裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

25日

木曜日

ジェンカ七犯

 レッツ、キル、映画のように殺人を重ねよう。朝7時50分起床。朝食、ゆで卵とカキ燻製2粒。K子は今日、病院で頭痛の検査なので朝飯は抜き。ワイドショーで田嶋陽子の国会初質問の模様が。めちゃくちゃにアガってしどろもどろだった。へえ、田嶋陽子でもアガるんだ、と、初めてこのヒトに親近感を抱く。ところで、タリバン以降のアメリカ・アフガニスタン関係について日本が仲裁を勤めたらという意見が出ているようだが、ここらが実質的な日本の活躍どころであろう。テロ勃発当初からそんなことを言っていたヤカラがいたが、こういうのは人情というのを知らない連中である。ケンカの仲裁だって、片方が殴って殴られた方がイキリたっているところに分けて入ってもまず、収まらない。両方が二、三発殴りあって、お互いの興奮が発散されたところを見計らって初めてマアマア、と間に入るのがうまいなだめ方である。一度は報復もさせないとダメなのだ。そんなことは落語を聞いていれば自然と覚えられる。平和を口にするのにもタイミングというものがあるのである。それもわからず無闇に平和平和と囀るしか出来ない大学出の与太郎が多すぎる。“こういうこた、あンまし学校じゃあおせエない”のかね、本当に。

 電話、鶴岡から。早稲田の講義でのレポート提出率が無闇にいい話、山咲トオルがやたらにテレビに出ているという話など。そう言えば山咲くんと伊藤剛くんと、昔、三人で酒を飲んだことがあったな。まだ伊藤くんがマンガ家デビューを目指していた時分で、いろいろと考えて考えすぎてなかなかデビュー出来ないでいる伊藤くんと、なぁんにも考えないで自分の好きなものを描きなぐって持ち込んで即デビューしてしまった山咲くんの、話のカミ合わなさが非常に面白い席だった。伊藤くんがあそこで何かを学んでくれればよかったんだが。

 請求書だの委任状(実家の登記変更のために私の戸籍謄本がいるので、それを母にとらせるための委任状)だのを出しに郵便局へ行き、それから花菜で嶌ちゃんにうどんを作ってもらい、昼飯代わりにする。サービスで、“柿の天ぷら”という珍しいものを出してくれた。甘味が強くなってオイシイ。

 とみさわ昭仁さんから電話。Web現代の連載でとみさわさんのサイトを紹介した件についてか、それともと学会の次回例会のことについてかと思ったら、そうでなく“幸永の場所を教えてください”とのこと。昨日の私の日記を読んで、早速足を運んでくれるらしい。こういうのは実にありがたい。他の皆さんもよろしく。地下鉄大江戸線東新宿駅下車徒歩三十秒。職安通り添いにあります。牛がこわけりゃ、豚もあるから。豚骨タタキ、豚とろ、豚バラ、豚足などでかなり満足できると思う。

 道新オタク史講座第11回目。ガンダムとなると少なくとも三回分の原稿を費やさないと語り切れない。現代史は放棄して、やおいブームくらいで擱筆やむなし、という感じになるだろう。三十分で書き上げたもの、一時間以上かけて推敲。そうしているうちに、試写の時間が迫ってきてしまった。急いで東銀座のヘラルド試写室までタクシー飛ばすが、タッチの差で間に合わず。日を改めることにする。むなしく地下鉄で新宿に出る。時間が半チクになってしまったので、空いていることを確認してサウナに。マッサージしてもらう。肩がバンバンに張っている。仕事量はそんなでもないから、ストレスによるものだろうな。

 8時、新宿新田裏すがわら。向かう途中、K子といきあって二人で歩くが、場所がホテル街の真ん中なんで、男女二人で歩くのがまことに恥ずかしい。ここを歩いている若いのや中年やら熟年やらのカップルが、ほぼ間違いなく、今さっきやった(あるいは今これからやる)二人であるというのは考えるだに異様なシチュエーションだ。別に誰に照れるというわけでもないが、帰りにタクシーに乗るとツイ、“いや、おいしい寿司だったね”などと話して、ホテルから出てきたのではないぞ、と言わでもの言い訳をするのがどうも。寿司は甘エビがないのが残念。白身、コハダ、穴子、ウニなど。おつまみで茹でたてのタコ。日本酒かなりいって酔う。帰りのタクシーから幸永をのぞいたら、案外入っているのが見えて、我が事のように安心。とみさわさんはあの中にいたのだろうか。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa