22日
土曜日
アガサゆえ
アガサゆえ〜クリスティ〜アガサゆえ〜ポアロ〜。朝7時半起床。夢で初めて、親父が死んでいるという設定のものをみる。弟と二人、大きな寺のような建物に引っ越しをしている最中で、その建物の改装が行われている。私も弟も、身長の倍ほどもある巨大なオーディオスピーカーを部屋に持ち込もうとしていて、そのために建物を補強しようと、作業している大工さんたちに柱の数を増やしてくれと頼む。ドイツの木材を使ってくれ、と頼むと棟梁が、ドイツのは品薄だからアフリカの木材でやるといい、私はそれでもいいと答える。そのスピーカーの前で、なをきと親父の思い出話。みんなで中華料理を食べにいき、親父がエビの炒めたのの大皿を一口でペロリと平らげて家族が大笑いした話をなをきがする。目がそこで覚め、現実にはなかった親父とのその思い出で、ちょっとホロリとした。
朝食、シャケ缶をあけてマッシュしたポテトとまぜ、サーモンポテトのサラダを作り、それをマフィンにはさんで食べる。果物はリンゴ。昨日の夕刊で南原宏治死去の報を確認。『殺しの烙印』の陰鬱なユーモアをたたえた存在感が何といっても印象的であるが、とにかくこの人の魅力は声であったろう。『夜叉ケ池』などで最もよく確認できるが、この人のセリフ回しは一種の歌い調子とでも言うべきうねりがあって、そのアクが、最近の軽いドラマには似合わず、出演作品を狭められてしまった感がある。しかし、その深みのある声質は日本の俳優の中でも一、二を争うものだった。その証拠が、ジョージ・ルーカスによるダース・ベイダーの日本語版役へのオファーであったろう。まあ、あれが代表作と言うのもナンであるが。
仕事パシパシ。その関係で昔、読んだ本をどんどん引っぱり出して読み返す。『バカ・ケチ・ナマケは酢を飲まない』など、まことに面白い。第二次大戦中、クエン酸入りの味噌を食料に使用した潜航艇は潜水時間を大幅に延ばし、その結果新潟に落とすはずだった三発目の原爆の輸送船を沈めることが出来て日本を救った、などという記述がある。こういう、少し(いや、多分に)偏頗した思考で世の中を見渡すと、どういう風に見えるのか。こういう人々の考えから、世界に視野を広げていくと、どんなことが見えてくるか。世の多くの識者は、これ一冊で世界が丸見えになる、といった本を読むことを推賞するが、そういう読書に私はあまり楽しみを見い出さないのである。つまり、よく小さなタネ火から焚き火を起こすのが趣味、という人がいるけれど、私もそんな感じで読書をしているのかもしれない。昼はシラスをパックごはんにかけて梅じょうゆでシラス飯。銀座に買い物に出る予定だったが仕事の進み具合がイマイチなので明日にする。
仕事していたら、先日会ったばかりのせどり屋のU氏から電話。依頼本が見つかったのかと思ったら、金子修介監督が、キネ旬で私の悪口を言っていたそうである。向こうもウレシそうに電話口でそう報告し、私もウヒヒと笑う。何か妙にうれしい。ガメラやゴジラなど、金子監督作品に何か割り切れないものを感じていた私にとり、向こうもこちらの考え方が嫌いだということが示されると、“ああ、オレの直感は正しかった”という気分になるのである。
SFマガジン2月号配送さる。こないだ原稿を送ったばかりの雑誌がもう、完成しているのに、何か奇妙な感覚を抱く。つまりはまあ、それだけひどい遅れ方をしていたわけで、まことにS編集長とイラストレーター諸氏には申し訳ない。仕事は進むがインターネットの調子が悪い。一昨日あたりから@ニフティに入って、メールボックスを開こうとすると“ただいまシステムが混み合っております”という表示が出て、時間的にそんなわけもない、と思い、一旦パティオモードにしてそこから移動するとちゃんと入れる、という風だった。それと関連あるかどうかわからないが、このサイトで、最初から日記に入ろうとするとフリーズする。まず一行知識コーナーなどへ行き、しかるのち、としないといけない。どういうトラブルか。
6時、一旦出来たところまでをメール。向うが読むのは連休あけになるだろうが。それからネットで資料あさり、8時、外出して『船山』。K子がここのクリスマス・ディナーなるものを食べたいと、予約したのである。和食屋のクリスマス・ディナーとはいかなるものか、と思ったが、店内の照明をちょっと落としてイルミネーションで飾り、食前酒にシャンパンがグラスで出る、といったところで、後はフツーの刺身とか揚げ物のコース。お値段がいつもより1割増しなのがクリスマス・ディナーたるところですか。いや、おいしかったけど。