裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

11日

日曜日

アッコ雑言

和田アキ子さんは本当に、言いたい放題。

※三越カルチャーセンター講義、月島『ほていさん』

早起きしようと思った朝に限って寝坊、9時起き。入浴して9時半朝食。ミカンとリンゴ、ブロッコリスープ。世間は昨日から連休に入っているらしい。

7日にフランキー・レイン死去、93歳。昭和30年代、物心ついたときにすでに聞いていた歌声の主がまだ生きていた、という事実に仰天した。『ローハイド』の主題歌を歌った人である。
「♪ローレンローレンローレン、スーゼーイッパツドービン、キッゼードーギームービン、ローハイド……」
と、中学生のころ、レコードを聞いて空耳アワーのように歌った。英語の歌詞はついていたが、とても日本人には歌詞をそのまま追っていては歌えない歌だったのである(Wishin' my gal was by my side……のところだけは何故かするりと歌えた)。どうしてこの文句がこのような発音になるのか、英語は所詮日本人には発音の不可能な
言語なのだな、と思い知った歌でもあった……と、書いて、歌詞を調べて見たら、大して歌いづらくも難しくもない歌詞だった。日本人(私含めて)の英語能力があれから数十年、ちょっとは上達したのか?
http://blog.kiyochan.com/?eid=470534
↑歌詞と歌声と変な映像

12時に事務所。本日の三越講義の準備。最中に、一昨日お会いしたK先生から電話。
「昨日の収録の、一応ご報告を、と思いまして」
と、義理堅いこと。

結論から言うと、相手の先生はてっきり自分の本をみんなが持ち上げてくれる番組だと思ってやってきたらしく、K先生がポストイットだらけにした本を持っているのを見て驚愕し、医者サイドの人たちの楽屋にわざわざやってきて“お手柔らかにお願いします。あまりいじめないでください”と頭を下げ、コメンテーターたちのツッコミ(やはり彦摩呂が“こんなに噛んだらおいしくないやん”と言ったらしい)にも
「いや、みなさんがいいと思うような感じで自由にやってくれれば
いいんです」
などと、まったく抵抗しようとせず、拍子抜けもいいところだったようである。

で、医者サイドは申し合わせをして、一切コメントせず、無視して談笑しているところだけをインサートして使うことになったとか。その絵が面白かったのでアシスタントディレクターがやたら拾っていたようだが、プロデューサーは青くなっていたとか。以前だったら無理にでもデータを捏造するなどしてカッコがつけられただろうが、なにしろあるある騒動のさなかですから、それも出来ない。苦しいところであろう、とちょっと同情。

K先生が後で聞いたところによると、どうもこの先生本人は気の小さい好々爺的人物なのだが、奥さんが大変な剛腕マネージャーで、自分の亭主をスター医者として売り出して稼ごうとしているそうで、気の毒ではありそう。と、いうようなわけでいささか拍子抜けではあるが、まあ、うやむやで終らなかっただけマシか。

参考資料持って日本橋三越。道がさすがにガラ空き。到着すると、エレベーターの前にオノがいた。すでに開場前に、どう見ても日本橋三越っぽくない客層の列。チラシを配置していたしら〜さんとあやさん、ビデオを回していたIPPANさんに挨拶、あと担当のKさんに。

オノと、一昨日のIPPANさんの着ていたTシャツの、あまりのシワクチャぶりのことを話す。だれか嫁の来手を探してあげないといけないのではないか、と。今日は上にシャツを着ているんでまだしも。

テープの頭出しに時間がかかり、10分押しで始まる。客はほぼ満員、補助席出した。例により最初のKさんの前説、面白すぎ。
「えー。今日は唐沢先生ですのでカルトな話になると思いますが、わが三越もカルトな会社でございまして、以前ありました新東宝という映画会社の女優さんの池内淳子、前田通子という二人が揃ってデパートガールとして務めていた会社で、美人女店員ということで有名になりまして、池内さんはその後新東宝で『花嫁吸血魔』という映画に出演されまして、前田さんはその後会社をセクハラでやめて、石井輝男さんの『地獄』に出演されまして」
まさかカルチャーセンターで『花嫁吸血魔』だの『石井輝男の地獄』だのという単語を聞くとは。

私の講義、最初は『三丁目の円盤』というタイトルに触れ、
「……これは“円盤”と書いて“UFO”と読んでもらいたい。すると、“三丁目のゆーふぉー”とダジャレになるわけです」
とやって笑いをとり、ツカむ。で、次に某大手の作成した宇宙人モノアニメ。ちゃんと1960年代に向うじゃ政府のUFO情報隠匿論が子供向けのギャグアニメで開陳されている、ということを説明。UFOは大衆文化の一環(つまり、私のなわばりうち)なのだ、ということを主張する。『第三の選択』などもそうだったが、大衆向けのホークス(ホラ話)の伝統があるかないか、で、こういう事象の受け取り方というのは180度違ってくる。日本の場合、UFO学を創始した荒井欣一氏や高梨純一氏の真面目さが、そっち側の、つまりUFOばなしの“アヤシゲな楽しさ”を排除しよう、という方面に持っていってしまったのではないか、てな論の流れ。

とはいえ、受け取る側の資質によっては、荒井欣一氏の真面目な研究にハマって、アダムスキーにも絶大な影響を受けた後に『吸血鬼ゴケミドロ』を作ってしまった佐藤肇のような例もある。ちゃんとゴケミドロの画像も見せる。

トークも楽しく、笑いもかなりドカンドカンと来て、こちらは満足。マニアックな視線から行けば“ウスい”ということにもなろうが、現状でUFOばなしを濃くして、一部のマニアックな連中の楽しみに囲ってしまっては、現在ぎりぎりの線上にある
「商売としてのUFO」
が成り立たなくなってしまう、と思うのである。

終ってサイン会。並べた著作群を揃いで買ってくれる人もいるが、いちいち店員の女性たちが計算機を使っているので行列が団子になる。コミケの手際に馴れた身としてはイラつく。トークの中に出てきた『びっくり人間大集合』で、“円盤を呼ぶ男”として出演した、というおじいさんがサイン求めてきた。凄い。
「一応番組では“現れた、現れた”ってことになって、荒井欣一さんも本物と言っていたんだけど、私の見るところ、どう見ても米軍のヘリコプターなんだよね。で、後で荒井さんに電話してありゃヘリコプターじゃないかと思う、と言ったら、“夜間のヘリコプターの飛行は禁止されてますよ!”って一言でガチャン、と電話切られて」
とのこと。UFO界の良心と言われた荒井氏にしてこれあり、か。それにしても、呼んだ方が“ありゃヘリコプターじゃ……”と疑問に思った、というのが無性に可笑しい。

jyamaさんに、こないだ立て替えた寿司代を渡されたが、のし袋入りだったので、ご祝儀貰ったみたい。きーたさんなどには挨拶出来たものの、志水さんや新田五郎さん本郷さんはじめとする他のと学会メンバーには挨拶もロクに出来ず。オノによるとFKJさんが、最初に流したアニメを
「へえ、日本語版が出ていたんだ」
とチェックしていた、とのことだが、この海外アニメのウォーキング・データバンクみたいな人でも知らないほどマイナーなビデオだったのか?

そろそろと月島『ほていさん』へ移動。合流組も含めると、IPPANさん、あやさん、オノ&マド夫妻、みなみさん、聖羅太郎さん夫妻、仙台からこのために来たあのつくん、ナンビョー鈴木くん、najaさん、それにしら〜と私、後からサンクリ帰りのバーバラ合流。オノに鈴木くんのナンビョー名“慢性炎症性脱髄性多発根神経炎”を教えてやったら驚いていた。

ほていさんのドブ鍋、例によりインパクトは十二分だが、去年までに比べると、かなり味付けが甘くなった感じ。いろいろと話、差し障りのある話などもいっぱいで楽しい。バーバラとIPPANさんは昔あった“乳もみ”看板の話で盛り上がっていた。もちろん巨乳風俗ではなく、産後の乳の出の悪い女性にマッサージを施して乳を出すことである。

雑炊までお代わりして食べて、もうはいらんとまでなったのだが、やはり月島まで来たからにはもんじゃを食わないといかんだろう、ということになり(何もいかんことはなかろうが)もんじゃ屋へ。ところが、さすが本場、どのもんじゃ屋の前も長蛇の列。やっと一件、席が12人分(IPPANさんだけ帰る)空いているところを見つけて入り、ハイボールなどじゃかじゃか飲んで雑談、歓談。

もんじゃはあやさん派(野菜をコテで細かく刻んで混ぜ込む。群馬式の焼き方)と私派(野菜で土手を作り、その中に汁を流し込んで池を作り、この池を少しづつ決壊させて、焦げ付きかけたところを食べる。月島式)に別れる。どちらも“こっちの方がおいしい”と言って譲らず。第一、向うの焼き方では“せんべい”が出来ん!

あと、デザートにあんこ巻きを食べようということになるが、ここでも、オノやあやさんの、ギョウザ風に小さく小麦粉を焼いてあんこをくるんで食べるのと私の、大きく焼いてあんこをのせてロールに巻き、コテで切って食べる方式に分かれる。あんこを“巻く”のだから、コッチでなくては正式でないのだ!(こういうものってどうしてこう正統派にこだわりたくなるのか)

ここらでかなりアルコールも回り、腹も満足したのだがもう、後は騎虎のイキオイ。あやさん、しら〜、バーバラ、オノ&マドの6人で新高円寺に繰り出し、居酒屋に入って三軒目。ここで沈没するかと思ったら、こないだの中野監督のトークの話から替え歌合戦になり、見事に“生き返る(周囲の表現)”。つくづくこういう、身にも皮にもならん話が好きなんだなあ、私は。

飲み出すのが早かったのでそれでも12時くらいだったが、タクシーでしら〜さんと相乗りで帰宅。寝床に本を持ち込んで読む。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa