのに苦笑。最初は、あれもこれも、と山ほど書評候補をあげるのだが、案外、仕事で本を読むのは大変で、手元に未処理の本が溜まってしまい、そういうときのために毎回“放出本”というのを出すのだが、自分でとった本をほとんど読まずにごそっと放出するのも良心がとがめ(放出したからといって返却する必要がないのが大朝日の太っ腹なところだ)、次第に選出する本を少なく、少なくとしていく。

今回は8冊を希望して、落札は4冊。本当は5冊のはずだったのが、二番手候補にあげていた本を、丸つけていたのが私一人だったのでてっきり落札と思っていたら、欠席した委員さんがこれを第一候補に挙げていたのでそっちに渡ってしまった。これは惜しかった。

弁当は料亭風のもので、ご飯がちょっとでおかず山ほど、それに別皿で刺身もつく。酒がないとちょっとつらいし、仕事最中には飲まない主義なので、大部分残す。もったいない。ただ、このお弁当を毎回手配してくれていたアルバイトのKさん、今度某PR会社に正社員として入社するとかで、今回でお別れ。メールのやりとりも大変に気がきく、頭のいいお嬢さんだったので残念。お別れのご挨拶があったが声が萌えキャラのアニメしゃべりなのに驚く。それでいて、ちゃんと笑いをスピーチでとる。感心した。

ファンである鴻巣友季子さんに、『明治大正翻訳ワンダーランド』にサインお願いする。担当のKさんと、さっき送った原稿、次の原稿につき打ち合せ。タクシー待ちの間に、委員のKさんにもちょっと、次の原稿のことで話しかけられる。例によりKさんとタクシー乗り合わせ、車中でその原稿の構成案を語っておおむねのところ了解を得る。

チャイナハウス本店が今日から営業(高島屋出店のために休んでいた)なので、そこへ行きましょうと幡ヶ谷へ。9時近かったが、久々の開店と、あいさんの歌があるので満席状態。外に籐製のテーブルを置いてもらい、そこで紹興酒飲みながら、コンサートを聞く。

そうこうしているうちに、南條竹則氏がお連れの人を連れてやってくる。南條氏は中のカウンターに入り、お連れの方はテーブル席に一緒につく。外語大のS先生。モンティ・パイソンのファンで、授業でもモンティ・パイソンの映像などを使っているらしい。盛り上がりいろいろ。しかし、もうみんないい加減酔っぱらっているのと中年なのと(S先生は私たちより一つ上)で、固有名詞が出てこないこと。しょっちゅう“えーと、あれ”と話が中断。
「歌一首あるで話にけつまずき」
という川柳を思い出す。

そのうち、やはりさっき来て、一杯なので外で時間をつぶしていたという作家の佐藤大輔氏とその奥様がきて、話に加わる。真珠湾攻撃の著作もある佐藤氏なので、自然と話が『トラ・トラ・トラ!』のことになり、いろいろ話をうかがえて為になった。奥様はコスプレイヤー界の有名人。周囲にはそういう人が多いな。

料理は炙り鶏がいつにも増して皮が香ばしかった他、エビ団子、すっぽん、肉団子、黄ニラと豆苗の炒め物など。最後はリーメン。紹興酒と蟻酒、かなり飲んだ気がするがそれも茫漠とした記憶の彼方。ただ、マスターが花のお礼で代金をタダにしてくれたのは恐縮。あの花は私だけでなく有志でお金出しあったもの。今度、その分みんなにおごらねば。

佐藤氏の、引っ越し先の家というのを見せていただくが、昭和の名残を残した玄関が非常に素敵である。そこからタクシー、K氏と相乗り。ひさびさに、話疲れるほど話して楽しかった。雨、ほぼあがる。佐藤ご夫妻からさっそくマイミク申請あり、早いな、と驚いたがお宅前まで送っていったのだから、早いのも当然と言えば当然。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa