裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

24日

土曜日

地方人バロム1

♪マッハロッドで(中略)ぶっ飛ばすだギュンギュギュン

※ロフトプラスワン『トンデモホラー』上映会

朝7時半起床。入浴して9時朝食。コーンスープ、ブドー、リンゴ。
日記つけ、いろいろメール等。黒川紀章が都知事選に立候補、これもモーロックの類いかという感じだが、公約にかかげているオリンピック反対は大いに結構という感じ。最近の石原都知事も、歌舞伎座の建て替え問題とか、新宿二丁目再開発問題とかで私の神経をイラだたせている人物なので、ちょっと面白く思わないでもない。

昼はちょっと早めにシャケ弁使い、サントクで差し入れのヒロタのシュークリームを買って、ロフトプラスワンに。河崎実『トンデモホラー』上映会。会場に行ったら、派手な化粧の女たちが、
「ここは壇の前にテーブル席があるから、そこを一番にねらうのよ」
とか、作戦計画を練っていた。ナニカと思ったら、『あっお皿に首が……』に出演している斎藤工(テニミュの忍足侑士。テニミュとは『ミュージカル・テニスの王子様』の略だそうな)のファンらしい。ロフトの斉藤さんに挨拶。オノ夫妻とバーバラが来て同人誌を売っている。

楽屋に高嶋ひとみちゃん(メガネの奥様役)と浦えりかちゃん(武祭り久那子役)がいた。浦ちゃん、目の前に『パズルゲームはいすくーる』を積み上げて読んでいる。ロフトだか漫画喫茶だかわからない。今日のプロデュースの酒井一圭(主演男優でもある)に挨拶、それからもう、出演俳優、スタッフ、プロダクションの人などが入れ替わり立ち替わり。会場は開場から十数分でほぼ満席、最終的には入り口のところまでギッシリになっていた。

プロデューサーの酒井一圭が、斎藤工目当てに集まった女の子たちに“まだ工くんは来てませんが、そのうち来る……はずです。2ちゃんに「明日、斎藤工がプラスワンに来る」情報をこっそり流したのは僕ですから”と言って悲鳴を上げさせていた。

最初に私と河崎カントクのトーク、昨日ラジオでしゃべったばっかりだが、またまた暴走。何しろ相手が河崎実である。どんなに爆走しても平気なのは快感。こないだの半田健人あげたときと同じように、中心に斎藤工ファンがいて、周囲、ことに桟敷席に濃いファンがいるという構図。HAL.Tさん夫妻も最前列にはいてくれて、まあまんべんなく笑いもとり、まず満足して楽屋に帰ったら、もうひとりの斎藤、斎藤誠(『あっ! 生命線が切れている』の剣道少年役)と、脇崎智史(『あっ! お皿に首が乗っている』の野村刑事)の所属する事務所『ヴァンセット・プロモーション』の社長さんがいて、
「トークお上手ですねえ! 今度、ウチの若い連中がトークするときは司会お願いします!」
と名刺を渡された。最初の上映後のトーク(浦えりか、斎藤誠)見ると確かに。文サバ塾の次はトーク塾でも開講するか? とはいえ浦ちゃんは面白く、作品で見るより本人が可愛かったし、斎藤誠くんも今日はちゃんと若々しかった。ドラマの中では監督の趣味で七三分けの森田健作カットだったんで少しオヤジ臭かったが。ビデオ上映はバカ受けで、監督、最初は楽屋で見ていたがやがて、客の反応が見たい、と客席の方へ下りていってしまった。

次が私の撮影見学した第二話で、上映後に天海麗ちゃん、高嶋ひとみちゃんと上がって、監督とトーク。最初に上がった浦ちゃんが、楽屋に帰ってきたとき、
「最前列の三人、見ました〜?」
と気味悪がっていた。太め、やたら化粧の濃い、キャバクラ風衣装の
女三人組で、こっちの話に満場爆笑のときでもピクとも笑わず、タバコをふかしていた(後ろの席の女の子がまたやたら笑ってくれるので、余計目立った)。たぶん斎藤工くんの追っかけなんだろうと判断。

麗ちゃんは楽屋でも、ビデオを見ながら
「あ、殺された!」
「へ〜、そうだったんだ!」
などとずっと声を発していて、監督から
「お前、お茶の間で火サス見ている主婦じゃねえんだから」
とツッコまれていた。高嶋ひとみちゃんは何と言ってもあの笑い声。
撮影時、“おほほほほ”と笑ったら、公園にいた鳩がザザーッと飛び去って逃げたそうな。動物を動かす名演技。

あの宇宙人のスーツには自分で入って演技してんだよね、と言うと、やはり自分でやりたいですから、と。
「凄いねえ、マグマ大使のゴアの大平透みたいだねえ」
というとすかさず監督、
「あと、ザラブ星人の青野武ね」
と、女優さんたち置いてきぼり。置いてきぼりと言えばこの作品のナレーション、荒川太朗さんという声優さんなのだが、脚本に“野太い声のナレ”と指定してある渋い声で、これは『タイムトラベラー』の城達也のイメージなのだそうだ。

そして最後が『あっ! お皿に首が乗っている』。なんと本当に斎藤工くん来た。楽屋で並んで座る。私はこのテの“現代風タイプの美形”を間近で見るのは初めての経験なので、へえ、という感じで眺める。右から見て、大したことないじゃないかと思っていたが、壇上のトークで左隣に座ったら、ちょっといい感じだった。脇崎くんがまったくしゃべらない物静かタイプ(一緒に上がったエースデュースのK社長とどっちがしゃべらないか、というくらい)なのに比べ、斎藤くんはかなりトークも達者。ヒロインのみなみを演じた小松愛ちゃんも物静かだが、しゃべると萌え、という感じ。あ、噂の三人女、さっそく終ったとたんに工くんに贈り物を手渡していた。

終って撤収、ギャラいただく。エースデュースK社長と例の件。書き換えたものを来週にも持っていきますから、と言っておく。jyamaさん、rikiさん、IPPANさんなど私の方の人、ジーコ内山、阿部能丸などともちょっと話す。工ファンらしい女性ファンが同人誌買ってくれてサインをねだり、“トーク面白かったです!”と言ってくれたのが嬉しかった。打ち上げ行こうと店の上に上がったら天海ちゃんのファンが待っていた。私のトークにもよく来てくれている人らしく、タイムトラベラーの話から
「少年ドラマシリーズで、谷隼人の首がころがるのってなかったですかねえ?」
というので、それは大人向け土曜ドラマのSFシリーズで、小松左京の『終わりなき負債』だよ、と教えてあげる。

『青葉』で打ち上げ。高嶋ひとみちゃん、天海ちゃんも来てくれる。あと、『お皿に……』で被害女性役だった渋谷優ちゃん、タイトル担当の人、監督の知り合いの女優さん、ジーコ内山、それと麗ちゃんのマネージャー。こないだの撮影現場訪問日記で
「“なぜ『アニメ夜話』ではボトムズをとりあげないのですか!”と、初対面の私にイキドオる、熱いオタクでもある」
と書いたら、それ以来初対面の女優さんなどに
「あ、唐沢さんにからんだ人ですね!」
などと言われるそうだ。今日もセル画のロボットアニメを絶対復活させる! などと熱いあつい。青葉の料理はみんなに気に入られたよう。麗ちゃん、雑誌のクロスワードパズルを解いて応募するのが趣味だそうで、また監督に
「主婦だろ、おまえ!」
と言われていた。

後でオノマド夫妻、バーバラ親子も加えていろいろ話すが、途中から体調がかなり悪くなる。風邪っ気がこの寒さで(実際かなり外は冷える)ぶり返したか、と思う。7時半ころ解散、家に帰るが震えが来て、部屋だけでは足りず家中の暖房をつけて、風邪薬大量にのんで布団にもぐりこむ。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa