裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

24日

火曜日

存在の耐えられないカルチャー

 悪趣味系はお嫌いですか? 今朝も6時に目が覚め、7時までウトついていたが、この間に夢は見ず。その前の眠りの時に、ひさびさにワイ夢を見る。俺もまだ若いなあ、と自分で感心した。ただ、そのコーフンが持続しないのが情けないところだ。出てきた女性はどこかで見たことがある顔だが、思い出せない。

 寝床で石毛直道・賈ケイ萓『食をもって天となす』(平凡社)を読む。石毛氏の名を最初に知ったのは小松左京の『人間博物館』の中で、少壮気鋭の文化人類学者、としてであったが、もうこの人も六三才なのだなあ、と感慨にふける。中で、賈氏の話として中国のスープは塩からい、なぜなら塩からいものには胃酸を抑える働きがあるからだ、という下りがあり、へえ、と思う。こないだの京王プラザのスープや、イタリアで入った中華レストランのスープも、極めて塩っからかったと日記につけているが、あれはわざとそうしているのか。さすが中国三千年の知恵。この本で食欲を刺激されて起床。朝食、K子にサラダスパゲッティとベーコン。私はいつもの。

 原稿の資料に2ちゃんねるの某スレッドを検索し、行こうとしたら“えらー、そんな板orスレッドないです”という表示が出る。この口調がいかにも2ちゃんらしくて笑う。カードの支払い請求書がくる。先月のイタリアでの買い物があるので、少し覚悟していたが、なんと予想の半分以下。日本で使ってた方が高くつくのである。つくづく円高の恩恵を思う。井上デザインに電話して、お知らせのところを訂正。11月1日、2日のオタクアミーゴスは、両日でネタが違います! 初日は傑作選、二日目が新ネタ、の予定。

 昼は昨日のシャケ缶の残りとジャガイモの味噌汁で、麦御飯のパックを温め、一パイ半。鶴岡から電話。大地丙太郎監督とのトークライブの報告。そうそう、丙太郎と書いてアキタロウと読む理由、聞くのを忘れた。対談集手入れ、なかなか捗らず。天気はいい筈なのに、眠くなる。明日は雨だな、これは。

 4時半、家を出て新宿西口。銀行で金をおろそうとしたが通帳を忘れてきたことに気がついて、明日に回す。オンライン機の前の列に、いつも西口地下に立っている托鉢の坊さんが並んでいた。何か不釣り合いである。小田急地下でちょっと買い物してから、待合せの改札口に行く。開田夫妻、談之助夫妻、安達Oさんといういつもの顔ぶれで、相模大野に焼肉を食いにいくツアー。例の『八起』である。

 小田急ロマンスカーも、サポート号とかいうわけのわからん名前になってしまって風情がない。伊豆とか小田原に出かけるというのには、少し時代遅れ的な列車の方が似合っているように思う。“かまぼこ”とか“ちょうちん”という名前の方がよろしいのではないか。メンツがメンツだけに、飛び込みを見た話、ギタレレの話、AV撮影の話など頻出で、後ろの席に掛けていた男女が、途中で下りるとき吹き出しそうになっていたとか。ギタレレとは弦が六本の、ウクレレに近い大きさのギター。

 八起、以前トンデモ寄席のときにこの日記でウマいと書いたら、それを読んで行ってくれた人がいるそうで、おかみさんに感謝される。先に到着していた睦月さん、後からかけつけた清水さん(K子の元アシ)も加わり、大焼肉大会。ムチャクチャにウマい骨付カルビや、タン塩、快楽亭ブラタン(タン塩をカレー粉で食す)、豚ホルモンなど、全身焼肉まみれ。就中レバ焼きとレバ刺しが最高の風味だった。最後に、談之助が長野の仕事のオミヤゲで買ってきた、ベラボウに濃くて甘い牛乳飲んで、これであと一ト月は水だけでも生きていかれるのじゃないか、というほどの満腹感。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa