裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

22日

日曜日

しまった、九段下!

 まさか靖国神社とは思いもよらなかった(って、どんな状況だ?)。朝、7時15分起床。ウトウト状態の中で、いきなり日記タイトルにつかえるシャレが三つも頭に浮かぶ。思いつかないときは半日苦しんでも浮かばないことがある。飄々とただよう目に見えないダジャレの精霊が、ふっと耳に吹き込んでくれるのかも知れぬ、と、連 続して思いついたりしたときは本気で考えたりするのである。

 朝食、ソバ粉焼き。今日はワンフェス/トイフェスの日なので、早めに家を出なくてはいけないのだが、風呂に入ったりするタイミングを逸してしまい、そのまま出かけることにする。寝汗でシャツが背中にベトベトとくっついて、ちょっと気持ち悪いが我慢。りんかい線のホームを見ると、仰天するような行列。コミケならともかく、 ワンフェスでこんなに来るとは、と驚いた。

 今日は西館のワンフェスの他にコミティアも東館で開催されており、人数がいつもの倍になっているらしい。とはいえ、ワンフェス自体も、昨日の11時から徹夜禁止を無視して並んだ豪の者がいる熱中度であるらしい。うーむ。トイフェスなどは、この二つに蹴散らかされて、どこでやっているのかもよくわからない。ワンフェス受付のところに、同じく“どっち行けばいいの?”とウロウロしている実相寺昭雄監督を見かけたので、合流して、西館上の階の会場へ。事務局へ通してもらい、ヌカダさん に挨拶して、会場を回りにかかる。

 以前はトイフェスには骨董店みたいな店もかなり出ていたのだが、骨董専門のイベントも最近は活発なので、そっちに移ったか、かなりオモチャだけに特化されてきた感じ。最初ぐるりと回った時点では(私はキャラクターもの人形とかにあまり興味がないこともあり)大して今回は金を使わなくても済みそうだな、という感じであったが、そこはそれ、やはりあなどれない。休み々々、数回ぐるりと回った後は、アメリカ製のジェーン・マンスフィールド型の水筒とか、『サインはV』の紙芝居(実に絵がヘタクソでいい)とか、メキシコ製の特撮ビデオだとか、もう、B級商品群をカバンにギュウギュウになるほどに買ってしまい、財布がかなり軽くなっていた。

 いつもこういう会場では知人友人にばったりでくわすが、今回は特にいろんな人に出会った。加藤礼次朗夫妻、河崎実監督、安西レオ各氏など常連は言うまでもないが四街道の片平さん(息子さんの方)に逢ったのには驚いた。父上が病気で入院したそうで、コレクションもカストリ雑誌の大半は北原さんに売ってしまったそうだが、それでもまだいろいろ残っているものもあるという。来月あたり、倉庫を見せて貰いにいくことを約束。小学館『ウルトラ博物館』の編集スタッフがブースを出していたのにはびっくり。雑誌記事にあわせた“緑のウルトラマン”ソフビを作ってしまったそ うな。“執筆者には後で差し上げますので”とのことで楽しみである。

 あと、実相寺監督と一緒にいた中央公論社の人、『新・耳袋』の木原浩勝氏などとも名刺交換。ファンだという人たちにも握手、サイン、写真撮影など何度も求められる。私は“わかりやすい”からなあ。ダイナミックコグマの人たちにももちろん、挨拶して最新の韓国製作品を買う。昼は恒例、オリエンタルカレーで。ヌカダさんとは楽屋でいろいろ業界情報。特撮系アイドルや懐かしのヒーローたちのサイン会も続々と行われていたが、マイナーなオリジナルビデオ作品のブースで、主演女優の子が座り、“ただいま主演の○×ちゃんのサイン会をやっております”と、たぶんその作品の監督が叫んでいても、誰もその前に並んでいないのはちょっと、可哀相だった。

 ここの会場の楽屋はかなり狭く、ゲストも入れ替わり立ち替わりで混んできたんで一旦荷物を持って出る。通路でほりのぶゆきさんと話しているおおいとしのぶ夫妻に出会った。ホントに、このテのイベントは知り合い大集合の感あり。斎藤仁さんはまあ、お仕事がらみだから当然と言えば当然だが。ワンフェス会場はと見ると、驚いたことにまだ列がある。入るのはアキラメ、帰宅。すぐ風呂に飛び込む。

 メール等チェック。例の物件、手に入ることになった。うれしいうれしい。サエキけんぞうさんからメール、某トンデモ人物の件。あと、アスペクトに献本リスト作成して送ったり。雑用いろいろ。仕事用読書だが、これが案外おもしろい。熱中して読むと付箋貼ったりメモをとったりが出来なくなる。もっとも、そういう本が資料としてたくさんないと、書く本が面白くなくなり、単に調べただけ、のものになってしまうのである。あと、OTCの撮りのために小松左京の古い本なども取りだして読む。70年代のこの人の社会評論、文章がまずカッコよくてしびれたものだった。当時、これだけの高度なデータを駆使した内容を、これだけわかりやすく書いてくれる学者 や評論家はいなかった。

 8時半、新宿に出て三笠会館でK子と待ち合わせ。新中野の島忠で家具を見てきたが、ロクなものがなかった、とK子怒っている。いつもの唐辛子とニンニクのパスタに、ビーフシチュー。やはりここの肉料理ではビーフシチューが最高か。いつもの、“超”がつくほど可愛い女性フロア係と、やんちゃ坊主系の、どこかでそっくりな顔の奴を知っているんだが、さてどこの誰だったかどうしても思い出せないボーイさんのサーブで。行きにはすさまじい風で、台風かと思ったくらいだったが、帰りは何と大粒の雨。急いでタクシーに乗り込んで帰宅。

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