裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

22日

火曜日

人類月に一度や二度はまだ立つ

 いや、人間いくつになってもこればかりはねえ。朝7時10分起床。入浴、お定まりでミクシィ。8時朝食。バナナ、ミカン。母、こないだの食事会でハネた揚げ物油を顔に浴びて、火傷を負った。心配していたがさすが薬局に長く勤めていただけあっ て、なんとか膏という塗り薬を塗ってことなきを得たとか。

 ダルビッシュの喫煙発覚と謹慎騒ぎのニュース。前にも写真週刊誌にスッパ抜かれて騒ぎになって、これで二回目か三回目。よほどのバカか、と思うところだが、これ で思い出したのがこの記事。
http://www.daily.co.jp/baseball/2005/01/16/157913.shtml

 まあ、スポーツ選手でこういうことを言う人というのは珍しくない。実はスポーツ選手の体調整備というのは、肉体をかなり無理なところまで追い込む行為なわけで、ギリギリのところで調整していると、神経がかなり過敏になって、霊が見えたり、神様が話しかけてきたりする瞬間があるものだ。まして、自分の人生がその体調如何に かかっているとなるとなおさらである。

 長島のように超マイペースであったり、落合のように超独善主義であったり、広岡のように超不人情であったり、中畑のように超無思考であったり、清原のように超番長的であったり、桑田のように超不動産屋であったり、一応名と記録を残した野球選手たちの多くが精神面でかなりユニークなのは、そういうギリギリに自分を追い込むことを続けていることに対する本能的防御であるとも言えるし、そんなヤツらしか残 らなかったのだ、とも言える。

 ダルビッシュはその顔つきから見ても、神経のそう太い方ではない。むしろ女性的な部分が多くあるように思える。タバコやパチンコといった、目の前の不安から逃れる手段が何か必要だったのだろう。野球選手には不向きなのではないか、と他人事な がら思うのだが……。

 10時家を出て地下鉄で通勤。ミリオン出版『実話ナックルズ』原稿。ミクシィのメモを元に書き足して昼チョイ過ぎ完成。お昼はオニギリ(シャケ)、黒豆納豆、し じみ汁。1時、時間割。アマゾンM氏と話し合い。
「うちではカラサワ先生はこの番組になくてはならない出演者と思っておりまして」
 と言う。これはウソはない言だと思う。でも、そのなくてはならない出演者をないがしろにしてしまうのが世の中というもの。とりあえず、状態を白紙に戻すところまで譲歩。と、いうか、そこまでしか今は出来ない。局と談判してくるというので、その結果待ちでまた話し合いましょうと言っておく。

 帰宅して、この件を一応メモにまとめていたら、関係各所から待ちかまえていたかのように電話。とりあえず状況はこう、と説明。降ろすの降ろされるのということで怒っているのではない。はっきり言えばBSの番組というのはさほど出演したところでオイシクないし、あの番組での私の役割はヒールもしくはフールであって、ネットでは“なんだあいつは”と叩かれる役回りだ。しかし、こういう役を引き受ける人間がいないと番組が平板になり、かつ、あまりに話がマニアック、また八方に飛びすぎる。いささか乱暴でも、こういう討論番組を“形にする”には、あるひとつのポイントに話を誘導する役が必要で、これは現場では感謝されても、そこを期待していなかった視聴者には“あいつのせいで”といううらみをかうポジション。こういうやりがいはあるがソンな役を引き受けて出演するからには、うんと自分のテンションを高めて望む必要がある。それをいきなり下げられては、やる気がなくなってしまうのだ。今回製作会社に怒ったのは、プロ集団としての、そこの出演者扱いがなっていない、ということに対してなのである(ここは本来、トーク番組が得意な製作会社のはずなのだが)。

 とにかく、各者三すくみ四すくみ状態。腹は依然立ちっぱなしだが、この状況は俯瞰するに非常に面白い。その中で『モノマガジン』ゲラチェック、『FRIDAY』ゲラチェック。やらねばならぬことは山積、しかしテンションが全く上がらないという困った状況。『世界一受けたい授業』から電話、また出演依頼。3月はテレビ収録ラッシュになりそう。困ったものである。

 7時半、タントンマッサージ。背中が鉄板のよう。ストレスからだな、これは。終わって改装なった公園通りのコンビニ行くが、店をただ広くしましたというだけで、 何やら田舎くさい棚揃えになってしまっていた。

 9時15分帰宅。家でメシ。ハンバーグ、茄子焼き、長芋ポン酢和え。それとワイン会用の頬肉シチューを少し。自室でDVDでいろいろ映画をザッピングしながらさらに水割り缶。某件、あせりの気持ちあるをウンと押さえる。毒蛇は急がない。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa