裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

6日

火曜日

赤影ですか、レレレのレ〜

バカ田大学忍者学科卒、なのだ。

※大和書房打ち合わせ

朝、8時半起床。入浴してすぐ、朝食。ハッサク、イチゴ、今日からコーンスープ。弁当用のキャベツカニチャーハンも受け取る。母は今日はマイミクのインジウムさんからチケットをもらった上野の博物館に行ってくるとか。

朝食後の服薬、このところ大変なことに。毎度の漢方薬(小青竜湯、黄蓮解毒湯、それと補中益気湯)にリナグリーン、サクロフィル(これを飲んでおくと酒や焼肉のあしたでも大丈夫)、それと母がすすめる細胞活性薬みたいなの。これは頭にも塗り付けてマッサージする。さらに、最近は血圧を下げるための降圧剤ものんでいる。

日記つけ、原稿書こうとするがどうも活力わかず。YOU TUBEで旧日本語版『トムとジェリー』(マイミクの二代目花廼屋因果さんの日記で知った)などを見続けたり。
「こんちトムさん……」
という谷幹一のナレーションは懐かしいが、やはり
「おのれジェリーめぇ……」
という八代駿の声は、当時からちょっと邪魔だったな。
http://www.youtube.com/watch?v=9ve5JSc1q2o
↑あまり本数がないのが残念だが、ドルーピーの玉川良一は文句無しに最高。小林清志のオオカミが聞きたいね。

http://www.asahi.com/obituaries/update/0206/002.html
ナベゾこと渡辺和博氏、死去。56歳という若さに愕然。病気だとは知っていたが。

あれは80年代半ば、『ガロ』に浣腸のお手伝いさん(ホントウに顔が巨大なイチジク浣腸なのである)を主人公にした作品が掲載されたとき、それをたまたま読んだ私の父親が、全く、完全に、カケラも、100パーセント、理解できなかったようで、“なんだ、このマンガは。ふざけている”と怒り狂っていた。その怒り狂い方の度合いが大変に面白く、私と弟はことあるごとにそれをネタにして笑いあった。その怒りは、渡辺さんの作品にとっては勲章であったと思う。つまり、新しかったのだ。すさまじく。ヘタウマの元祖とか言われているが、むしろ絵はヘタヘタであり、そのヘタクソさが実になんとも痛快でカッコよかった。ガロにおいて絵の下手なマンガ家でそれが逆に唯一独自の個性になっている作家は珍しくなかった(たとえば川崎ゆきお)が、渡辺さんの場合は下手、ではなくヘタ、しかもヘタヘタであり、そこがセンスだった。

あのころのガロの、ふたひねり半したあたりの“おしゃれさ”は、その時代を共有した者でないと理解できないかもしれない。そのようなセンスに、たまらなくあこがれて、(で、大体私はそういう思考形態をとるのだが)、このままでは彼らの影響下に完全に入ってしまう、と思い、全く違う方向のモノカキになることを決意した。それは、その輝くセンスに対する劣等感がまず、あってのことだったろう。

そういう感覚が最初にあったものだから、それから、パーティなどでお会いする機会はあったものの、遠くから“あ、ナベゾだ”と眺めるだけで、話を交わしたことは一度もない。ないけれど、それはそれで、ずっと、異世界のあこがれの人、という感じで仰ぎ見られていたわけで、むしろよかったように、今は思う。こういうあこがれ方もあるのだ。ご冥福をお祈りする。

あっという間に時間たち、パソコンの前でむしゃむしゃと昼飯を食い、渋谷へ。大和書房Tさんと打ち合わせ。新しい本の企画。面白くなりそうな内容であり、かつ最近の私の仕事としても良質なものになりそうな予感。ただし問題はスケジュールなので、そこらへんで奥の手を用いることにする。

事務所に帰り、バーバラとちょこっと話。鶴岡から久しぶりに電話、オタク大賞のことなど。これまで出演オファーがなかったのが急に来たそうで、キャプテン岡野くんが“鶴岡のMC能力がないとオタク大賞は成立しない”と条件を出したためだそうな。果然、上機嫌な電話であった。

それから9時までパソコンの前で原稿書きに専念、のはずがピクとも進まず、自分に呆れる。ネット通販サイトを回って、無茶苦茶に欲しいもの(前から欲しかったもの)が売っているのを見つけるが、値段に愕然。しばらく、計算機片手に、どこでいくら倹約すればどれくらいでこの出費が埋められるか、算段したりするうち9時過ぎてしまう。

帰宅、家で洋モノのクリスティー作品などチラ見しつつ、夕食。豚バラとマイタケの黒胡椒炒め、あんかけ豆腐、海鮮丼などで酒。スナック代わりに新潟の岩塚製菓というところの『海老黒胡椒』というやつ、最初にサントクで見つけて、食べて気に入ったのでまた買おうと思ったら、もう店頭から姿を消していたので残念がっていたがこれはテスト販売だったらしい。すぐの売り切れはかなりの好成績だったのだろう。それを見越して仕入れたのか、どさっと積み上げられていた。ホッピー一本、日本酒(久保田)燗で三合。就寝1時半。しかしどうしてこう仕事出来ないのか。くやみつつベッドへ。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa