24日
月曜日
キツツキながらも生きていく
ウフフヘーホ、ウフフヘーホ。朝8時まで寝る。昨日の夜中に目が覚めてしまい、海野弘『カリフォルニア・オデッセイ4 癒しとカルトの大地』(グリーンアロー出版)読む。再読だが面白いったって何たって。煩瑣な人名の羅列が、複雑極まる人間関係の網の目の意外性を表している。ちょうどトイレ読書で、こないだからちくま文庫の川本三郎『忘れられた女神たち』読んでいるので、時代的・登場人物的に重なりあうところも多く、立体的にイメージがわく。7時までウトウト状態、それから1時間、熟睡。ウトウト時に見た夢はさすがクリスマス・イブというか、オモチャ屋に行く夢。自動車に昆虫のような足が生えてノソノソ歩くオモチャや、ヒレで水中を泳ぐ自動車、タイタニック号の甲板の様子のジオラマなどが出てきた。
朝食、オートミール一杯、ポテトサラダ残り。果物はオレンジ。札幌に送る荷物を荷造り。講談社Web現代、何とか完成させてメールする。SFマガジンS編集長から休日にもかかわらずメール。Web現代のYくん、単行本担当のHくんからも電話とメール。やはり出版業界人にはクリスマスも天皇誕生日もなし。なんであと一週間で正月だというときに三連休しなくてはならないか。
1時半、荷物を集配に来た宅急便に渡して、昼メシを食う。金沢のSさんから到来のラーメン、これで食べ切る(ひと箱は他のいろいろなものと一緒に八起のおかみさんに差し上げた)。東急ハンズに行き、寝室の電燈のカサなど買う。それからパルコに寄り、『キネ旬』立ち読み。例の金子監督のエッセイを読む。最初は私の文章に何か重大なミスがあり、それを指摘されているのかとビクビクしていたが、要するに私が河出の円谷英二本で述べた怪獣映画様式性論の中に一ケ所出てきた、“金子監督は新作ガメラを作るとき、回転させて空を飛ばせるのに反対した”というくだりを、そんなことはない、と否定しているだけ。ちょっとホッとして、腰がくだける。しかしこの話、私は大映の企画部の人から(一作目製作中に)直接聞いたのだがな。……まあ、あくまで伝聞であるのだから(伝聞とわかる書き方もしているのだが)、ご本人が違うとおっしゃるのであれば違うのであろう。それを軽率に活字にしたことは幾重にもお詫びする。……だが、なぜ金子監督は、こんな小さな部分に、かくまで過剰反応するのだろうか。そっちの方が気にかかる。スタッフとの信頼関係が壊れると憤っておられるが、私はこの文章の中で監督とスタッフとの信頼関係などという問題にはまったく触れていない。第一、文脈から言って、そこでそんなことを持ち出すこと自体、不自然である(これは最初に報告をくれたUさんや、私より先にキネ旬記事を読んだ人たちも疑問視していた)。こういう、何でもないところに信頼関係問題を神経質に嗅ぎとるという行動に、裏モノ的に言えばむしろ大いに邪推をしてしまいたいところである。
そこからまた東急ハンズに戻り、キッチン用のテーブルを買う。K子が通販で買ったオーブンを置くためのもの。高さも別に計らなかったが、ちょうど、炊飯器を置いてある上にすっぽりとハマり、台所もそんなに狭くなった感じがせず、結構。玄関の蛍光灯も買ってきたのだが、サイズをちゃんと記憶して行ったにも関わらず、間違えたのを買ってくる。こういうことに関しての私のアタマはどうかしている。
いろいろ力仕事(と、いうほどのものでもないが)やったら、急に眠気がさしてくる。やはり、ゆうべよく眠れていないのが原因か。少し横になろうかと思ったが、そんなことをしたらずっと夜まで眠ってしまいそうなので、がんばって原稿書く。と学会用のもの7枚。
8時、下北沢『虎の子』で食事。萩原さんの奥さん、こないだの八起ツアーで“もう2ケ月は肉食べなくてもOK”だそうである。また豚とホウレンソウの常夜鍋。お菓子みたいに甘いな、ここの豚肉。隣の席の日下武似の不良インテリぽいおじさん、 李白を注文して、持ってきた店員の兄んちゃんに
「李白か、いい名前の酒だねえ。……おいキミ、“李白一斗詩百編”というのを知ってるかね」
と聞き、店員がイエ知りませんと答えると
「知らない? 情けないねえ。その昔、李白は一斗酒を飲む間に、詩を百編作った、という故事だよ。まあ、中国人の例のホラだがね。店で売っている酒の名前の由来なんだから、李白の詩の文句くらい覚えとかなくちゃいかんよ」
と説教をしていた。おじさんおじさん、その詩は李白じゃなくて杜甫の作です、というツッコミがノドモトまで出かかったがガマンしておく。